ゆるゆるらいふ

とりあえず、今日も一日機嫌よく・・・

【観劇メモ】七人ぐらいの兵士

2015年07月26日 | 演劇

予想をいい意味ではるかに裏切ってくれた作品だった。
さんまさんが主演と聞いて、コメディとか何かのパロディなのかな、と勝手に思っていた。

札幌に住む幼馴染の友人はさんまさんの大ファン。
今回彼女が出張で上京する日に、たまたま公演があり、チケットをGET

暑い暑い土曜日の昼間、渋谷のシアターコクーンまで二人で出かけて行く。

舞台は戦時中の中国大陸。
大阪出身でダメ兵士ばかりの分隊のリーダー木下が生瀬勝久さん。
かつて漫才師だったけれど、妹の恋人でもあった相方に失踪された過去がある。

分隊のメンバーは
通信兵片岡が中尾明慶さん。

一等兵は

熊田が「相棒」の「ひまか?」でおなじみ山西惇さん。
小澤が八十田勇一さん
鎌田が森田甘路さん

二等兵は

何をやっても失敗ばかりの田中ひろみに温水洋一さん
まだ大学生の西口〆太はかわいい子役だった須田健太くん
いつもは怖いけど本当は情の深い軍曹に中村育二さん

紅一点、従軍看護婦と亡くなった生瀬さんの妹を演じるのが内田由紀さん。
結核でなくなってしまうさくら役の時は、死を目の前にしても明るく冗談を言うちゃきちゃきの大阪っ子。
一転しててきぱきと仕事をこなす看護婦さん。
女らしさと凛々しさが共存するステキな女性だ。

そして、木下(生瀬さん)の失踪した相方で、野戦病院に仮病を使い入院し続ける上等兵水嶋が明石家さんまさん。

自分と妹を裏切った水嶋を、自らの除隊を延期してまで分隊に引き入れ、復讐をもくろむ木下。
なんとか脱走しようとあの手この手の水嶋。
一見どうしようもない水嶋だけれど、ともすれば希望を失ってしまう戦場で常に前向きに明るく、
周りのみんなの気持ちも奮い立たせていく様がとてもかっこいい

「自分のせいで仲間が前線に送られた」と悩む片岡には「あいうえお順で選ばれたんだ」と
とっさの嘘で彼の気持ちを救い、
慰問団が来ると言えば、「自分たちも飛び入り参加でき、一番上手だった人は慰問団と一緒に日本に帰れる」
と出まかせを言って、お笑いの練習でみんなを明るい気持ちにする。

わがままで自分勝手なようで、懐の広い、頭の回転の速いステキな男をさんまさんがクールに演じている。

かと思えば、さんまさんのアドリブコーナーが 劇中、時々あって、
共演者の人たちがつっこまれてしどろもどろになって、しっかり笑いも取っている。
後ろの方で笑いながら見守っている生瀬さんが「そろそろいい加減に・・・」と止めに入るまで
しつこいくらいに延々とつっこみが続く。

コントの舞台の時もそうだけれど、そうやって上演時間が結構延びる。
観客にとってはうれしいけれど、夜の部などは電車の時間などもあり、時計を見だす人がいると舞台上から注意されたりしている。

戦争中の理不尽な悲しみや苦しみと、その中でもなんとか明るく前向きに生きようとする兵士たちの姿に泣いたり笑ったり。

結局は時代の波に抗えず、一人、また一人と舞台から兵士が消えて行き最後は通信兵の片岡(中尾さん)生瀬さんとさんまさんの三人が生き残る。

でも、この二人もやはり突撃しなければならず、看護婦の内田さんの絶叫の中、
さあ行こうかって言う二人の後ろ姿のストップモーションで幕が下りるのだけれど、この姿がクラクラするほどかっこいい

細身で長身の二人のシルエットがなんとも絵になるのだ。

そのシルエットの前で、通信兵の中尾さんが無線で援軍を求め続ける。
やっと無線が通じて犠牲になった人数を聞かれ「七人ぐらいです」と、ここでタイトルの意味がやっとわかる。

げらげら笑いながら観ていたけれど、最後は涙が・・・。

折しも何やら怪しい法案が、半ば無理やり国会を通過して世間は反戦ムード。
たまたまだったかもしれないが、かなりのメッセージを伝えていたと思う。

 

