このほどアラン・ファースト著 影の王国(KINGDOM of SHADOWS)
を読了しました。
アメリカ人の作家アラン・ファーストは、「文学的スパイ小説」の
書き手、と評されているそうですが、確かにスパイ小説の面白さ
だけでなくプラス・アルファーがある本です。
舞台は、第ニ次世界大戦勃発前のヨーロッパ。
主人公は、ハンガリー貴族の末裔で、パリで広告代理店を経営。
一方で民間人のスパイとしても活躍・・・といった形で
物語がはじまります。
ヒトラーの野望に不安を覚える、中・東欧の様子が、
綿密な時代考証にもとずき、描かれており興味深く読めました。
数年前、中欧3ヶ国(チェコ、ハンガリー、オーストリア)を
訪れた際、プラハ城では、侵攻してきたヒトラーが、演説した
バルコニーも見ました。
感慨深げに語っていたガイドさんの姿やバルコニーを思い出し
ながら、読み進めました。
ちなみにヒツトラーは若かりしとき芸術家(絵描き)を目指していて、ユダヤ人が経営する絵画の学校に入学が許されなかったようです。
東西冷戦が終わり、スパイ小説も下火になりつつあるようですが、こういった小説はもっと読みたいものですね。
ドキュメンタリーものなら、より説得力があり興奮しますね。