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民衆会議/世界共同体論(連載第13回)

2017-11-02 | 〆民衆会議/世界共同体論[改訂版]

第3章 民衆会議の組織各論①

(4)全土民衆会議の組織構成
 
すでに見たように、民衆会議は有機的なネットワークの形で機能する統治機関であったが、このうち「中央」に当たる領域圏に置かれるのは全土民衆会議である。連邦的な連合領域圏の場合は、特に連合民衆会議というが、これも広い意味では全土民衆会議に相当する。
 後者の連合民衆会議は、連邦国家における連邦議会のような位置づけを持つ。ただし、民衆会議は一院制機関であり、現存連邦国家において標準となっている二院制形態は採らない。民衆会議は間接的な諸利益媒介機関ではなく、民衆の半直接的な代表機関として、どの圏域においても単一であるべきだからである。
 結果として、連合領域圏を構成する準領域圏の自治権は連邦国家を構成する州邦のそれより強化されることになるだろう。ただし、各準領域圏から抽選される連合民衆会議代議員の定数を同数とするか、人口比例的とするかは連合領域圏の選択に委ねられる。
 通常の統合型全土民衆会議の場合は、日本における国会のような位置づけであるが、単なる立法機関にとどまらず、全権を統括する総合機関であることは、繰り返し述べたとおりである。以下は、さしあたり統合型を念頭に置いて記述するが、連合民衆会議にもほぼ妥当する。
 全土民衆会議は、所定の定数の代議員で構成されるが、その定数は国会よりもはるかに多いものとなる。なぜなら、政府を持たず、従って官僚制度も存在せず、民衆会議が全権を統括するからには、その構成員は多数でなければならないからである。
 具体的な定数の設定は政策的な問題であるが、例えば日本の現行人口規模およそ1億人をとりあえず基準とするなら、最低でも2000人は必要だろう。ちなみに代議員は職業ではなく、無報酬の公務であるので、財政を考慮した定数削減の必要性もない。
 このように大所帯の民衆会議は基本政策ごとに設置される常任委員会と個別の問題ごとに適宜設置される特別委員会を軸に運営される。各委員会の下には、さらに細目的な問題を扱う小委員会が置かれる。この小委員会のレベルでの審議が最も稠密なものとなる。
 民衆会議における委員会制度は、国会の委員会制度と類似する面もあるが、それぞれが所管する政策分野に関する立法・行政機能を併せ持ち、関連する行政機関・法執行機関を直接に監督する。 
 各代議員は最低一つの常任委員会及びその管轄小委員会に所属して活動する。民衆会議の運営に当たる執行部は、正副議長及び各委員会の委員長で構成する政務理事会であり、この機関が民衆会議の運営機関であると同時に、閣議に相当する政策決定機関ともなり、政令の制定権も有する。


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