ちびずマムのマイペースな育児・料理・翻訳日記

2007年生まれの1号くんと2010年生まれの2号くんに振り回されつつ、自分の夢もなんとか追っていきたい、ちびたちのマム

柚月裕子『凶犬の眼』

2019年09月19日 | 読んだ本(日本語)
柚月裕子著『凶犬の眼』

『朽ちないサクラ』を読んだとき、『慈雨』とテイストが違う、みたいに書きましたが、
思ったんですけど、柚月さんっていろんなテイストのお話を書く作家さんなんですね~。
すみません、今頃知りました。

この作品は『孤狼の血』の続編のようですが、順番を間違えて先に読んでしまいました。

なんていうのかな、ハードボイルドっぽい気がします。
米国の有名私立探偵小説を彷彿とさせるような。

ストーリーは登場人物が多くて結構こんがらがってしまったのですが、
一本ぶっとい筋が通った日岡秀一巡査(最後は巡査部長)のお話です。

最後、日岡が盃を交わした国光が殺されますが、どうなるんだろう。

柚月裕子『朽ちないサクラ』

2019年09月09日 | 読んだ本(日本語)
柚月裕子著『朽ちないサクラ』

数日前に読んだ『慈雨』がすばらしかったので、同じ柚月さんの本を読んでみました。

感想は、一言で言うと「あれ?」でした(^_^;)
『慈雨』の深みと重みのあるストーリーに惹かれたので、同じようなテイスト(?)の
話を期待してたのですが、あれあれあれ、ぜんぜん違いました。

主人公は29歳の女性警察事務職員・泉。警察官ではなく、
架空の米崎県というところの県警で事務職をしています。

んで、警察学校時代の同期(3歳年下)くんが出てきて、ほんのりした展開になるのかな~と
思いきや、月に1度会って食事をするだけという関係を4年も続けていて(4年も!!!!!!)、
一緒に真相を追いかけるのに、特に進展なし。

物語としては、警察がストーカー被害者の被害届の受理をのらりくらりとかわしている間に
慰安旅行に出かけ、その後受理したけど、受理2日後に被害女性が殺害されてしまい、
慰安旅行の件を地元の新聞社にスクープされる、という始まり。

スクープした新聞社に、主人公・泉の高校時代の親友が勤めていて、しかも彼女が
サツ回りだったことから、泉は親友がスクープしたのだと思う。

実は、同期男子が泉に慰安旅行のお土産をくれたんだけど、それがすごくおいしくて
泉はつい親友に、今度お取り寄せしてあげようかとポロッと言ってしまった。親友はその言葉から、
管轄署の警察官たちが慰安旅行に行っていたことに気づき、特ダネだと思うんだけど、泉に
秘密にするよう頼まれて、スクープしないと約束。
けれど、なぜか新聞にスクープ記事として発表されて、警察への信頼はがた落ち、
泉は苦情電話に対応する毎日。

親友は泉に裏切ったと責められ、自分の潔白を証明するために、スクープのネタ元を探すと
泉に宣言。

そんななかで親友が殺されるのですが。

なんだろう。まあ、終わり方も釈然としないし、なにより同期男子が……(^_^;)
びっくりするくらいいい人。いい人過ぎて、彼が最後、
公安に心酔しているような発言をするので、実はこやつが黒幕の手先だったのか!?と深読みしすぎたよ。

結局、ただのいい人で、ふたりの仲もぜんぜん進展しません。ちょっとくらいはしてほしかったけど、
展開的には無理そうですね。

主人公が若い女性って時点で、恋愛を期待しちゃうからダメなんだな~。
『慈雨』みたいに警察官を退職したおじさんが主人公ってわかってたら、
別に恋愛を期待しないで読めるんだけど。

やだよ~、もう

2019年09月04日 | 日記
住んでいるマンションで10年目の大規模修繕工事が始まりました。
んで、今、足場が組まれている最中なんだけど、うちは南西の角部屋なので、
まだ南側のバルコニーには足場が組まれてません。けれど、西側には組まれていて、
ちょうど部屋の角のところにも足場が組まれているのです。

