Cafe de Kerm ~毒味ブログ~

物言いにも、珈琲にも、もれなく毒が混入している可能性が無いこともないです。

誤った情報が人を殺す デマに注意

2011-03-16 19:05:48 | Thinkings

 前回の記事で、「災害時の新鮮な情報は大事」と書きましたが、全く不要どころかむしろ状況を悪くさせるやっかいなケースもあります。
 それが大規模な災害時につきものとも言える「デマ」、つまり誤った情報です。故意にせよ善意にせよ、事実にそぐわない情報は被災地に混乱を与えるだけで、有益な事は一切ありません。

 過去は人が対面して広まっていくものがほとんどでしたが、昨今はネット・携帯電話の普及によって、残念なことにデマの広まる速度、発生する下地が拡大しているのが現状です。
 今回の東日本大震災についても例外ではありません。

放射能対策 「黒い雨」「うがい薬飲め」はデマ YOMIURI ONLINE

 東日本巨大地震で、デマ情報が飛び交ったり、不安を募らせた住民が生活用品を買い占めたりしている。「黒い雨が降るので気をつけて」などと、根拠なしに危機感をあおるメールも流れており、関係機関は冷静な対応を呼びかけている。

 これらの多くはチェーンメールやリツイートなどで拡散しているようですが、送った本人に取っては善意でも、記述された情報が誤っていれば、お節介を通り越して不幸の手紙と大差ありません。
 また、むやみに危機感をあおる情報にも注意が必要。典型的なのが、

「政府やマスコミを信じるな」

というもの。むしろ、何を根拠に信じるなと言っているのか。どこの誰かも分からない人間の「信じるな」と政府発表なら、間違いなく政府発表を信じたほうが有益です。・・・その場を嘘情報でしのげたとしても、事態が収まってから糾弾されるのは彼らなんですから、そういうことをするメリットは薄いです。・・・そんなことも分からなくなっているなら可能性はないとは言えませんけど。
 ちなみに、放射能測定器を持っている企業・研究機関・個人は結構な数が存在します。もし、政府やマスコミが虚偽の測定値を発表したとしても、他に測定している人間全てに箝口令を敷くことは、デマが簡単に広がるような昨今では不可能ですからね。

 少なくとも、現場の人間は事態を収束させようと必死で動いて下さっています。自衛隊の隊員の方や、原発の対策に名乗りを上げられた東電社員の皆さんには大きな敬意を表します。もちろん、それぞれの自治体の職員の方や、救援に入っている皆さんも同様です。

 デマに踊らされるのは、彼らのがんばりを踏みにじる行為に等しいです。極端に情報が制限される中、せめて誤った情報を配信する側には回らないよう、気を付けなくてはならないですね・・・


光ファイバーの速度を1000倍以上にする新たな通信技術

2011-03-15 23:59:59 | Technology

 大地震などの災害に直面したとき、必要なのはとりあえずでも衣食住。そして、正確な情報です。友人が宇都宮にいるのですが、震災後に電話したとき「ラジオは重要だ。電気が止まって真っ暗な中、ラジオの情報は何よりもありがたい」と言っていました。・・・どこにあったっけか、ラジオ。

 テレビやラジオ、そしてインターネットで末端に伝えられる情報にしても、それを伝えられる基盤となっているインフラは光ファイバーでしょう。大量に、早く、そして安定して情報を伝達するために、ワイヤードの通信手段の重要性は揺るぐことはないでしょう。
 その通信手段を大幅にアップグレードするという、今後をにらんだ技術が発表されました。

1000倍以上の通信速度実現にも期待、光ファイバー1本で109Tbps(1秒間にDVD約2900枚分)の伝送に成功 GIGAZINE

独立行政法人 情報通信研究機構のプレスリリースによると、同機構はオプトクエストと住友電気工業と共同で、新型の光ファイバー1本で今までの世界記録である毎秒 69.1テラビットを大きく超えた毎秒109テラビット(=毎秒13.625テラバイト、4.7GBのDVD換算で2899枚分)の信号伝送実験に成功したそうです。

 この技術のキモは、情報を伝達する部分である「コア」と呼ばれる芯材を、現行の「光ファイバー1本につき1本」を7本にすること。単純に通信量は7倍/本になり、7本になることで別の通信技術と組み合わせることができるようになったため、通信速度が従来の1000倍に増強できると言う事らしいです。
 要するに、通信できる芯材を単純に増やしたと言う事なのですが、

「それぞれのコアから漏れた信号が干渉しあう」「ファイバの結合時にコアがずれる」といった技術的問題が解決され、7コアを実現しています。

という、技術革新があったようです。

 今後もますます、信頼できる高速度の通信技術は必要性が増していくことでしょう。クラウドの利用が増えていくならばなおさらです。その基礎となる技術故に、今後の普及具合に期待してしまいますね。


緊急地震速報が来た!

