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共産教育論(連載第17回)

2018-11-20 | 〆共産教育論

Ⅲ 基礎教育課程

(6)統一教材の使用
 正規の教育課程では、科目ごとに教科書が使用されるのが通例である。自由主義的な教育論からは教科書を使用しない教育法も提唱・実践されているが、脱教科書主義教育は指導教員の資質や力量に大きく左右されるため、どの教員に付くかにより教育レベルの不合理なばらつきが避けられない。
 他方、複数の市販教科書の中から、指定教科書を地域ごとに選択するやり方も、出版社により内容の異なる市販教科書がどの地域に居住するかにより、一方的に選択・強制されるという不合理を避けられないから、そのような教科書選択主義も適切でない。
 共産教育における基礎教育課程は、全市民の平等な知的啓発を目指す観点からも、教材使用に係るいかなるばらつきも容認しない。そこで、およそ文字教材に関しては、基礎教育教材開発機構によって作成された統一教材が全土で使用される。
 しかも、全世界市民の平等な知的啓発を推進するため、使用教材の全世界的な統一を目指すべく、基礎教育開発機構の教材は、現ユネスコ(国際連合教育科学文化機関)を継承する世界教育科学文化機関が作成した世界教育ガイドラインに沿った内容とする。
 このガイドラインは世界共同体に包摂される各領域圏に対して絶対的な拘束力を持たず、各領域圏教育行政の裁量を容認するが、ガイドラインから明らかに逸脱した教材が使用されている領域圏に対しては、世界教育科学文化機関を通じて是正の措置が採られる。
 基礎教育課程の教材は、もはや紙の教科書ではなく、オンライン教材として提供される。これは基礎教育課程がインターネットを使用した原則的な通信教育の形態で提供されることに相応したものであって、オンライン教材は、予め全生徒に配布されたタブレット型の専用端末にセットされた状態で提供される。
 その内容も、伝統的な学校教育で使用されてきた教科書とは異なり、事前知識として与える解説は必要最小限度に抑えたうえ、生徒が予め設定された「練習問題」の解答を考えるのではなく、逆に生徒自らが問いを立て、自らがその問いを探求するという形で進行していく。
 そのため、生徒の自主的探求を補助するために参照可能な優良ウェブサイトや電子書籍などにも、専用端末からアクセスすることができるようにセットされる。そうした生徒の自発的な探求をサポートするのが基礎教育課程教員の主要任務であることも、以前の回で記したところである。

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