このパンフレットの表紙にあるように、若葉ライトレフトというコンビ名が、敵国の言葉だからと「みぎ」「ひだり」
などと変えなければならないおかしな時代。
こんな日々が二度と訪れないことを願ってやまない。


さて、この舞台を観るまでに、私たち(私?)は結構いろんなことをしていた。

彼女が上京したのはこの2日前の木曜日。

宿泊先が千葉だったので、今回は羽田まで車で迎えに行ってみた。
私は、羽田までは行けるけれど、都内には行けず、家(千葉)に帰ることしかできない、という残念な実力の持ち主。

こんなチャンスはめったにないので、思い切って初めて羽田からちょっと先まで行って、
アクアラインを通り、海ほたるに立ち寄り、木更津から千葉に向かおう、と心に決める。

彼女と同僚を車に乗せ、ちょっとドキドキしながら羽田を後にする。

羽田から海ほたるは思いのほか近くて、30分もかからない。

夕方の海ほたるはとてもきれい。
この日はお天気も良かったので、富士山もきれいに見える。



途中渋滞もなく、割とあっさり宿泊先まで無事に送り届けることが出来た。

翌金曜日、彼女は朝から研修で、私は大阪から仕事で上京中の元同僚とランチ。
超多忙な元同僚は、上京し、時間がとれるときは必ず声をかけてくれる。

いつもごちそうになってばかりなので、この日は、チケットサイトですでにチケットをゲットしていた
カレッタ汐留46階にあるお寿司屋さん「美寿思(みすじ)」でお寿司のコースを。

私達は握りのコースだったけれど、入ってくる人たちの大半が海鮮丼を頼んでいる。
それが有名なのかもしれない。

46階からの景色を眺めると



向かい側に、昔、竣工時の検査の仕事をしたタワーマンションが見える。
ちょっと懐かしい。

このあと、ちょっとお茶をして、バタバタと彼女と別れ、一度家に帰る。

せっかく、時間を作ってくれたのにごめんなさい。

でも、お話しさせてもらうといつも前向きな気持ちになれて、ホントに楽しい。
次回また声をかけてくださいね。

で、飯田橋で幼馴染と待ち合わせて、息子の同級生のお母さまのお店へ。

今年の冬まで新橋でお店をやっていたが、飯田橋に移ったというので行ってみる。



馬刺しとかゴマサバとか、相変わらずお料理が美味しい

私は全然お酒が飲めないけど、彼女はメニューの順番に焼酎を堪能していた。

お店が混んできたので有楽町に移動し、ビルの屋上のビアガーデンを見つけて、もう一杯

ああ、私も飲めたらもっともっと、あと100倍は楽しいに違いない

なんだかんだで11時過ぎまでうろうろ。
でも大丈夫

なぜなら、この日彼女の泊ま勝どきのホテルに私も一緒に泊まることになっているからだ

途中のコンビニでコーヒーを買い、彼女の部屋でおしゃべりをしていたら、彼女の声が不穏なかすれ具合。
前日とこの日滞在していた研修センターの冷房が強過ぎて、喉が痛くなってきた、という。

翌土曜日の朝は築地に行く予定だったのだが、彼女の声がますますヤバい。

勝どきからはすぐ近くなので、とりあえず行ってみると、海鮮丼のお店や天丼のおみせは長蛇の列。
炎天下の築地は結構きつくて、とても生ものや天ぷらを食べる気にはならず、軽く立ち食いできるものをつまんだりしながら、
早々に引き上げて渋谷に向かう。

実は私は築地市場はこれが初めて。

彼女が誘ってくれなければ、一度も行かないまま、市場はお引越ししていたにちがいない。
貴重な経験をさせていただきました。

そして、このあとさんまさんの舞台、と続くのだ。

舞台の後、銀座に行って、早めの夕食を軽くいただく。
彼女はもう一泊して、翌朝札幌に帰るという。
ちょっと熱が出てきたかも、という彼女を、銀座4丁目でタクシーに乗せ、別れた後、
夢から覚めたように自宅へ帰る。

