勝手に映画評

私の見た映画を、勝手に評論します。
基本的に、すべて自腹です。

藁の楯 わらのたて

2013年05月02日 | 邦画
「この男を殺してください、御礼として10億円お支払いします。」

何とも、すごい話です。犯罪者を護送すると言うシチュエーションを描いた映画といえば、『S.W.A.T.』や『16ブロック』などが思い付きます。その中でも特に『S.W.A.T.』に類似している印象です。『S.W.A.T.』の場合は、護送される犯人が「自分を逃してくれたら賞金をやる」と宣言したため、それを聞いた全市民が護送チームの敵になり、加えて、護送チームの中からも裏切り者が出てくるという設定になっています。今回の『藁の楯 わらのたて』は、護送対象の犯人を殺す依頼であり、逃すと殺すで違いはしますが、全国民が敵になったり、味方の中にも裏切り者が居るというところなどは、だいぶ似ているなぁと思いました。

映像のスケールが凄いですね。日本映画もここまで来たかと言う感じです。冒頭の護送車列は完成直後の実際の高速道路を使用して撮影。いやぁ、アレだけのパトカーなどの緊急車両の車列はこれまで見たことがありません。それと何と言っても、新幹線シーンですね。これは日本の新幹線では撮影できなかったので、台湾新幹線の実車や実際の駅での撮影です。外装が日本の新幹線とは異なるので、外を映すと台湾新幹線であることを否定しきれませんが、内装は日本の新幹線と同じ。そこだけ見るとビックリです。(まぁ、中だけだったら、セットで撮影するという手法もありますけどね)

出演陣も豪華。大沢たかお良いよ。特にクライマックスの銘苅が清丸に銃を向けるシーンは、鬼気迫った演技で凄みを感じます。理性と衝動の葛藤を物凄く感じました。

ただちょっと、白岩を演じた松嶋菜々子が、ね。スレンダーなスタイルは、女性SPそのものの感じですが、彼女のアクションは若干微妙。冒頭の射撃訓練のシーンとかね、あれじゃぁ手首を痛めそうな気がします。アクション女優といえば、水野裕子じゃ無いんですかねぇ~。ただ、水野裕子だとシングルマザーという設定が少し苦しくなるか?小さい子供ならアリだと思うんだが・・・。ただそうすると、「おばさん」と言う設定が出来ないか。

それはそうと、清丸のクズぶりは凄い。凄すぎる。本当にあんな犯罪者がいたら、精神鑑定必至。下手したら、責任能力が否定されるかも。

所々、突っ込みたくなる所はありますが、それを超えて満足です。第66回カンヌ国際映画祭のコンペティション公式選出も納得ですね。

タイトル 藁の楯 わらのたて
日本公開年 2013年
製作年/製作国 2013年/日本
原作 木内一裕
監督 三池崇史
出演 大沢たかお(銘苅一基/警視庁警備部警護課SP)、松嶋菜々子(白岩篤子/警視庁警備部警護課SP)、藤原竜也(清丸国秀/連続殺人犯)、山崎努(蜷川隆興/清丸の殺害を依頼・経団連元会長)、岸谷五朗(奥村武/警視庁捜査一課)、伊武雅刀(関谷賢示/福岡県警捜査一課)、永山絢斗(神箸正貴/警視庁捜査一課)、本田博太郎(大木係長/警視庁警備部警護課)、余貴美子(由里千賀子/タクシー運転手)

[2013/05/02]鑑賞・投稿