MOVIE KINGDOM Ⅱ

映画に関する話題やライブ&イベント、ローカルなグルメ情報など色々話題を広げて行きます
ポイントは★~★★★★★★

No.061 「御巣鷹山」 (2005年 日本 80分 スタンダード)

2007-06-21 11:36:50 | 2007年劇場鑑賞
監督 渡辺文樹
出演 渡辺文樹
    堀田不同
    荻野祥子



もう10年ぐらい前になるかな・・・街中に突然あらわれた不気味なポスター。
電信柱に1本おきぐらいの間隔で貼られた謎のポスターはどうやら「バリゾーゴン」という名の映画らしい。
しかもポスターの上に殴り書きで「失神者続出!」「生理不順な方ダメ!」「子供は絶対見るな」「吐くのは恥じゃない!」など「どんなショッキングな映画なんやろ?」とホラーファンでもある私はおおいに食指をそそられたものでした。
きっとこれはホラー映画だと誰もが思ったハズだと思います。

「原発のある村 女教員は便層の若い青年の腐乱死体を愛していた・・・」こんなコピーのポスターに「相当に吐くぐらいえげつない映画なんやろな」と思ったほどですが、後にTV報道でこの作品が広島で上映された時、観客が金返せ!と暴動騒ぎになったという事を知った。

この映画はホラーでもなければ残酷シーンも出て来ない、社会派ドキュメントであるらしい・・・この渡辺文樹という監督の作品は映画館では公開されず(劇場がトラブルを恐れて上映を嫌がってるらしいが・・・)自主上映という形で公民館などを借りて1日だけの上映会を全国でしてるようである。
しかもマスコミ媒体では取り上げられるまでもなく、その活動は神出鬼没で広告は電柱に貼られたポスターによる告知のみ!
しかもそれらポスターを監督自ら貼ったりしてるらしい・・・
あの妖しげなポスターが街の電柱を埋め尽くしたらヤツがその街にやってくるサインなのだ・・・

いつか機会があれば見て見たいな~と思ってたら、たまたま通勤で朝、チャリンコを転がしてたら久々に電柱で見つけた妖しげなポスター・・・「おお~また来るんか?」
今回は「御巣鷹山」と言う作品がまた上映されるようだ。
今回はついに時間が合いそうで見れる・・・しかも今回は3日間にわたり一気に渡辺監督の作品の特集上映のような形式で他にも「バリゾーゴン」「腹腹時計」など一気に見るチャンス!
ただ渡辺ビギナーの私は続けて見るのはキツそうだから初日の最終回上映の「御巣鷹山」を見る事にした。

場所は大阪 森ノ宮青少年会館のプラネットホールというところで、街中にポスターがベタベタ貼られてる割には会場付近にはほとんで見かけない・・・会場内すら貼ってないのは意外だった。
開始20分前につき会場に着くとエレベーター前で「御巣鷹山」のチラシ(にしてはデカイが)を読んでるサラリーマンが一人・・・そうそうまず興味があるのはどんな客層なのか?て事です。

エレベーターで4Fにあがると目の前に机が置いてあって、その机の前に親子らしき女性と3歳ぐらいの女の子が座っていた。
ここが切符売り場見たいで、私を見つけるや否や「いらっしゃいませ」と女性の方が声をかけてきた。
そこで1200円払って「御巣鷹山」のチラシ(にしてはデカイが)をもらってたら奥から「いらっしゃいませ~」と言って出て来たのが渡辺文樹監督自身ではないか・・・どうやら女性と子供は監督の妻子のようですね。
3人が受け付けで何やら話してるのを見てたら、どうやら子供をトイレに連れて行きたいから、監督に受付をしばらく見ててくれと頼んで交代してる様子だった・・・

中に入ると雛壇式の小劇団が公演するような劇場で観客3名・・・でも上映間近には30人ぐらいに増えていた。
まばらに座ってるからソコソコ入ってそうだがキッチリ詰めて座らせたら3分の一ぐらいかな?
客層はほとんで30代前後の男性でほとんど一人で来てる模様で、中には背広姿の人も多く見かける。
女性が単独で来てる人は2名いらしたが、二人とも綺麗な人だったな・・・
フッと思ったけどまさか遺族の人とか居ないやろな・・・居る可能性もあるがね。