なんて盛り沢山な3日間

外泊する主婦を快く送り出してくれた家族に感謝し、三越の地下でお惣菜を買って、家に帰ろう

翌朝のメールでは熱も下がり、空港へ向かっているとのことで一安心。

友達が上京すると、自分ではいつでも行けるなどと思って結局行かないところに行くことが出来て、とても新鮮。
見慣れた場所でも違った視点で楽しむことが出来る。

ホントに楽しいひとときでした。
ありがとう

また会いましょう




















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ジャーでサマーデザイン

2015年07月19日 | フラワーアレンジメント

夏になると、ブルーの花や貝殻など使った涼しげなアレンジがレッスンに登場する。

今回は、サラダなどを入れたりして、今ちょっと流行っている、ジャーを使ってのアレンジ。


まずはジャー。



その中にこんな砂を入れて、



真ん中にオアシスを立てる。



もう、砂が変な風になってきた

ジャーの中に手を入れて、作業をするのは思いのほか難しい。


この中に入れる花材はこれ。

   

ブルー系のバラや白い紫陽花、あとは貝殻とか海星とか。

ちょっと背を高くしておきたいバラにワイヤリングをし、オアシスにさす。

後はピンセットなどを使って、全体に見ばえよくビンに入れていく。

これが結構難しい。
やってるうちに他のところから動いちゃったり、なんだか逆さまになってなかなか戻せなかったり。
ジャーに入れるだけなら、となめていたら、とんでもない

適当に入れると文字通りグチャグチャになってしまう。

で、なんとかできたのがこれ。



いいんだか悪いんだかよくわからないけれど、とりあえずは良しとしよう。

まあ、なんとなく夏っぽいってことで

同じ花材で、お花をビンの中に入れずに、上にアレンジしたものも作ってみた。

こちらは、いつお世話になっている美容院さんに頼まれた物。



同じ花材でも雰囲気が全く変わり、ちょっと豪華になる。
お店に飾るならこれくらいもいいかも。






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万座温泉

2015年07月12日 | 旅行

長男が保育園のころからお付き合いいただいている、友人夫妻に旅行に誘っていただいた。

旅行好きで仲良しのご夫妻は、ちょくちょく二人で国内外に出かけて行く。

二人で旅行に行ったのなんて、先月の函館が20数年ぶりっていう私達とはえらい違いだ

子供たちが小さいころは、保育園仲間で時にはスキーに行ったり、温泉に行ったりしていたものだ。

子供たちの成長と共に、受験だとか部活だとかなかなか予定が合わなくなり、
我が家で宴会をするくらいになってしまっていた。

今回お誘いいただいた万座温泉は、温泉好きのご主人のおすすめ
お二人はよくここに出かけているらしい。

いつも泊まるホテルからのD.Mで安く泊まれるので行こうとのこと。



http://www.hotel-juraku.co.jp/manza/category04/

なんでも「硫黄含有量日本一の超高濃度硫黄泉」だとか。

特に観光するつもりもなく、のんびり温泉に入ろうっていうのが目的なので、
朝も9時過ぎ、友人夫妻の新車ステップワゴンでゆったりのんびり出かけて行く

途中、水沢観音に寄りましょう、とご主人はおっしゃる。

どこにあるかも知りませんが、おまかせします

ちょうどお昼過ぎに到着したので、まずは腹ごしらえ。


水沢うどん
 


外から見ると、そんなでもないのに、中はメッチャ広い  
 


お店を出たらすぐのところに、長い階段が

 

最近足が痛くてきついけど、登ってみよう。

 

水沢観音

 


なにやら回すといいことがありそうなので

  

4人で回してみた

もう一つ階段があるけど、もう無理。
平日のせいか、人も少なく、なんだかゆったりと時間が過ぎる。

 

 

国道沿いの小さな酒屋さんでお酒を買って、そのままホテルへ。

のんびりお風呂にはいって、夕食はバイキング。



アルコールも飲み放題なので、私以外の3人は、飲んで飲んで・・・。

食後部屋に戻ってからも、ゆっくり飲んで、そうだ、星を観に行こう、とホテルの外に出てみると、満天の星空

残念ながら上手に写真は撮れなかったけれど、昔、故郷で見ていたのと同じくらいの降るような星。

どんなに晴れていても、家の前では見つけることができない北斗七星もはっきりわかる。

ホテルに星座表が置いてあったので、それを観ながら、しばし童心に返って星座を夢中で探してみる。

思いのほか楽しい

寝る前にもう一度温泉へ行くと、男女のお風呂が入れ替わっている。
最初に入った時は、まだ明るくて、目の前の山肌がよく見えたけれど、
夜は怖いくらいの暗闇と、満天の星だけ。
目の前には建物が無くて、山だけなので、余計な光が何もない。

