前回の記事で、「災害時の新鮮な情報は大事」と書きましたが、全く不要どころかむしろ状況を悪くさせるやっかいなケースもあります。
それが大規模な災害時につきものとも言える「デマ」、つまり誤った情報です。故意にせよ善意にせよ、事実にそぐわない情報は被災地に混乱を与えるだけで、有益な事は一切ありません。
過去は人が対面して広まっていくものがほとんどでしたが、昨今はネット・携帯電話の普及によって、残念なことにデマの広まる速度、発生する下地が拡大しているのが現状です。
今回の東日本大震災についても例外ではありません。
放射能対策 「黒い雨」「うがい薬飲め」はデマ YOMIURI ONLINE
東日本巨大地震で、デマ情報が飛び交ったり、不安を募らせた住民が生活用品を買い占めたりしている。「黒い雨が降るので気をつけて」などと、根拠なしに危機感をあおるメールも流れており、関係機関は冷静な対応を呼びかけている。
これらの多くはチェーンメールやリツイートなどで拡散しているようですが、送った本人に取っては善意でも、記述された情報が誤っていれば、お節介を通り越して不幸の手紙と大差ありません。
また、むやみに危機感をあおる情報にも注意が必要。典型的なのが、
「政府やマスコミを信じるな」
というもの。むしろ、何を根拠に信じるなと言っているのか。どこの誰かも分からない人間の「信じるな」と政府発表なら、間違いなく政府発表を信じたほうが有益です。・・・その場を嘘情報でしのげたとしても、事態が収まってから糾弾されるのは彼らなんですから、そういうことをするメリットは薄いです。・・・そんなことも分からなくなっているなら可能性はないとは言えませんけど。
ちなみに、放射能測定器を持っている企業・研究機関・個人は結構な数が存在します。もし、政府やマスコミが虚偽の測定値を発表したとしても、他に測定している人間全てに箝口令を敷くことは、デマが簡単に広がるような昨今では不可能ですからね。
少なくとも、現場の人間は事態を収束させようと必死で動いて下さっています。自衛隊の隊員の方や、原発の対策に名乗りを上げられた東電社員の皆さんには大きな敬意を表します。もちろん、それぞれの自治体の職員の方や、救援に入っている皆さんも同様です。
デマに踊らされるのは、彼らのがんばりを踏みにじる行為に等しいです。極端に情報が制限される中、せめて誤った情報を配信する側には回らないよう、気を付けなくてはならないですね・・・