先週末、私にもお話をさせていただく機会をいただいたサマーセミナーは京都で開催された。京都を歩いて驚いたのは観光客の数。前回訪れたのは病理学会の時なので、もうかれこれ6年ぶりになるのだが、そのときに比べると外国人がとても多く、夜遅くの先斗町でもたくさんの人とすれ違った。下手をすれば日本人の観光客よりも数が多かったのではないかと思えた。
今回会をお世話してくださった地元の先生も、「もう、ここはどこの国なのか、と思うことがよくあります。」とおっしゃっていたが、たしかにそうだった。
鎌倉も、ずいぶん外国人の観光客が増えたと思っていたが、まったくその比ではなかった。さすがに世界遺産だけのことはある。
鎌倉は、東京に近いので少し足を伸ばしてやって来る人がいるが、京都は京都を目指して世界中の人がやってくる。今回はなぜか鎌倉人として京都を訪れるという意識があったので、違いはどれほどあるかと比べたかったが、その思いはまったく意味のないものだった。まったく京都は立派な古都だった。
それぞれの寺社のスケールが違うのはあきらめるとしても、とにかく京都は道路が広く、ちゃんと整備されている。鎌倉は駅前のロータリーはぼこぼこだし、道路は狭くて、交通事故があまり起こらないことのほうが不思議なぐらいだ。税金は一体なにに使われているのだろうといつも思う。
このままでは、はるばる外国から来てくださった方に申し訳ない。
それにしても、鎌倉というのは狭くて小さい。三方を山に囲まれた内側には幕府とそこに使える武士および関係者しかおらず、完全な軍事行政都市だったといえる。そんなところでは、京都のような伝統文化が育つことは無かったのだろうか。ある意味、武家の都市というのは間違っていないが、文化的にはそれほど興味深いものはない。
それでも、多くの寺社が残っていることは幸いだ。そして何より鎌倉には海がある。それはそれで、鎌倉も楽しい時間を過ごすことのできる街ということができる。