ぼんやりと眺めていると、なんだか心が穏やかになってくるような気がする。

普段家にいるときよりもずいぶんと早く眠って、翌朝またまたお風呂に入り、ホテルを後にする。

これだけ硫黄泉に浸かった私たちはきっとかなり硫黄臭かったに違いない。
ギョーザを食べた人たち同士でエレベーターに乗っているときのようなものかも、などと話しながら、
友人夫妻の案内で横手山に向かう。



群馬と長野のちょうど境にあるこの山。
夫と私はもちろん初めてなので、とにかく友人夫妻の後についていく。

せっかくなので、リフトで山頂に登ろう。

 

山頂に着くと、息を呑むような景色が広がる。

 

なんて気持ちがいいんだろう。

海もいいけれど、私は山の方が好きかも、なんて思ってしまう。

リフトで下ってくる人たちが、スーパーの袋に何やら玉ねぎみたいなものを持って降りてくるなあ、と思っていたら、
山頂でパンを売っていて、どうやら有名らしい。

私達もさっそく買ってみる。

その場で食べたほうが美味しいにきまってるけど、朝ごはんを食べてから車に乗ってるだけで
お腹が空かないので、そのままお土産にしよう。

ひとしきりキレイな景色を眺め、昨日今日で視力がよくなったかも、なんて思いながら、長くうねうねの山道を下る。

途中たくさんのバイクとすれ違ったり追い抜かれたり。

この景色の中、バイクを走らせるのはさぞかし気持ちのいいことだろう。
この山道を登ってくる自転車の人たちにはびっくりだけど

平らな道に降りて、道の駅などちょこちょこ見ながら、昼食の場所を探していたら、お蕎麦屋さんがあったので、
行ってみると、こんな看板が。



民主党政権のとき、一躍有名になった八ツ場ダムってここだったのね

あの時の騒ぎはなんだったのだろうってくらい、粛々と工事は進んでいる様子。

この看板の目のお蕎麦屋さんでお蕎麦をいただき、帰路につく。

途中休憩に立ち寄った、東北自動車道の羽生SAが、以前と様子が変わっている



まるで江戸村

SAの中もこんな風。

 

ソフトクリームはこんなだし、外では大道芸もやっている。

 

小さなテーマパークのようで楽しい

鬼平犯科帳をモチーフにしているとのこと。

思わずこんなお土産を買ってしまう。



このあと、それほどの渋滞もなく、明るいうちに家に着いた私達。

結局友人夫が、最初から最後まで運転してくれた。
お疲れ様でした。

翌日、夫は長野に出張。
そのまま泊まればよかったのに

お二人にお誘いいただかなければ、一度も行かずにいたかもしれない万座温泉

本当に気持ちよく、ゆったりと過ごさせていただいた。

たくさんの観光地を巡ることもなく、ただゆったり過ごすって、とても楽しい

何から何までおまかせで、申し訳なかったけれど、ありがとうございました。

またぜひ誘ってくださいね



























 











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メアリー・ステュアート

2015年07月06日 | 演劇

すごいものを観た、と思った。

息もつかせない、とはこのことだろうか。

前日の「草枕」の舞台に流れる静寂さとはあまりにも真逆と言おうか。

観たいな~、と思いつつ、この辺りの日程が立て込んでいて、チケットを買っていなかったのだが、
前日、一緒に出かけたお嬢さんとそのお母さまが都合で行けなくなったと、譲ってくださった。

