ちびずマムのマイペースな育児・料理・翻訳日記

2007年生まれの1号くんと2010年生まれの2号くんに振り回されつつ、自分の夢もなんとか追っていきたい、ちびたちのマム

加藤元『本日はどうされました?』

2022年02月26日 | 読んだ本(日本語)
加藤元著『本日はどうされました?』

『四百三十円の神様』とはまたぜんぜん違うな~(←は表紙で買ったから中身知らんかった(笑))。

E病院で入院患者の連続不審死が発生し、噂を聞きつけた週刊誌のフリー記者が独自で調査を始めるんだけど、
登場人物が記者のインタビューに答えるという形式で、各章が進められていくのが新鮮。

途中で気難しいじーさんが「まなちゃん」と名字の愛称で呼んでて、ん? 名字で呼ぶん? 珍しい。
と思ったら、次の「まなちゃん」にすんごい違和感あって、目次見直したら、あー……
犯人はあなたね? みたいなミスリードが織り込まれていた。

どんでん返しがあるのかな、と思ったけど、そのままで、事件(疑惑?)は何も解決せず、
読者は歯がゆく、後味の悪いまま終わってしまった。

このまなちゃん、どうしたらええんやろうな? カウンセリング受けても、カウンセラーをうまく
ごまかしそうだし。ほぼ生まれつきっぽい性格やのに、治るん? 無理やろ?

そんで、その性格を最後で記者が、母親との関係がまなちゃんの性格に影を落としてるのかも、って
言ってるけど、同じ母親としてはなんか許せなかった。このお母さん、めっちゃがんばってたやん。
典型的なダメ夫、育児にも家事にもまったく協力しない自己中男の面倒を見ながら、
一人で孤独に子育てしてて。姑はちくちく言ってくるし。そんな中でがんばって育ててた記述には
涙が出そうだった。それなのに、原因は母親かもって!? 人を蔑んでた父親のほうがよっぽど
悪影響与えとらんか!!?? となんかムカムカしてしまった。完全に母親目線やな(笑)。

帯にイヤミスって書かれてたけど、こういうんがイヤミスなんかな。初めて読むタイプでした。




まただ

2022年02月18日 | 日記
長男のクラスで陽性者が出たそうで、また途中下校してきました。考査期間中なんだけど、
学級閉鎖の期間にあるテストは見込み点が出されるんだそう。

学級閉鎖終わってようやく学校始まったらまた……っていうのがこれで3回目。

もうそろそろ落ち着いてもいいのになぁ。っていうか、落ち着いてほしいよ。

アンデシュ・ルースルンド、ステファン・トゥンベリ『熊と踊れ』

2022年02月06日 | 読んだ本(日本語)
アンデシュ・ルースルンド、ステファン・トゥンベリ著、 ヘレンハルメ美穂、羽根由訳『熊と踊れ』

これ、上下に分かれてまして。上を半年くらい前に読んだんだけど、なかなか下が読めなくて、
ようやく心を決めて読みました。

というのも、すごく登場人物に感情移入してしまって。読み進めるのがつらかったんですよ。

上では、父親の暴力で家庭が崩壊した三兄弟が、緻密な計画を立てて軍の武器庫から武器を盗み(それも
しばらく発覚しないように)、現金輸送車襲撃や銀行強盗を企てる。ちょいちょいトラブルはあるものの、
大胆な手口で死者を出さずにお金を盗む。でも、死者は出なくても、殺しそうになったり、殺されそうになった
警備員の心に深い傷を負わせたり……と人間の心に関する描写があって、なんだかつらい。

そして、三兄弟の長男、頼れるイケメン(←多分)レオが、ものすごく冷静なんだけど、ふとしたことで
やらなければいいことをやってしまって、なんか不穏な空気が感じられるようになったところで
上が終わった。ので、破滅に向かう下がどうしても読み進められなくて。

レオたちの生い立ちを思うと、悪党がハッピーエンド的なストーリーを願ってしまう。もっと
明るくて勧善懲悪のルパン三世的な(違う??)。

だけど、裏表紙にも書かれているように、この事件は現実にあった事件をベースにしたもので。
事件は苦しい結末を迎える(レオに感情移入しちゃってるから、とにかく苦しかった)。

あとがきに驚くべきことが書かれていて、以下ネタバレ。
共著者のステファンは小説のモデルとなった三兄弟の実の兄弟なんだそうで。
だけど、スウェーデンでは家族の絆がものすごく固いので、兄弟が強盗をしてることを
知ってても警察に通報しない(しないことも罪に問われない)んだそう。

あとがきでこの本は犯罪の前後を記述している、とあったけど、犯罪に至る経緯(父親の暴力とか)、
犯罪の影響(被害者の心に傷とか)に触れているすごい内容の濃い小説だった。

警部もなんか心病んでそうやし。元恋人が忘れられず、結構ストーカーまがいなことを(笑)。
本物の人間ってそんなもんなんだろうな。

重かった。