最初にUSB1.0が発表されたときの衝撃は今でも覚えています。
その頃の外付けコネクタ規格と言いますと、RS-232C、D-sub 9ピンといった、今ではPS/2くらいしか残っていないんじゃないかと思われるレガシーなものしかありませんでした。大概はホットスワップ・・・電源をつけたままの抜き差しに対応していなかったり、転送速度が冗談みたいに遅かったりと、世の中がWindowsに移行していくにあたり、その使いにくさは徐々に表に出てきていました。
マウスやキーボード、タブレットなどの入力機器はよかったですが、ストレージ用途にはとてもじゃないですが使えませんでした。640×480ドットのJPG画像1枚をデジカメから読み出すのにどれだけ待たされたことか・・・。
そんなわけで、たとえ12Mbpsといえど、シリアルよりは気軽に使えるようになったUSBの登場は本当に革命的なことでした。IEEE1394との確執もありましたけれど、USB1.0からUSB2.0に移り変わっていく過程で、世の中の外付け周辺機器のシェアがみるみるうちにUSBに塗り変わっていく様はVHSからDVDの過程よりもダイナミックだったと思います。
そのUSB2.0のネックを挙げるならば、転送速度がそうだと言えなくもありません。言い方が曖昧なのは、個人的には「そんなもんだ」と割り切って使っているからなんですが。
現在のUSB2.0の転送速度は480Mbpsですから、1秒間に60MBのデータを転送できる計算になります。フロッピー41枚分です。いったい何の不満があるというのでしょう!
いや、それが不満はあるんですね。
ある程度の速度が確保できるに従ってストレージ用途として使われることが多くなってきた結果、これまでは比較されることもなかった内蔵HDDなどとの速度差がクローズアップされることになってきたのです。
ちなみに、現在内蔵HDDの接続に標準的に使われているシリアルATA2.5という規格の場合、2.4Gbps、秒間300MBの転送速度です。USB2.0の約5倍ですね。もっとも、HDD自体の性能が最速でも秒間130MBくらいですので、結局は倍くらいの性能差に収まるわけですけれど、扱うファイルサイズが大きくなっている今、倍も違うとさすがに不満も出てくるってものです。・・・普段は気にならないのですが、数百GBのハードディスクをフォーマットするときはさすがに泣けたかなあ。
前置きが本当に長くなりましたが、転送速度問題を一気に解決し、USB1.0、2.0の機器もそのまま使えるUSB3.0の仕様が、11月17日に正式発表されるようです。
次世代USB規格、USB 3.0の仕様がまもなく発表へ CNET Japan
2009年に登場が予定されている次世代の高速接続規格、USB 3.0の仕様は、将来あらゆるPCやデバイスがこれを基にしたコネクター類を採用することになるため、大きな意味を持つ。また、新仕様における伝送速度は、この数年間に発売されたほぼすべてのPCで採用されているUSB 2.0の10倍にあたる、およそ5Gbpsになるとみられている。
5Gbpsと言うことは、秒間625MBの転送速度。シリアルATA2.5の倍の性能と言うことですが・・・現在読み出し最速のSSDでも260MB程度ということで、いったいどんな機器がその有り余る帯域を使い切れるか想像がつきませんね。ただ、帯域に余裕があると言うことは、規格自体の寿命が長くなると言うこと。規格の寿命は機器の充実に直結しますので、長い繁栄を期待します。