劇場は渋谷、PARCO劇場。

ホントに行ってよかった

まず、席がいい

通路前の中央。

なんだかVIPになった気分

生後6日でスコットランド女王に即位したメアリー・ステュアートに中谷美紀さん。

3度の結婚をしたものの満たされず、宗教上の反乱から幽閉されている。

父親であるイングランド王ヘンリー8世の女癖と気まぐれに翻弄され、過酷な運命を経て王位に着いた
エリザベス1世に神野美鈴さん。

メアリーとはいとこ同士だが、対照的に彼女は学問を愛し、独身を貫いている。

舞台は二人のそれぞれの立場で、交互に演じられていく。

初めはメアリーの気高い一言から始まる。
そのとき、神野さんは乳母。
腰を曲げ、おどおどとした様子でメアリーの顔色をうかがう。

ぱっと変わって、今度は神野さんが胸を張って、上から人を見下ろすような様子でエリザベスになると、
たった今までメアリーだった中谷さんが侍女になる。

さっきまでの気高く張りのある声から、急に上目使いで、高く弱々しい声と口調。
若くて経験の浅い侍女って感じ。

神野さんの理不尽な命令口調はさっきまで、乳母だった人とはもうすっかり別人だ。

この入れ替わりが繰り返され、ストーリーはどんどん悲惨な方向へ進んでいく。

二人は布を巻きつけたような衣装なのだけれど、この布の巻き方を瞬時に変えることで、
女王になったり、侍女になったり。

ワダエミさんがデザインしたというこの衣装、エリザベスは金色、メアリーは銀色、と新聞の特集記事に書いてあったけれど
照明のせいか、私の目のせいか、二人とも同じような色に見えた。

でも、色はともかく、布の巻き方一つで容姿がぜんぜん違って見えるってすごい
もちろん、お二人の演技力がすばらしいのだけれど。

先にも書いたが、息もつかせぬ、というのはこういうことなんだ、と思った。
お二人の「勝負」って感じすらしてくるくらいの緊張感。

イングランドに亡命し、敬愛するエリザベスにさえ会えば、きっと自分は助けてもらえる、と希望を持ち続け
イングランドにたどり着くも、発覚したエリザベス暗殺計画への関与を疑われ、牢獄で裁きを待つメアリー。
メアリーの王位継承権を利用しようとする勢力に、本人との意思とは別に巻き込まれていく。

メアリーのことを許してしまいそうになりながらも、異なる宗教を持つことから、
彼女の王位継承後の地震への弾圧を恐れ、メアリーの処刑を決断するエリザベス。

メアリーの期待とエリザベスの葛藤が交互に現れ、観ている方もはらはらどきどき。

なんとかメアリーを助けてあげられないの?と感情移入してしまう。

いざ処刑となった時に、母にも抱きしめられたことのない自分を、抱きしめ慈しんでくれた乳母に抱きついて
感謝するメアリーの姿には思わず涙が・・・。

凛として処刑場に赴き、目隠しを断る姿は、マリー・アントワネットのようだ。

もはや、本物の女王にしか見えない。

一方のエリザベスは、男性を嫌悪・軽蔑し、女である前に「女王」であり続け、男性への愛を追い求めるメアリーや侍女に嫉妬する。

メアリーを処刑したことがはたして正しかったのか苦悩する姿が痛々しい。

二人の立場を複雑にする宗教弾圧は、しっかりとした宗教観を持たない私にはちょっとピンとこないので、
あくまでも想像の域を出ないけれど、宗教というものは命を懸けるほどのものと思う人たちがいることは理解できる。

ただのいとこ同士であったなら、二人はもしかしたらとても仲良しになれたんじゃないだろうか。

この日は、東京公演の千秋楽。

カーテンコールで抱き合い涙ぐむお二人の姿が美しく気高かった。

本当に思いがけず、いい舞台を観ることが出来た。
譲ってくれたお二人になんだか申し訳ない。

貴重な機会を、ありがとうございました。
次回、8月の小栗旬さんの舞台でお会いしましょう













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【観劇メモ】草枕

2015年07月05日 | 演劇

とても静かで品のいい舞台を観た気がする。
もちろん、今まで見た他の舞台が下品だったというわけでは断じてない。

ただ、全体に流れる空気感と言うか、ピンと通っている糸というかそういうものが
なんだか、とても心地よかった。

恥ずかしながら、夏目漱石の「草枕」は読んでいない。
どうも昔から漱石はなんとなく苦手で、すいすい読み進んでいかない。
なんだか私には展開がまどろっこしいというか・・・。

「草枕」を読んでいたらもっと深く理解できて、よりおもしろかったのかもしれない、
と思うとちょっと残念。

この舞台は「草枕」を舞台化したものではないらしい。

ただ主人公が30歳の画工という設定は同じのようだ。
この画工を段田安則さんが演じる。
30歳っていうのはちょっとどうだろう・・・?

