9月29日 醸芳中学校(福島県)
30日 相馬農業高校飯館校(福島県)
10月1日 金津高校(福井県)
2日 日本大学第二高校(東京都)
3日 清明高校(大阪府)
4日 久居西中学校(三重県)
今週の『ハムレット』は東北からはじまり、関東、東海、関西を跨ぐ旅を行いました。
醸芳中学校
初日は福島県伊達郡の中学校。2009年の『Touch~孤独から愛へ』に続く、2度目の上演となる学校でした。
終演後にご挨拶いただいた先生の「生の演劇は、観客の想像力で観ていくものだとあらためて感じた。」という言葉が印象的です。
「クローズアップやカットで編集されない、それぞれの視線と想像力が物語をつくっていく。」舞台に向ける生徒たちのまなざしをそのように受け止め、先生方も一緒になって共にした時間を感じ、嬉しい言葉でした。
代表の生徒さんからは自身の感想として、「きずな、ということを感じました。」という言葉をもらいました。
終演後には片付けの手伝いに有志の、全校の半数近いのではと思われる150名くらい(?)の生徒たちが集まってくれ、にぎやかで楽しい撤去の時間となりました。
相馬農業高校飯館校
2日目は福島第一原発事故による計画的避難地区に校舎を持つ、相馬農業高校飯館校。2012年度から福島市内にある福島明成高校内に移転し、未だこの仮設校舎で授業を行っていると聞きます。
公演は日本赤十字社福島支社の主催によるもので、春には生徒数30名程の浪江高校で『ヘレン・ケラー~ひびき合うものたち』を、体育館で公演しました。
今回の相馬農業高校飯館校は生徒、先生、父兄を含めて70名程。客席数が1500を超える福島公会堂での公演でしたが、空席を全く感じない濃密な時間を持った、贅沢な公演となりました。
終演後には衣装のままで生徒たちと交流。帰りのバスの時間までの短い時間に、俳優やスタッフと感想を言い合ったり、舞台のセットに触れたり。大きな先生が舞台セットのガラスケースに入ると、生徒たちも大盛り上がりでした。
金津高校
金津高校での公演は、開講記念行事の一環として行われました。
思いの外に涼しい日々が一転、汗の飛び散る体育館での公演。900名弱の客席も相当に暑かったと思いますが、ひとりひとりの存在が感じられる楽しい公演でした。
今回のツアーで思うのが、この客席の、ひとりひとりの存在です。
「舞台と観客の新たな対話の可能性」と度々言ってきましたが、作品を介在して、観ている一人ひとりと舞台に立つ一人ひとり、それぞれがそれぞれの思いや意見を持って関わっていくーそういう対話のなかに人間が存在していく実感を、強く持つ公演の場です。
写真は公演後にお手伝いをしてくれた元気な生徒たちとのショット。
日本大学第二高校
この日は福井から東京に戻り、立川市民会館での公演。1年生と3年生1000人がで会場いっぱいの公演でした。
演劇部の顧問でもある鑑賞会ご担当の先生は、東中野の拠点劇場レパートリーシアターKAZEにも、何度か足を運んでいただいてます。
来年からは1年生のみの鑑賞会になるとのことで、今回1,3年生で見れる最後にこの作品をやれて良かった、と終演後の楽屋に訪ねてくださいました。
授業の確保などなど様々に立ち上がる壁を越えて、「生徒に本物に触れさせたい」と尽力する先生方が「上演して良かった」と言ってくださる言葉は、本当に大きな喜びです。
清明学院高校
先生方を含めて1300人近い清明高校。この日も3階席までの客席が、ほぼいっぱいとなりました。
清明学院高校は、作品の紹介から公演までの打ち合わせを私自身が行なって来た学校。開演前、「いよいよこの日がやって来ました。楽しみにしています。」とのご担当の先生からの言葉を受け止め、期待を持って待ってくれている方々の姿を胸に舞台に立ちました。
ひとりの劇団員がひとりの先生と出会い、つくられている風の巡回公演の場。九州を巡演している『ヘレン・ケラー~ひびき合うものたち』にも思いを馳せる日でした。
久居西中学校
この日の公演は、近くの小学校の体育館を借りて行いました。文化祭で午前中、生徒たちが舞台発表を行い、午後から小学校に移動して観劇というプログラム。小学校からも希望の保護者と生徒が一緒に観劇しました。
「初めて電話しますが、うちの学校で公演をお願いできますか?」という先生からの電話から、この公演が生まれました。聞くと15年前、ご自身が中学生だった時、文化庁主催の『星の王子さま』公演で、風の舞台を観たとのこと。ブラスバンド部として参加もし、「あれから人生が変わりました。生徒たちにぜひ。」と、小学校も巻き込んで行われた公演は、ひとつの場、人の人への思いが生み出す力をあらためて心に刻む公演でした。まさに「劇場とは、奇跡を起こす場」。
写真は終演後、『星の王子さま』で当時も今もキツネ役を演じる工藤順子と先生の再会。生徒たちがみんなでショーケースに入った楽しい場面は取りそこなってしまいました。残念!
来週は岐阜から近畿、東北をまた駆け巡ります。
文・柴崎美納