洗濯物を干したり入れたりしようとしたら、その角のところの足場にいる
職人さんと目が合っちまいました……。うひー。手抜きメイクに部屋着だ。
恥ずかしすぎるので、隠れました(いや、職人さんにはどうでもいいことなのかもしれないけど)。

バルコニーの前には足場が組まれてないから、洗濯物を干していいことになってるんだけど、
干すのをやめてる人もいるし、そう何度も目が合うのは恥ずかしいし、
これは外に干すのを控えるべきか??

でも、布団やバスタオルはやっぱり外に干したいっす。

柚月裕子『慈雨』

2019年09月02日 | 読んだ本(日本語)
柚月裕子著『慈雨』

電車の扉横に広告スペースがあるじゃないですか。あそこにしばらくこの本の
広告が掲載されていたことがあったんです(お気づきになった方もいらっしゃるかな?)。

広告を見たとき、主人公が元警察官(ということはおじいさん?)だし、イケメン刑事は
出てこなさそうだし、なんか表紙も暗いし……で最初は買う気はなかったのですが、本屋さんで
どの本を買おうかな~と見てたら、『慈雨』が平積みされてまして。つい、手にとって
ぱらぱらっとめくったら、たまたま読んだページに引き込まれました。

先輩刑事が殉職したシーンという、普通なら「人が死ぬ~、いや~」と思うのですが、
なんか本当に胸にぐっと来て、「買おう」と思いました。

んで、読み終わりました。

私がこれまで出会った本って、先が気になって気になって、徹夜してでも読み進めたい本か、
途中で飽きてきて挫折してしまう(もしくは流し読みになる)本のどちらかだったのですが、
これはどっちにも当てはまらない。じっくり時間をかけて味わって読みたい本だと思いました。

ざっくり言うと、定年退職した刑事が、心に引っかかっていたことを昇華するために
奥さんと一緒にお遍路をするというものです。まー、昔の(?)寡黙な親父って感じで、
はっきり言って主人公・神場さんがだんなさんでもお父さんでも嫌です(笑)。

でも、そう思って読んでいたけど、彼が歩んできた人生、秘めた思いなんかに触れるうちに、
なんかすごいわ、この人、と思わされました。

お遍路に出ている間に、引っかかっていた16年前の事件と、類似する事件が起こります。
けれど、16年前の事件はすでに犯人が逮捕されていて解決済み。
当時から、神場さんはその犯人に対して違和感を覚えていて、
冤罪の可能性を考えていました。冤罪の可能性を示す目撃証言も出てきたけれど、
その事件をひっくり返すとなると、当時用いられたDNA型鑑定の信頼が揺らぎ、
警察への信頼も揺らぎ……みたいな感じで、当時は権力に屈しちゃったわけです。
そして、そうして屈したことに罪の意識を感じていたのですが……。

お遍路を続ける中で、同じお遍路さんや地元の女性との出会いを通じて、
心が動き始め、事件のヒントを得ます。娘(この娘に関してもいろいろストーリーあり)
と優秀な部下との交際をずっと反対してきたけれど、最後は感動的な形で認めることになります。

神場さんは、事件が解決し、16年前の事件が冤罪だとわかったら、自分の退職金と財産を
冤罪で服役した男と、真犯人の2人目の犠牲者となった女の子の両親に
渡そうと決意しています。なので、解決した、やった~みたいなすっきりした終わりではないの
ですが、それでもすっきりするのが不思議。

タイトルの慈雨は、最後にひっそりと慈雨です。

よくあるさら~っと捜査一課の刑事を登場させた推理小説が、薄っぺらく表面的に思えるほど、
警察内部の描写も心理描写も深いです。この作家さんの他の本も読んでみたい。

いったいどんな人生経験を積んできたら、こんな本がかけるんだろう(心から脱帽)。