画工は卓(つな)という美しい女性の絵を描きたいと思う。
この卓が小泉今日子さん。
凛とした中に楚々とした雰囲気を醸し出し、本当に美しい。

この卓の美しさと強さの理由を知り、彼女の絵を描く力を磨くために、旅に出た画工は、
山あいの温泉場に逗留し、そこで三度結婚に失敗したという女将、那美と出会う。

那美は小泉さんの二役だ。

この那美が「前田卓(つな)」という実在の人物のモデルとか。

最初に出てきた卓とは違って、
あっけらかんとして、ぽんぽんと物怖じしない振る舞いと、ちょっとミステリアスな美しさで画工を翻弄する。

ここで画工が出会う禅僧、大徹に春海四方さん。
那美の従姉弟で洋画を描く久一に山田悠介さん。

那美の父である案山子(名前)や茶屋の老婆、床屋の亭主、宿屋の仲居、中折れ帽の男など一人で5役を演じるのは、浅野和之さん。

浅野さんが出てくると、会場は一気に笑いに包まれ、すこしゆるんできた観客をわしづかみで舞台に引き戻す。
いつも思うけれど、本当にすごい。

以前に観た、三谷幸喜さん作の「ペッジ・パードン」では、
下宿のオジサン、オバサン、来客の女性や泥棒、挙句に犬まで一人で演じてらっしゃった。
そうそう、この時は夏目漱石本人のお話だったっけ・・・。

舞台は筆で書いたようなモノクロの背景。
時々映像で動きが出る。
例えば身を投げた女性が川を流れてくる映像とか・・・。

終始、明るく、時に激しい那美が、出征する久一や、夢を追って満州に行こうとしている元夫の乗る汽車を見送るシーンは後姿だけ。
死を予感させる男たちの旅立ちを見送るその表情は見えないので、
泣き顔なのか、毅然とした表情なのか、はたまた泣き笑いの笑顔なのかはわからないが、背中がなんとも切ない。

画工は美しさと強さの前には「あわれ」がある、と気づき、卓の肖像画を描きながらそれを語り、幕が下りる。

このあわれが「憐れ」なのか「哀れ」なのかどっちもなのかちょっとわからないけれど、
そういうものを秘めた上での美しさと言うのは、太陽のように明るい美しさより、ちょっと深みがあるように思う。

段田さんの物静かな落ち着いた画工を、振り回す小泉さんのキュートなこと
いつも思うことだけれど、彼女の美しさはなんだか肝がすわっている。

ちょっと難しくはあったけれど、観終ったあと、「なんだかいいものを観たな~」と
心に残る、素敵な舞台だった

この日一緒に行ってくれたのは、19歳の女の子。
私の同級生のお嬢さん。

はじまる前に、この日の劇場「シアタートラム」の入っている
三軒茶屋キャロットタワーの最上階のレストランでお食事をして、楽しくおしゃべり。

息子しかいない私には至福のひととき。
オバサンにお付き合いしてくれる彼女には申し訳ないけれど・・・。

終演後も、近くのカフェで、またまたおしゃべり。

次男と同世代の彼女は、次男とは比べ物にならないくらい大人だ。

若いけれど、さまざまな痛みを乗り越え、進む道を模索している姿が頼もしい。

同じフリーで仕事している仲間としてもいろいろ話しをすることが出来た。
この年になってもふらふらしている私には、あまり参考になる話はできないけれど、
想いを他人に話すことで、確認し、納得し、前に進むことが出来ることもあるはず。

その年齢の「今」はとても長く感じて、焦ったり悩んだりすることがたくさんあることは、
そこを通ってきた私達大人は知っている。
そしてその時間がものすごいスピードで過ぎていくことも、
その先にいくらでもやり直したり、コースを変えたりできる時間があることも、同じく知っている。

だからと言って安易に「あっという間に過ぎるよ」とか「まだまだ先は長いから」などと言っちゃいけないのは
重々わかっているけれど、そう言うことで少しは不安を和らげてあげられるような気がして、ついつい口にしてしまう。

自分で経験しなければわからないってこともわかっているのに。

などという自分の反省点に気づかせてもらえる、貴重な時間を過ごさせていただく。

前回も遅くまでおしゃべりして彼女のご両親に心配をかけてしまったというのに、
前回ほどではないにしろ、またまたあっという間に時間が過ぎてしまった。

楽しい時間をありがとう。

次回8月にまたお会いしましょう















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