ゆるゆるらいふ

とりあえず、今日も一日機嫌よく・・・

【観劇メモ】ウーマン・イン・ブラック~黒い服の女~

2024年07月10日 | 演劇

「ウーマン・イン・ブラック~黒い服の女~」

原作:スーザン・ヒル

脚色:スティーブン・マラトレット

演出:ロビン・ハーフォード/アントニー・イーデン

翻訳:小田島恒志

PARCO劇場 2024/6/22

少し前のことになるけれど、

大学の同級生と一緒に渋谷PARCO劇場に向井理クンを観に行った。

有名なホラーとは知らずに・・・

向井理クンと勝村政信さんの二人芝居だ。

席は前から3列目のど真ん中

向井理君は「俳優」

勝村政信さんは「弁護士」(キップス)

キップスは青年時代の呪われた体験を、

彼の家族に打ち明けて、呪縛から逃れようとする。

告白文があまりに長いので、キップスの役を俳優(向井くん)、

キップスが出会う人たちをキップス(勝村さん)を演じる形で

「芝居」が始まる。

俳優の向井くんは

とてもクールだけれど、

時に厳しく時に慈悲深く、キップスを導いていく。

キップスの勝村さんは

情けなかったり

コミカルだったり

時々に頼りになったり

ホラーの中にも、ちょっと笑える部分があって、ほっとする。

すでに亡くなって、そこにいるはずのない黒い服の女を見たものの末路は・・・

そこに起こる悲劇は・・・

そして俳優はどうなるのか・・・

張り巡らされた伏線と

舞台の上の仕掛けに

私たちは、ドキッとしたり、はらはらしたり、

悲劇に苦しくなったり、ホラーに背筋が寒くなったり

ちょっとコメディに笑ったり・・・

向井君の長い長いセリフに

すごいな~と思ったり

感情の行ったり来たりが忙しい

大がかりな舞台セットではないのに

遊園地のお化け屋敷の中にいるような錯覚に陥る。

ときどきふっと現れる黒い服の女性の姿に、

ぐっと足に力が入ったりする。

わ~、その扉開けちゃダメ~、と心の中で叫んじゃう

前の日あんまり寝ていなかったので、

途中眠くなるかな、と思ったらとんでもない。

前に乗り出し気味に食い入るように観てしまった。

ときどき、向井君や勝村さんが客席から登場するのも嬉しい。

それにしても向井君の顔の小さいことったら!

そして手足の長いこと!

指まで長い(何を見てるんだ

勝村さんのコミカルなところや悲壮感漂うところなどの

緩急とその間(ま)がさすがです。

キップスの告白の悲劇と

俳優のプライベートな話の内容から、

俳優の身に近い将来起こるであろう悲劇を観客が思い描きながら幕が下りる。

最後の最後、カーテンコールまで気が抜けない。

油断してたら「わ~」ってびっくりしちゃう。

あ~面白かった!

面白いお芝居の余韻に浸りながら

彼女と会う時は恒例となっている、

東京国際フォーラムの中でのお茶をしながら怒涛のおしゃべりをして、

楽しい一日を終えるのでした。

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【観劇メモ】ハムレットQ1

2024年05月30日 | 演劇

「ハムレットQ1」

作 ウィリアム・シェイクスピア

訳 松岡和子

演出 森慎太郎

2024/5/18 PARCO劇場

 

恥ずかしながら、ハムレットってどんなお話なのか、ちゃんと知らない。

無くなった王様の亡霊がなんとかかんとか・・・

 

シェイクスピアもいくつか観たけど、正統派って感じのは観たことないかも。

 

今回は若き王子ハムレットを演じるのが

そこそこベテランの女性である吉田羊さん

 

失礼ながら若くは無いし、男性でもない。

 

吉田羊さんは大好きな女優さんなので、どんなことになるかワクワクして出かけて行った。

 

始まってすぐの歩哨たちの会話が聞き取りにくいな~って思ってたところに

スッと話し始めた羊さんの言葉の聞き取りやすいこと!

大きな声ではないのに正面を向いてるわけでもないのにはっきりくっきり聞こえる。

そして、心地よい。

しゃべり方、仕草でどんどん若い王子に見えてくる。

 

気がふれたふりをしているときと、シリアスになるときの落差もすごい。

 

しゅっとして素敵な吉田栄作さんが策士で悪人のクロ―ディアスを演じると

優しそうで素敵なだけに怖さが倍増!