2011-03-14 19:30:12 | Thinkings

 被害の少なかった中部地方南部に住んでいますけれど、最初にあの長い揺れを味わったとき、そして悲惨な津波の映像を見てしまった後では、地震に対する恐怖感・意識は変わらざるを得ませんでした。

 TVは常に特番、各地から信じられないような被害状況が届く中。12日土曜日の早朝、突然携帯電話が今まで聞いたことのない音を鳴らし始めました。慌てて画面を見ると、

緊急地震速報
長野県で地震発生
強い揺れに備えて下さい。(気象庁)

という表示が。もう、パニック・・・とまでは行きませんでしたが、とりあえずあたふたしたのは事実です。結局は強い揺れはありませんでしたが、なるほど、心の準備は出来るものだと思ったものです。

 それから2日たった本日、今度は仕事中に2回、あの音が鳴り始め、一時騒然となりました・・・それも結局は強い地震は起こらなかったのですが。

 たとえ本当に地震が起きなくとも、いざというとき数秒間の「猶予期間」を与えてくれる緊急地震速報は本当に貴重なものです。「懐中電灯を探す」「メガネをかける」「倒れそうなものから離れる」など、数秒でも出来ることはたくさんあるはずです。真偽も10秒待てば判明するのですから、頻繁に誤報が続くようなことがなければ、早期にならないと思いますし。

 それよりも気になったのは、知らせていたのはauのiida MisoraばかりでiPhoneがずっと黙っていたことです。

 調べてみたところによると、なんでもドコモ、auに関してはスマートフォンを含めてほぼ全機種で緊急地震速報に対応しているのですが、ソフトバンクは831Nの1機種のみの対応にとどまっているという事実が判明しました。

 こういう災害が起こってしまうと、やはり情報収集手段が限られてしまうのは大きなデメリットに感じてしまいます。ソフトバンクには早急な対応をお願いしたいところですね。


一夜明けて・・・

2011-03-12 18:40:14 | Thinkings

 11日午後2時46分、東北地方をマグニチュード8.8、最大震度7という、日本観測史上最大の地震が襲いました。それに伴って発生した津波により、沿岸部の街、集落が壊滅的な打撃を受けた、と全てのTVチャンネル、ネットニュースも含めて報道されています。余震に加えて、長野、新潟でも立て続けに巨大地震が発生しており、死者・不明者が現在1700名に上っているとのころ。

 地面を嘗めるように全てをもぎ取っていった津波に、文明のはかなさをかみしめているところです。今後、一ヶ月程度の余震が続くと言われていますが、これ以上の犠牲者を出さないためにも、自治体・自衛隊・そして地域市民の方々には、あきらめないで頑張っていただきたいと、心からお祈り申し上げます。

 早く日常が戻ってくると良いな・・・


モバイルキーボードの本命は任天堂から?

2011-03-11 23:59:59 | Digital Devices

 突然ガタガタと音を立て始めたドア、緩やかにきしむガラスのパーテーション・・・15時ちょっと前、ビルの5階にいた私は長く続く揺れに恐怖し、緩やかで大きな揺れにすっかり船酔いよろしく気分が悪くなってしまいました。と、岐阜の震度2程度で泣き言を言っていた時、東北・関東の方ではとんでもない事が起こっていましたね・・・。最大10メートルの津波を伴う、マグニチュード8.9、最大震度7の観測史上最大の地震だったのですから。

 それを境に携帯電話やメールが一気に繋がりにくくなりまして。ただ、夜8時過ぎに栃木の友人に安否確認をしたところ、他のライフラインが全滅した中でも3G網は生きていたようで、ちゃんと無事を知らせてくれました。無線ネットワークの強さに感心しきりです。

 さて、いざ災害に遭ったときに心強い携帯電話ですが、通話が制限される中でも意外にメールは大丈夫なことが多いです。最悪、携帯電話が外部と繋がる唯一の手段になったりしますので、バッテリーの充電手段は確保しておきたいところ。そして、頻繁に打つであろうメールを格段に楽にするのが、外付けキーボードの存在です。・・・うん、色々と無理がある導入ですよね、分かってますとも。

