ちびずマムのマイペースな育児・料理・翻訳日記

2007年生まれの1号くんと2010年生まれの2号くんに振り回されつつ、自分の夢もなんとか追っていきたい、ちびたちのマム

武田綾乃『その日、朱音は空を飛んだ』

2021年06月27日 | 読んだ本(日本語)
武田綾乃著『その日、朱音は空を飛んだ』

ある金曜日の放課後、1人の女子高生が学校の校舎から飛び降り自殺をした。
遺書は見つからず、学校はいじめがあったのでは、と生徒にアンケートを行う。
そのアンケートへの回答とともに、その回答者の視点から物語が語られる。

回答者1:超ゆるゆるサッカー部のイケメン男子高生。
よくある「俺たちには知る権利がある!」的思想の持ち主。SNSにアップされた
自殺シーンの動画を手に、真実を探ろうとする。けれど、意外や意外、その動画を
撮影したのは彼で。自殺した女子生徒・朱音の幼馴染みで親友の女子生徒を疑う。
それに対する女子生徒の言葉が辛辣。「知りたいって思う人間全員に真実を知る権利があるとは、
私には到底思えない」(P54、1行目)。

回答者2:モブでいたいために努力を惜しまない女子生徒。
なんか中学生のときの自分を思い出して、めっちゃ共感した。

回答者3:第三者から見れば派手な自己中女、だけど、意外とそうでもない。

回答者4:大人は嘘をついたりごまかしたりするから大人になりたくない、
子どものままでいたい、という頭きれっきれの超絶優等生。笑い方が変。

回答者5:朱音の元彼。今どきこんな男尊女卑思想の若者がいたんだ!
すげー、どんだけ他人を下に見てるねん。

回答者6:いい子でいるために、いろいろな重荷を背負ってしまった女子高生。
朱音の幼馴染み。莉苑と仲良くなっててよかったね!

差出人:朱音

最後まで読むと、これは超絶優等生・莉苑対朱音、ということになるのかな。
朱音の思考が怖い。目的のために仕込まれた手紙が恐ろしい。
そして、莉苑の勝利、というか。すごいな、莉苑。

この本のジャンルは何になるんだろう。ミステリ?のような??