ザ・コミュニスト

連載論文&時評ブログ 

続・持続可能的計画経済論(連載第37回)

2022-11-13 | 〆続・持続可能的計画経済論

第3部 持続可能的計画経済への移行過程

第7章 経済移行計画Ⅰ:経過期間

(4)消費事業組合準備組織の設立
 持続可能的経済計画の二本目の柱として、広域的な地方圏単位での消費計画がある。これは持続的計画経済システムが完成された段階では、地方圏ごとに組織された日常消費財の供給にかかる協同組合組織である消費事業組合自身が策定する地方的な経済計画となる(拙稿)。
 経過期間においては、こうした消費事業組合の前身組織となる包括事業体が設立される。この事業体は基幹産業分野における包括企業体と類似した構制を持つが、将来の消費事業組合は同時に経済計画機関でもあるため、消費事業組合の前身事業体は計画機関を見据えた準備組織でもある。
 すなわち、将来の消費事業組合は貨幣経済によらない計画的な無償供給システムの中核を担う組織ともなるので、経過期間における消費事業組合準備組織はそうした無償供給システムの構築に向けた準備と予行という重要な任務を担う。
 こうした消費事業組合準備組織は発達した資本主義経済体制下でもしばしば商業的な小売流通資本と併存している生活協同組合組織に類似しており、既存の生協組織を再編することによって設立することも可能であろう。
 生協組織が存在しない場合、または存在する場合でも、現代の資本主義体制下で小売流通の中核を担うスーパーマーケットやコンビニエンスストアといった小売流通資本の統合が図られる必要がある。その統合過程は、基幹産業分野における包括企業体のそれに準じて考えることができる。
 ただし、併存する営利的な小売資本と生協組織という法的性質が相容れない事業組織を統合する場合は法的に困難な点もあるが、消費事業組合準備組織としての包括事業体は営利/非営利の対立を止揚した特殊な移行事業体として統合される。
 なお、準備組織は将来の広域的な地方圏単位で設立される消費事業組合の前身組織となるものであるので、広域圏ごとに分立する必要があるが、広域圏の区割りが未定の段階では、区割りを先送りして、さしあたり全土的な組織として暫定的に発足させてもよいであろう。

コメント