 近頃は各種スマートフォンの普及により、手軽なBluetooth接続のモバイルキーボードに注目が集まっていますが、本命になり得るかも知れない製品が、意外なところから現れました。

Bluetoothキーボード付き「ポケモンタイピングDS」は5800円 ITmedia

 接続保証外ながらiPhone/Android端末でも使えるという任天堂製Bluetoothキーボードが付属するニンテンドーDSソフト「バトル&ゲット! ポケモンタイピングDS」の詳細がこのほど公開された。発売は4月21日、価格は5800円。

 価格は、ソフトの分を差し引かずとも、相場からすれば平均的な部類に入ります。白を基調とした、いかにもWiiの周辺機器らしい、丸みを帯びたデザイン。ですのできっと、ファームウェアの更新で、Wiiでも使えるようになるんじゃないでしょうか?

 キーピッチは17ミリと、こういう製品ではやや広めにとられており、独立型のキートップを採用したことと、右にCtrlキーとファンクションキーがないことを除けば、標準的なレイアウトで使い易そうです。エレコムのiPhone・iPad用のモバイルキーボードのエンターキーが小さすぎて採用を見送った身としては、標準的な二段配置となっているのは非常に好感が持てます。

 ・・・アマゾンで恒例の割引があったものですから、早々と予約をしてしまいました。タイピングゲームは起動するかどうか分かりませんけど。たぶん、私のようにキーボードだけが欲しくて買う人が結構な割合になりそうですね。


IDとパスワードから脱却・・・は難しい

2011-03-10 23:39:49 | Thinkings

 私の職場では、ドメインへのログインとグループウェアのログインに指紋認証を導入してからと言うもの、「IDとパスワードを直打ち」という機会は劇的に減りました。グループウェアにコミュニケーションツールがまとまっているので、その効果は絶大です。

 とは言え、IDとパスワードを指紋に紐付けているだけで、今まで通りのパスワードでも入れてしまうんですよね。また、特定のソフトウェアやサービスにしか対応していないため、対応外のサービスはまだパスワードは現役です。

 クラウドサービスが普及するのに伴って、管理するIDとパスワードもまた増えていきます。考えてみれば、私も仕事用のIDとパスをいくつか管理していますけど、そういう煩わしくリスキーな管理方法を止めないか?という話があります。

IDとパスワードにさよならを!ベリサインがSAFEを推進 ASCII.jp

ヘルプデスクの業務の3割は、パスワードの再発行に費やされており、多大のコストがかかっているのが実態だ。このコストを劇的に下げ、セキュリティを強化するのがパスワードやIDに依存しない高度認証(Strong Authentication)だという。

 パスワードの管理を厳密にやればやるほど、更新頻度が短く、そして覚えにくくなっていきます。そこで、ワンタイムパスワード発行用のトークンなど、IDとパスワードに依存しない認証方式を採用すれば、それらの煩雑さや面倒な管理から解放される・・・という寸法です。

 カードや携帯電話での認証など、確かに導入に関しては敷居が下がっている印象はあります。お財布ケータイ+リーダーなら個人でも導入は簡単ですし、実際に紐付けるソフトウェアもありますよね。

 でも、そこまで。それ以上を求めるとなると、ある程度以上の規模の企業とか、業務上必須であったりとか、どうしても「お金」と「メンテナンス」の面で敷居が上がってしまいます。
 それに、PCにスマートフォン、そしてタブレットと一人が使うサービスが多様化する中で、もっとも手軽に、ハードウェアの追加もなく、ソフトウェアの実装は最小限。そしてある程度の信頼性をもってユーザーを識別できる仕組みとしては、IDとパスワードは実に優れています。今後もしばらくは無くなりそうにないでしょうねえ・・・


EU圏内のインターネットサービスに巨大な足かせ

2011-03-09 23:47:32 | Thinkings

 想像してみて下さい。初めて訪れたサイトで突然言われる一言。

「クッキーを置いてよい?あなたのプライバシー情報を覚えておきたいんだ」

 そのサイトのことをよく知らないなら、いきなりそんなことを言われたら身構えてしまいますよね。今のご時世、些細なプライバシー情報にも敏感になっていますので、「それでもいいや」じゃなくて、「もっと別の、似たサービスを探すか」となってしまうことが多いことでしょう。・・・たとえ、クッキーがGoogleもAmazonも日常的に使っているような、当たり前の機能だとしても、です。

