ちびずマムのマイペースな育児・料理・翻訳日記

2007年生まれの1号くんと2010年生まれの2号くんに振り回されつつ、自分の夢もなんとか追っていきたい、ちびたちのマム

ジョン・ル・カレ『スパイはいまも謀略の地に』

2021年06月10日 | 読んだ本(日本語)
ジョン・ル・カレ著、加賀山卓朗訳『スパイはいまも謀略の地に』

ちょっと前に日本人スパイが主人公の小説を読んだけど、これはイギリス人スパイが主人公の小説。
なんだろう。ジェームズ・ボンドっぽいのを想像してたらぜんぜん違った。
ハラハラドキドキ追跡劇、戦闘シーンとかはまったくない。

ベテラン情報部員のナットも中年となり、引退の時期が迫っていた。イギリス国内は
EU離脱で混乱し、アメリカはトランプが大統領。そんな時期。

対ロシア活動を行う部署の再建を打診され、引き受けたものの、なんかいまいち
パッとしない部署。一方で趣味のバドミントンで若者エドと親しくなる。
まー、なんかあとあと絡んでくるんやろな、と思ったら、案の定。

休眠工作員が眠りから覚めるっぽくなって、ナットがそっちの対策で忙しくなったとき、
エドが彼自身の理想とする考えから、ドイツの大使館に仕事で知り得た超極秘情報を売ろうとする。
ドイツはいったん断ったのに、やっぱりちょうだいと言ってきて、不思議に思いつつエドは信頼されるために
極秘情報をいくつか売る(というか漏らす)。でも、それが実はドイツとのやりとりを聞きつけた
ロシアの情報局で、それをイギリス情報局が掴んでエドを始末(決して殺すという意味ではない)しようと
するけど、ナットとそのすばらしき奥さん(やり手弁護士)が海外に逃がしてあげるっぽい話だと理解した。

なんか複雑で、何日かかけて読んでたら、だんだんこんがらがってきてしまった。

それにしてもナットの部下で、(上司の妻の悪事を暴こうとして)解雇されたフローレンスが
エドと結婚したのはなんだか急展開。嘘かと思ったら本当だったからちょっとびっくり。

アクションではなく心理戦のようなものなのかな。

過去の作戦を思い出しながら話している、といったような語り口の小説だった。