開始前客席後方の入り口から監督自ら挨拶と、この作品についての解説があった。
それもマイクを使わず地声でするから聞き取り難い部分もあり、久々に人の話に耳を大きく傾けたよ・・・前に出て言えばいいのに何故か後ろで喋るんやね~

その解説によると監督がある関係者から日航機墜落の真相を聞いたけど、「海外の航空関係者は皆知ってるけど、日本人だけが事実を知らないらしい・・・」と言われたとの事。
昨年も大阪で上映会をしたら、その後、映画を見た堺の元自衛官が土下座して渡辺監督に謝ったらしい・・・ホントかいな?
でも本人はいたって真面目に語ってたけどね。
「まぁキツイ映画ですけど最後までご覧ください・・・」(違う意味でキツイ?!)と言って監督自ら映写機を回して上映開始!(思えば場内のスタッフは監督と奥さんと子供の3人やね・・・子供は小さいから実質2人か)

この作品は1985年8月12日に日航機123便が御巣鷹山に激突墜落したのは自衛隊機による撃墜だった!
という奇想天外?な事実を描いた作品なのです

ミニシアター程度の大きさのスクリーンに映し出されたのは何とスタンダードサイズでしかもスクリーンの真ん中だけで収まる小さい画面・・・昔、学校の講堂で見せられた交通安全とか性教育の映画を思い出したぞ!
しかも内容もそのレベルの三文芝居が続くことに・・・

(あらすじ)

あるお寺で剣道の奉納試合に参加した中曽根首相の元の後援会の人間と名乗る男が面会を求め、首相と会談することになるが、霧が立ち込める寺の境内で渡辺(監督本人が演じてます)と名乗るこの男と中曽根との間で衝撃的な会話される・・・それは日航事故の遺族の若い夫婦がセスナ機の機中でパイロットを切りつけ機上から飛び降り自殺をしたと・・・この夫婦は実は渡辺の娘夫婦で、日航事故で子供を亡くし、記者だった夫が独自の調査で自衛隊機の撃墜である事を掴み、今は民間のパイロットをしている、撃墜を実行したパイロットに真実を語らせようといて及んだ凶行だった。
そして渡辺は中曽根の息子が乗っているジャンボ機に爆弾を仕掛け、中曽根にその事実を公表するように求める・・・

ほとんど渡部氏もテロリストやね~
ほろんど寺の境内で剣道の防具を付けた老人たちが見守る中での渡辺と中曽根の会話が中心で、回想シーンを交えながら日航機123便墜落事故の真相を描いていくけど、まずセリフと口の動きが終始ずれてるのと、口が動いていてもセリフが無かったり(笑)たまに画面や音声が途切れて真っ暗になったりフィルムが飛んだりと、かなりフィルムの状態が悪い!(出演してる素人の役者の下手な演技が気にならないぐらい)
内容云々よりそちらが何よりも気になりましたね。
そういえば始まる前にも画質が劣化してることは前もって言ってたけど・・・

またツッコミ満載の珍ネタ揃いの映画でもありますね。
夏の事故のハズなのに時折吹雪になって雪山の中を歩いていたり、ラストの立ち回りは木刀を振り回してるのに何故か切れ味よく血しぶきが上がったり、大怪我をして全身グルグルに包帯が巻かれていて、顔中包帯だらけのミイラ男状態の顔の目の部分にメガネをかけてるというコントまがいの描写や更に産まれて数ヶ月の赤ちゃんが渡辺に抱かれて「じいちゃん・・・」て喋ったり(監督の娘?あの受付にいた子の小さい時かな)・・・その他モロモロのいい加減な描写もどんなに本人が事実と言っても信憑性が大きく薄れてしまうな~
また事実を知る人間が命を狙われ、謎の公安関係と名乗る組織の人間に保護されてついベラベラと真実を愚痴ると何とその公安関係と名乗る男が自分の顔をベキベキと引き剥がし、何とマスクの下から出てきたのは・・・・渡辺監督!(あんた天知茂の明智小五郎か!)

