Cafe de Kerm ~毒味ブログ~

物言いにも、珈琲にも、もれなく毒が混入している可能性が無いこともないです。

EU圏内のインターネットサービスに巨大な足かせ

2011-03-09 23:47:32 | Thinkings

 想像してみて下さい。初めて訪れたサイトで突然言われる一言。

「クッキーを置いてよい?あなたのプライバシー情報を覚えておきたいんだ」

 そのサイトのことをよく知らないなら、いきなりそんなことを言われたら身構えてしまいますよね。今のご時世、些細なプライバシー情報にも敏感になっていますので、「それでもいいや」じゃなくて、「もっと別の、似たサービスを探すか」となってしまうことが多いことでしょう。・・・たとえ、クッキーがGoogleもAmazonも日常的に使っているような、当たり前の機能だとしても、です。

 でも、その「クッキーの使用に対する同意をユーザーから得る」というネガティブキャンペーンプロセスが義務化になるそうです。・・・ただし、EUに限る。

EUのはクッキーの読み書きでユーザの承諾を義務化–ヨーロッパのインターネット業界は墓場になるね TechCrunch

ヨーロッパのスタートアップの不利益は市場が小さい、ベンチャーキャピタルが少ない、地理的に拡散多様化している、だけでは不十分とばかりに、今度のEU全域法は、すべてのWebサイトに大きなプライバシー警告を押しつけることにより、EUのイノベーション企業の足を掬おうとしている。

5月25日より、その新法は、Webユーザをクッキーで追尾する場合には事前に”明示的な同意”を求めることを義務化する。つまり、消費者がEUのサイトを敬遠するような警告を出せ、ということ。同じEU域内で合衆国のスタートアップは、これまでと変わらず自由に振る舞える。なんて、すてきなことだろう。

 というわけで、言語の多様性など地理的条件に加え、さらにサービスからユーザーを遠ざけるような「立て看板」をEU圏内のウェブ企業は負わされるわけです。ちなみに、原文の通りなら、アメリカや日本などの他国企業が、自国のサーバーで運営するEU向けのサービスは対象外・・・というか規制できないそうで。このままではアメリカにEUの市場を明け渡すことになる、と元記事では警告してますね。

 元々、理不尽とも言えるような苛烈な締め付けで有名なEUのことですが、ここまで同じEUの企業に不利益を課す法律を作ることに意味があるのかは疑問です。・・・あるいは、クッキーについて何もご存じないのかも知れませんが。
 ただ、これによってEUのウェブ企業が全滅することにはならないでしょう。彼らは利用するサーバーとドメインを、海外に求める事になるでしょうから。EUになければ規制は受けないんでしょ?

 うん、日本のクラウド事業者の皆さん、チャンスかも知れませんよ?今のうちにEUのスタートアップに自社のレンタル仮想サーバーを売り込んでおいた方が良いんじゃないでしょうか?