今日は、ハッピーマンデーでクリスマス・イヴなのに、大学の授業日。
オフィスの片づけをしているが、今年読んだ本(小説)を上げてみようと、ふと思い立った。
前半は、動物に関わるものをずいぶん読んだようだ。
熊谷達也の『邂逅の森』はマタギの物語。『相剋の森』も同じく、熊谷達也の自然もの。
星野道夫は、『旅をする木』『イニュニック』のアラスカものの2冊を読んだ。自然と人間について考えさせられた。
コーマック・マッカーシーの『すべての美しい馬』は、アメリカの馬と人の物語。
レベッカ・ブラウンの『犬たち』は、とにかく、犬に囲まれた話。
メルヴィル『白鯨』(上)(下)は、夏の旅行中に読んだ。船長の白鯨への戦いの間に差し挟まれた「鯨学」の記述が面白かった。
吉村昭の『羆嵐』は、北海道の開拓村での、女の味を覚えた人喰いヒグマによる獣害をめぐるルポ。
同じく、吉村の『三陸海岸大津波』も、宮城県にフィールドに行く前に、学生研究会で読んだ。
そういうと、ゼミ合宿で遠野に行ったので、井上ひさし『新釈・遠野物語』を読み、ずいぶん面白かった。
柳田國男の本家版『遠野物語』も、久しぶりに読み返した。
賞を取った本のうち、芥川賞では、円城塔『道化師の蝶』と田中慎弥『共食い』を読んだ。円城は、ナボコフ的。
直木賞では、葉室麟の『蜩ノ記』と鹿島田真希の『冥土めぐり』。どちらも読み応え十分。鹿島田の本は、私と夫、母と弟が奇妙に交錯する物語。
川上美映子の芥川賞受賞作『乳と卵』は、母子の豊胸手術と生理現象をめぐる快(怪?)作。
ノーベル賞の莫言は、『酒国』を読んだ。肉童を食べている人びとを探りに行くのだけれども、主人公は、酒と女に溺れて、探偵に失敗するという内容。
ふと手にした深沢七郎の『笛吹川』は、甲州の農民六代の生と死の物語。日本文学、凄いと思った。
町田康の『パンク侍斬られて候』。腹ふり党という反社会的な行動とパンク侍の活躍(?)。町田の独特の文体のリズムは爽快。日本社会への痛烈な批判とも読める。
年に何冊かは、ラテンアメリカ文学を。ガルシア・マルケスの『悪い時』。
ときどき思い出したように西村賢太。『どうで死ぬ身の一踊り』。ダメ人間のさらけ出しという私小説は、滑稽でもある。
バルガス・リョサ『継母礼讃』は、継母と10歳の堕天使の話。わくわくするエロティシズム。
石田衣良『sex』で描かれるのは、じつに多様なセックスのあり方。「好きな人とたくさん」というのが、作者のメッセージだそうです。
ニーチェ『ツアラトゥストゥラはこう言った』(上)(下)は、本の構想を深めるために読もうと思ったのであるが、どれだけ理解できたやら。
小川洋子『凍てついた香り』は、匂いがテーマ。
誉田哲也の『幸せの条件』は、大学の図書館運動で読んだ。農業をめぐる日本の課題が描かれる。
恩田陸『光の帝国』は、不思議な力を持つ人びとの物語。長島有『泣かない女はいない』。いやあ、長島さんって、なんでこんな女心が分かるんだろうか。
津本陽の『無量の光』(上)(下)は、鎌倉時代に仏教を深い日常の哲学にまで昇華させた親鸞聖人の物語。
最近凝っているのが、イギリスの小説家、イアン・マキューアン。『贖罪』(上)(下)、『アムステルダム』を読む。とにかく、ストーリーの組み立てが絶妙だわ。
カスオ・イシグロ『わたしを離さないで』は、臓器提供をめぐる施設の話。これも、小説としては、絶品だと思う。
ブルース・チャトウィンの『ソングライン』も確か、今年の年初に読んだように思う。オーストラリア・アボリジニの「ソングライン」を訪ねる旅の記録。彼らの歌のなかには、風景や出来事が刻まれている。