Cafe de Kerm ~毒味ブログ~

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くすぶる完全移行延期の声・・・しかし地域別移行はダメダメだ

2011-03-06 23:59:59 | Thinkings

 地上アナログ放送停波まであと4ヶ月と迫った今、テレビ放送を見ていると、至る所で地デジ環境への移行をお知らせするメッセージが表示されています。アナログ放送では画面下側の帯部分に、常に移行情報が表示され続け、宣伝、公表媒体としてはこれ以上無い形でPR活動が続けられています。
 エコポイントもほぼ想定通りの成果を上げたようですし、世帯普及率もかなり上がってきた模様です。

 ただ、それでも100%ではありません。中にはテレビそもそのを「みない」人がいるのかも知れないし、まだまだ買い換え時期を探っている人や、7月の「最後の特需」に標準を合わせている人もいるでしょう。また、テレビが見られなくなることが理解できない人や、経済的に新しいテレビが買えない人も当然出てくるでしょうが・・・だからといって、「移行を伸ばせ」と今になって言われても、政府としては簡単にハイとは言えないでしょうね。

地デジ:「移行は地域別に」有識者が提言 総務省は応ぜず 毎日jp

今年7月時点の普及率は9割前後にとどまるとの見通しを示した上で、全国32の放送地域ごとに普及が進んだところから順次、アナログ放送を停止し、完全移行は13年10月まで延期するよう求めた。

 逆に言えば都合90%以上の人が、様々な理由で納得した上で地デジへの移行をしている訳ですよ。様々な救済策や、民放各社が身銭を切って設備投資やPRをして、何年もの時間をかけて移行を進めてきたのに、直前になって「完全移行は止めます」なんて言えないですよ・・・。

 そういう建前的な理由は別にして、普及した地域別に完全移行に切り替えるというやり方は最悪でしょう。
 まず、何%まで普及してきたら停波するのか?最後の一人まで、なんてことがまかり通ると、たった一人のために民放各社が設備を維持し続けなければならなくなります。もしそんな事態になったとしたら、どこかがテレビを買い与えるなりして強制的に移行させるでしょうが・・・最後の一人までというのは現実的ではないでしょうから、仮に99%としましても、結局のところ残り1%は切り捨てるわけですから、やってる事は一緒です。また、誰がそれを調査するのか?という問題も残ります。厳密に行くなら、一軒一軒回ることになりますけど、誰が調査費用を出すの?ってことです。

 もう一点、電波の利用について。地域別に段階的に停波と言う事になると、そのアナログ放送の帯域は全国全てが停波するまで当然別のことには使えません。混信しますからね。変な話、山奥の過疎地区が数カ所残ったとして、数十世帯の為に巨額の経済損失が起こる可能性だってあるのです。・・・そうなったら、やっぱり大きな力が働くでしょうが・・・。

 ここまで来た以上、今更伸ばすという議論こそ現実的ではないでしょう。もし、方針転換がされるならば、それこそ今あるアナログテレビが全て壊れるまで、完全移行なんてできないでしょうね。次のXデイの時も、同じような議論が出てくることは不可避でしょうから。