 でも、その「クッキーの使用に対する同意をユーザーから得る」というネガティブキャンペーンプロセスが義務化になるそうです。・・・ただし、EUに限る。

EUのはクッキーの読み書きでユーザの承諾を義務化–ヨーロッパのインターネット業界は墓場になるね TechCrunch

ヨーロッパのスタートアップの不利益は市場が小さい、ベンチャーキャピタルが少ない、地理的に拡散多様化している、だけでは不十分とばかりに、今度のEU全域法は、すべてのWebサイトに大きなプライバシー警告を押しつけることにより、EUのイノベーション企業の足を掬おうとしている。

5月25日より、その新法は、Webユーザをクッキーで追尾する場合には事前に”明示的な同意”を求めることを義務化する。つまり、消費者がEUのサイトを敬遠するような警告を出せ、ということ。同じEU域内で合衆国のスタートアップは、これまでと変わらず自由に振る舞える。なんて、すてきなことだろう。

 というわけで、言語の多様性など地理的条件に加え、さらにサービスからユーザーを遠ざけるような「立て看板」をEU圏内のウェブ企業は負わされるわけです。ちなみに、原文の通りなら、アメリカや日本などの他国企業が、自国のサーバーで運営するEU向けのサービスは対象外・・・というか規制できないそうで。このままではアメリカにEUの市場を明け渡すことになる、と元記事では警告してますね。

 元々、理不尽とも言えるような苛烈な締め付けで有名なEUのことですが、ここまで同じEUの企業に不利益を課す法律を作ることに意味があるのかは疑問です。・・・あるいは、クッキーについて何もご存じないのかも知れませんが。
 ただ、これによってEUのウェブ企業が全滅することにはならないでしょう。彼らは利用するサーバーとドメインを、海外に求める事になるでしょうから。EUになければ規制は受けないんでしょ?

 うん、日本のクラウド事業者の皆さん、チャンスかも知れませんよ?今のうちにEUのスタートアップに自社のレンタル仮想サーバーを売り込んでおいた方が良いんじゃないでしょうか?


日立GST、Western Digitalに買収される

2011-03-08 23:07:08 | Thinkings

 近頃は・・・というよりも、IT系の企業はM&Aが盛んですよね。それによって、今までひいきにしてきた企業が、ブランドがなくなってしまうと言うのは悲しいものですが。

 日立GSTのHDD、最近はずっと指名買いしてたんですけどね。

日立HDD事業の買収で賭に出るWestern Digital、その狙いは ITmedia

 既に世界第1位のHDDメーカーである米Western Digital(WD)は、3月7日に世界第3位の日立のHDD事業を43億ドルで買収すると発表し、さらなる規模拡大を図っている。

 今回の吸収合併の最大の目的は、日立GSTの強い企業向け市場だと言われています。確かに、一般向けにはSSDが大きく幅をきかせていますけれど、データセンターやNASなどの大容量を効率よく運用していくためにはHDDはまだまだ欠かせない技術です。SSDと比べても容量単価が桁違いですからね。

 なによりもスケールメリットが利益に直結する世界のことですから、今回の買収劇によってWDは大きな武器を手に入れたといえるでしょう。

 それにしても、日立GSTブランドのHDDが市場から消えるのは、やはりチョット寂しいですね・・・。日の丸ブランドと言うこともありますけど、個人的にずっと使ってきた事もあってさみしさもひとしおです。
 そういえば、私、ビデオカードもATIばっかりだったんですが、AMDに統一されてしまいましたね。うう、次は三菱がディスプレイから撤退したり、まさかのワコムが米ロジテックに吸収とか、マイクロソフトがエルゴノミクスキーボードを止めてしまったりとか・・・そういう日がこないことを祈ります。最後のはトラックボールで前例があるだけに、切実だったりします。頼むよMS!


NASA科学者が論文「地球外生物を発見したかも」

2011-03-07 21:34:48 | Science

<2011年3月8日修正 GIZMODOの記事は無用の誤解を与える可能性があるため、リンクと写真を削除しました。写真は地球の生物で、あくまでイメージであり、NASAの公式声明でもありません。>

 思わず目が点になりました・・・その後、今起こっていることがうまく理解できずに、何度も頭の中を疑問符が駆け巡り、口からは空気が漏れるばかり・・・

 だってそうでしょ?「地球外生命体を見つけた」っていうんですから!

