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共産教育論(連載第15回)

2018-11-13 | 〆共産教育論

Ⅲ 基礎教育課程

(4)教員の役割及び養成
 前回見たように、基礎教育課程が原則的に通信教育として提供されると、教員の役割も既成の学校教員のそれとは大きく異なることになり、教壇に立って大勢の生徒に向かって説諭する御馴染みの教員の姿は見られなくなる。
 それに代わって、教員は基本的には生徒たちが自分のペースで標準13か年の各ステップを進んでいく上での学習アドバイザーという性格が強くなるだろう。実際、基礎教育課程の教員は、基礎教育センターに常駐して、生徒からの質問・相談に電子メールや遠隔チャット、または面談の方式で答えることが主要な役割となる。
 このような教員像は、個別学習塾の指導員に類似していると言える。実際、基礎教育課程の教員は、全員が科目ごとの専従制を採り、既成の小学校教員のように、単独で全科目を指導するという包括担当制を採らない。包括担当制は、通信制での個別学習の指導には適さないからである。
 一方で、基礎教育課程の教員は、学習塾の指導員とは異なり、あくまでも正式な義務教育課程の教員であるから、個別の教科指導にとどまらず、各生徒の適性や興味関心に応じた将来の進路も考慮した上での総合的な教育を使命とする。
 そのため、教員は担当する生徒と定期的に面談し、学習状況に加え、日常の生活状況も把握し、必要に応じて保護者とも面談する。また、保護者からの教育上の相談にも応じる場合もある。
 さらに、障碍者統合教育を実施する関係上、すべての教員は障碍児教育に関する知見も有し、障碍の内容や程度に応じた個別教育を行なう力量を要する。障碍生徒の状態によっては、家庭教師のような訪問指導も行なうこともある。
 このような教員像からすれば、その免許や養成のあり方も自ずと既存のものとは異なるものとならざるを得ない。まず、教員は基礎教育課の各科目ごとに専門教員免許が付与される一方、障碍者教育を包括した統合的免許として付与される。
 また、教員の質の均一化を図り、地域による教育レベルの格差が生じないよう、教員免許試験は全土一律なものとされる。ただし、採用に関しては各教育区ごとに行なわれるので、身分としては教育区の所在する地域圏(郡)の公務員である。
 こうした基礎教育課程の教員養成は、後に述べる高度専門職学院の一環である教育学院で一元的に実施される。すなわち、教員となるには、教育学院の基礎教育課程教員養成科を修了したうえ、上述の統一免許試験に合格する必要がある。

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