これは江戸時代の豪商・淀屋辰五郎邸にあった手水鉢で、
現在は「松花堂庭園」に保存されています。
「砧の手水鉢」と呼ばれ大切に保存されています。
さて、ここで問題です。
淀屋辰五郎は、この手水鉢をどのように楽しんだのでしょうか?
手水鉢の中に見える石ころがヒントです。
答えは・・・BGMです。
辰五郎の屋敷は、洛南の男山の麓にありました。
彼は、男山の中腹から樋を使って屋敷の手水鉢まで水を引き
その落差を利用して、手水鉢の中で踊る石の音を楽しんだと言われています。
この音が、洗濯に使う砧(きぬた)を打つ音とよく似ていた事から
「砧の手水鉢」と名づけられたそうです。
手水鉢の中の石ころを噴き上げるには、相当の水圧が必要だし
落差を利用すると言っても、相当量の水が要ったと思われます。
大切な水をこんな風に贅沢に使えたのも大金持ちならでは、ってところでしょうね。
それにしても、朝から晩までゴロゴロゴロゴロ、BGMが流れている生活って
快適なんでしょうか?
私のような貧乏人には、大金持ちのなさる事がちょっと理解できません。
因みに、淀屋さんがどの程度の金持ちかと言いますと・・・
わずか1年半で、遊興費をなんと1万貫(現在価値で約100億円)も使ったそうです。
恐れ入りました。