「地球外生命体の化石を発見」、NASA科学者が発表 APP BB News

 NASA科学者のリチャード・フーバー(Richard Hoover)氏は4日、学術専門誌「ジャーナル・オブ・コスモロジー(Journal of Cosmology)」に論文を発表。ミミズのような形をした生命体の顕微鏡画像も添付した。
 フーバー氏は、数種類の「炭素質コンドライト」と呼ばれる水や有機物などが比較的多く含まれている隕石の断片を高性能の顕微鏡で観察したところ、バクテリア様の生命体を発見したとしている。

 フーバー氏は「化石は隕石の内部で見つかったもので、地球上で混入したものではない」と主張しており、化石が仮に生命だとするならば、歴史的なファーストコンタクト(ただし化石)ですよ!

 見つかったのは化石で、しかもバクテリア・・・しかし、これが何を意味するかと言いますと、「生命は地球上だけの特別なものではない」という、とんでもなく刺激的な証明です。そう、それこそ条件さえ揃えば、そこかしこの惑星に生命体が存在するかも知れないという印が見つかったと言う事です。

 宇宙人はいるか?・・・つまり、文明を持つまで進化できるかはまた別問題ですが、今回の発見の検証次第では、ドレイクの方程式で導かれる答えが大きい方にシフトしそうですね。うん、なんともロマンのある、そして未来が楽しみなニュースです。


くすぶる完全移行延期の声・・・しかし地域別移行はダメダメだ

2011-03-06 23:59:59 | Thinkings

 地上アナログ放送停波まであと4ヶ月と迫った今、テレビ放送を見ていると、至る所で地デジ環境への移行をお知らせするメッセージが表示されています。アナログ放送では画面下側の帯部分に、常に移行情報が表示され続け、宣伝、公表媒体としてはこれ以上無い形でPR活動が続けられています。
 エコポイントもほぼ想定通りの成果を上げたようですし、世帯普及率もかなり上がってきた模様です。

 ただ、それでも100%ではありません。中にはテレビそもそのを「みない」人がいるのかも知れないし、まだまだ買い換え時期を探っている人や、7月の「最後の特需」に標準を合わせている人もいるでしょう。また、テレビが見られなくなることが理解できない人や、経済的に新しいテレビが買えない人も当然出てくるでしょうが・・・だからといって、「移行を伸ばせ」と今になって言われても、政府としては簡単にハイとは言えないでしょうね。

地デジ:「移行は地域別に」有識者が提言 総務省は応ぜず 毎日jp

今年7月時点の普及率は9割前後にとどまるとの見通しを示した上で、全国32の放送地域ごとに普及が進んだところから順次、アナログ放送を停止し、完全移行は13年10月まで延期するよう求めた。

 逆に言えば都合90%以上の人が、様々な理由で納得した上で地デジへの移行をしている訳ですよ。様々な救済策や、民放各社が身銭を切って設備投資やPRをして、何年もの時間をかけて移行を進めてきたのに、直前になって「完全移行は止めます」なんて言えないですよ・・・。

 そういう建前的な理由は別にして、普及した地域別に完全移行に切り替えるというやり方は最悪でしょう。
 まず、何%まで普及してきたら停波するのか?最後の一人まで、なんてことがまかり通ると、たった一人のために民放各社が設備を維持し続けなければならなくなります。もしそんな事態になったとしたら、どこかがテレビを買い与えるなりして強制的に移行させるでしょうが・・・最後の一人までというのは現実的ではないでしょうから、仮に99%としましても、結局のところ残り1%は切り捨てるわけですから、やってる事は一緒です。また、誰がそれを調査するのか?という問題も残ります。厳密に行くなら、一軒一軒回ることになりますけど、誰が調査費用を出すの?ってことです。

 もう一点、電波の利用について。地域別に段階的に停波と言う事になると、そのアナログ放送の帯域は全国全てが停波するまで当然別のことには使えません。混信しますからね。変な話、山奥の過疎地区が数カ所残ったとして、数十世帯の為に巨額の経済損失が起こる可能性だってあるのです。・・・そうなったら、やっぱり大きな力が働くでしょうが・・・。

 ここまで来た以上、今更伸ばすという議論こそ現実的ではないでしょう。もし、方針転換がされるならば、それこそ今あるアナログテレビが全て壊れるまで、完全移行なんてできないでしょうね。次のXデイの時も、同じような議論が出てくることは不可避でしょうから。