監督自ら掴んだネタでエンターティメントな活劇要素を入れようとして爆弾テロまがいの航空サスペンスや天知茂ばりの変装を使ったミステリアスなトリック、そしてクライマックスの数十人の老人相手の木刀でのチャンバラ・・・粗い編集とガタガタのフィルムで見せてくれるけど、どうも滑稽で仕方がない!
しかし渡辺監督の「それでもヤッテヤル!」という心意気は判るから不思議ですね。
決して確信犯的にバカ映画を撮ってる訳でなく本人はいたって真面目に取り組んでるのがヒシヒシと伝わってきたよ。
ま、自主上映でないとこれは無理ですね・・・商業映画ではないからね。

映画終了前のナレーションこの事件の真実が語られるがそれによると・・・

演習中の自衛隊の無人標的機が誤って123便に激突!123便はバランスを失いダッチロールを繰り返し、一旦はファントム戦闘機の誘導により神奈川県の横田基地に着陸しようとしたが、突然に日本政府及び米軍は拒否!再び迷走することになるが、別の場所へ胴体着陸を機長は試みようと決意するも不可能と判断、再び横田基地を目指すも、日本政府の命令により123便はファントム戦闘機により撃墜されることになる・・・123便に激突した無人標的機の残骸が突き刺さっており、このまま着陸させたら事故が発覚するのを恐れたのと、それと123便の貨物室には極秘に運搬していた日本政府のある“物”があったため・・・墜落による発覚を恐れて撃墜したらしい。(最後のこのナレーションだけで内容が伝わるんで、この部分だけで充分なんだけどね・・・途中のドラマはいらんね・・・)

墜落現場を早くから掴んで置きながら、発表を遅らせたのはその“物”をまず回収することが最優先されたことらしく、その“物“を回収後にあたかも墜落現場がやっと特定できたように情報を流したよう・・・“物“については今、街中であの妖しいポスターで溢れかえっていて渡辺文樹がやってくるのを心待ちにしてる方々が読んでたらいけないので伏せておきます(ま、想像はつくでしょうけど)

これが事実なら国家レベルの日本国最大のスキャンダルであり犯罪だけど、これらは渡辺監督は米軍関係者から聞いたことで、海外の航空関係者ならよく知られてるとのこと・・・ホンマかい!

この映画を中曽根元首相の地元の群馬で公開したところ現地の反応は「何も新しい事実を描いてないじゃないか!こんなこと地元では皆知ってるよ!」だって・・・ホンマかい!

撃墜に関わった2名のパイロットは一人はすでに死亡、もう一人は気が狂ってしまったそう・・・更に積まれていたある“物“の影響で事故現場で作業していた自衛隊員が一様にその後に体に変調きたしたそうな・・・ホンマかい!

でもネタの信憑性や映画の内容はどうあれ(本人はいたって真面目!)見る側の好奇心を揺さぶるのはこの人上手いですね。
見世物小屋的なポスターの張り紙や、ゲリラ的な宣伝方法と限られた空間のみ共有出来る上映方式・・・そこに行かなければ(または渡辺文樹監督が街に来てくれなければ)見ることの出来ない作品群はある意味カルトと言う言葉だけではない貴重さがあるかもね~
ただ映画としてのレベルは・・・?????

私はあらかじめどんな物か予備知識あったんで腹もたちませんが、普通の映画を見にきた感覚の人は「何んじゃこりゃ?」とご立腹されても不思議ではないと思います。

映画が終って明かりが付いてまだ何かあるのかな?と言うような場内の雰囲気があったけど、やがてゾロゾロと無言で帰りだした。
外では数人の人たちが遠巻きに受付の机の上の「家庭教師」と「バリゾーゴン」のパンフを眺めている。(見た目はしっかりした普通のパンフレットやな・・・誰か買ってたね)
そんな針のムシロのような机の前でまるで群集に囲まれるように奥さんが「ありがとうございました~」と居心地悪そうに言ってました。
その横でパンフを睨む群集に囲まれながら母親を真似て子供も「ありがとうごじぇ~ました~」と言ってたのが微笑ましかったよ。(この子に罪はないよ~(笑))
机の上に「ビデオあります」ていう張り紙あるけど現品がない・・・何のビデオやろ(多分唯一ビデオ化されたらしいデビュー作の「家庭教師かな?」)

さて皆はどんな気持ちで帰ったんだろうね・・・私は作品の内容はもう期待しないけど、暴動騒ぎにもなった「バリゾーゴン」とか見てみたいな~
聞けば最新作がすでに完成してるとか・・・いつかまた電柱にあの妖しいポスターが貼られまくり出す日がきっと来るだろう・・・それはフィルム缶と映写機を下げて渡辺文樹が街を来襲する時でもある・・・



★★ 2007.6.18(月) 森ノ宮青少年会館 プラネットホール 19:00 中央最後列

最新の画像もっと見る

コメントを投稿