勝手に映画評

私の見た映画を、勝手に評論します。
基本的に、すべて自腹です。

人類資金

2013年10月19日 | 邦画
『M資金』。第二次大戦終戦時の混乱期に隠匿された大量の貴金属類と噂されるもの。その実在は不明。

平成の今、M資金と言って、一般に通用するんですかね?もはや、陰謀論、都市伝説の類になっていると思いますが・・・。しかし、リーマン・ショックで拝金至上主義の世界経済の限界が露わになり、第二の終戦と言われる東日本大震災や福島原発事故後の日本の状況を絡めて、うまくM資金の話を物語の俎上に持ってきています。

原作小説と同時進行という、面白い形式です。映画版と小説版では、結末が異なるそうです。しかもその小説は、7巻構成で、毎月1冊ずつ刊行されるという。まぁ、その点については、オイオイと突っ込みたくなりますけどね。

日本の商業映画としては初めて、国連で撮影が行われています。しかも、場所は国連総会が行われる総会議場。ニュースでよく見る場所です。東日本大震災からの復興に日本が向かっていること、EU危機など不安定な世界経済環境の中、新興国の発展を祈念するような話であることなどが、総会議場での撮影が許可された要因なんですかね?エンドクレジットには、協力として国際連合日本政府代表部とクレジットされていました。

佐藤浩市や森山未來の演技と比較すると、慎吾ちゃん、苦しい・・・。下手なわけではないんですが、やっぱり一枚、その他の俳優陣と比べると・・・。佐藤浩市が良いのは自明なんですが、森山未來が、中々いい味出しています。彼の骨太な一面を見た気がしますね。

それにしても、出演俳優のほとんどが男性。紅一点が観月ありさ。小説ならば、あまり気にならないと思いますが、映画になるとちょっとつらい気もします。内容が非常に骨太なので、仕方が無いのかもしれませんが、どうにかならないかと思ったところです。

それと、テーマが壮大なんですが、最終的には、少し話が一点に集約されてしまっていること。元々のテーマだと、壮大過ぎて描ききれないという事なんだと思いますが、壮大なテーマだと思っただけに、落とし所が小さく感じてしまいました。有るべき話なんですけどね。

これは、映画よりも、小説のほうが面白いかもしれません。

タイトル 人類資金
日本公開年 2013年
製作年/製作国 2013年/日本
監督 阪本順治
原作 福井晴敏
出演 佐藤浩市(真舟雄一)、香取慎吾(“M”)、森山未來(石優樹)、観月ありさ(高遠美由紀)、岸部一徳(本庄一義)、オダギリジョー(鵠沼英司)、寺島進(酒田忠)、三浦誠己(辻井)、石橋蓮司(北村刑事/真舟を追う刑事)、豊川悦司(ハリー遠藤/嘗てM資金に関わったCIA構成員)、ユ・ジテ(遠藤治/ハリー遠藤の孫、暗殺者)、ビンセント・ギャロ(ハロルド・マーカス/NY大手投資銀行行員)、仲代達矢(笹倉暢彦)

[2013/10/19]鑑賞・投稿

ダイアナ / Diana

2013年10月19日 | 洋画(イギリス系)
1997年8月31日、パリでパパラッチに追い回された末の事故で亡くなった、元イギリス皇太子妃ダイアナの、離婚の少し前から亡くなるまでの約二年間のダイアナを描いた作品。

ダイアナを演じたのは、ナオミ・ワッツ。世界中に顔を知られた人物ですので、演じるのはかなりハードではなかったかと思いますが、中々上手く演じています。外見も、当時の写真などを入念にチェックした結果、髪型も服装もコピーしています。特に、チャールズ皇太子の不倫や自分の自傷行為に言及したBBCのインタビューや、地雷廃絶活動の映像などは、当時のニュースフィルムかと思うような出来栄えでした。それらのみならず、数々のシーンにおいて、当時の服装、履物をリサーチして再現しています。

この映画を見ると、一緒に亡くなったドディ・アルファイド氏が最後の恋人と言われていますが、心はアルファイド氏ではなく、ハスナット・カーン氏にまだまだあったみたいですね。なので、見ている最中は、ダイアナがわざわざ贔屓の記者に自分の事をリークしてアルファイド氏との写真を撮らせているのが理解できなかったんですが、後から考えてみると、あの行為は、注目を集めてしまったカーン氏から目を逸らさせるための陽動作戦だったのかな?と思います。

それにしても、英国王室は自由ですね。って言うか、ダイアナが自由なのかもしれませんが。奔放な恋と言うか、何というか。まぁ、それはそれとして、ダイアナが護衛も付けずに自由に出歩いているのには、驚きました。まだ離婚前の皇太子妃の頃であっても、護衛無し。ベルギーやオランダなども、王室ファミリーは、かなり自由に出歩いているみたいですから、欧州の王族はそういう物なんでしょうか?

物語の終盤、ニュース映像などで何度も見たパリのリッツのエレベーターのシーンが出て来るんですが、そこに至る前のダイアナが、何か物凄く苛立っていたように見えるのが印象的です。って言うか、実際に事故の時のダイアナは、苛立っていたように見えたと仄聞しますから、それを表現しただけなんですが。

ケンジントン宮殿の門での撮影が英国王室から許可されたそうです。印象的なラストシーンは、もちろん、そこでの撮影なんでしょうね。それにしても、門の外とはいえ、撮影を許可したなぁ、英国王室。まぁ、拒否したらしたで、叩かれるのは必定なので、許可したのかもしれませんが。

クィーン』は王室側からの視点だった訳ですが、この作品はまさにダイアナ側からの視点。これで、両面からの話が見えましたね。

タイトル ダイアナ / 原題 Diana
日本公開年 2013年
製作年/製作国 2013年/イギリス
監督 オリバー・ヒルシュビーゲル
出演 ナオミ・ワッツ(ダイアナ)、ナビーン・アンドリュース(ハスナット・カーン)、ダグラス・ホッジ(ポール・バレル/ダイアナの執事)、ジェラルディン・ジェームズ(ウーナ・トッフォロ/ダイアナの治療師)、チャールズ・エドワーズ(パトリック・ジェフソン/ダイアナの秘書)、キャス・アンバー(ドディ・アルファイド)、ジュリエット・スティーブンソン(ソニア)

[2013/10/19]鑑賞・投稿