国王を病気に見せかけて殺した上に、王妃でハムレットの母親ガートルード(広岡由里子さん)と早々に再婚。

王妃もどうかと思うけど・・・

ハムレットも殺してすべてを手に入れようとあれやこれやと画策する。

 

王妃はすっかり騙されてるけど、最後に気づいて息子を守る。

ここで母性を見せたのがせめてもの救いだな~

 

可愛そうなのはハムレットの婚約者、オフィーリア。

 

敵を欺くには味方から、のハムレットのお芝居に気が付かず、

(まあ、これは絶対にわからない)

父を殺され、気がふれてしまう。

あげくおぼれて死んでしまうなんて、悲惨すぎる。

 

最終的に誰一人として幸せになれない。

確かに悲劇だ。

 

ハムレットってこんな話だったんだ、と今さら思う。

 

それにしても吉田羊さんがすごい。

 

母であるガードル―ドの変わり身の早さに傷つき、

オフィーリアをだましていることに後ろめたさを感じ、

亡くなってしまったときは深い悲しみに暮れ、

父の姿を追い求め・・・

大人と子供と次期国王の威厳との間を行ったり来たり。

つらい現実に苦しむ姿に見ている方も胸を締め付けられ、

もう「若き王子」にしか見えない。

 

いままでシェイクスピアの舞台って

まあいいか、と思ってそんなに観に行っていなかった。

人間の業のようなものがいろいろな形で散りばめられていて、

現代にもそのまま通じるのがすごい。

遠い昔から長く長く演じ続けられてるのがわかった気がする。

 

行ってよかった~

 

実はこのチケットは生協の抽選に申し込んでいたのだけれど、

そのあと股関節の手術で入院して、生協を止めていたので、

抽選結果を見ておらず、そのまま忘れていたところにチケットが送られてきてびっくりした。

 

一緒に行ってくれるはずの友人が前日に体調を崩し、

急遽2日前に別の舞台に一緒に行った友人に声をかけて付き合ってもらうこととなった。

 

突然の誘いに快諾してくれた友人に感謝!

 

体調を崩した友人とは6月にまた会えることになっている。

 

その日まで、お互いコンディションを整えておきましょう

 

 

 

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【観劇メモ】親の顔が見たい

2024年05月19日 | 演劇

「親の顔が見たい」

作 畑沢聖悟

演出 西川信廣

2024/5/16 日本橋公会堂

 

10年ほど前に受講していた

戯曲セミナーのお仲間が

diamond-Zというシニアの演劇ユニットを主宰している

 

年に1回公演があって、仲間と毎年観に行っている。

 

会場は前回に引き続き人形町または水天宮が最寄り駅の

日本橋公会堂

 

 

既成の脚本を吟味して見つけ出し、

演出や効果はプロにお願いしているので、

アマチュアとは思えないほど毎回見ごたえがある。

 

今回は中学生のいじめをテーマにしたちょっと重い内容。

なにせ、いじめを受けた女子中学生が自ら命を絶ってしまったのだから。

 

タイトルは

 

学校内の一つの部屋に集まっているのは

遺書で名指しされた女子生徒たちの保護者たち

 

両親や、祖父母、シングルマザー、とそれぞれに事情を抱えているらしい。

 

何で集められているのかわからない彼らがそれぞれに話している内容は、

かつて私がPTAの集まりで見聞きしたことがあるような内容ばかり。

 

マウントをとったり

家庭の収入で先入観を持って根拠のない憶測をしたり、

差別したり、

ああ、こういうこと言ってる人たちがいたっけ・・・

 

自分たちの娘たちが加害者だとわかってからの話ときたら、

いかにこのことを無かったことにするか、

自分たちのせいではなく貧困と家庭環境のせいにしよう、

遺書を燃やしたりして、それも無かったことにしよう、

とにかくうちの子は悪くないし

私たちの育て方は間違ってない、

に終始する。

 

途中、校長先生をはじめとする先生たちや

亡くなった女子生徒に関係する人たちが出入りして

会話の中から少しずつ凄惨ないじめの実態が明らかになってくる

 

一人、また一人と考えを変える保護者が現れる様子は

「12人の怒れる男たち」を思い出させる。

 

それぞれの抱える事情がじわじわ明らかになってくる様子もしかり。

 

アマチュアとは思えない迫力の演技で

ぐいぐい引き付けられる。

 

やがてそれぞれが自分たちの子供や孫が待つ部屋に向かうのだけれど

親たちは我が子になんて伝えるのだろう・・・という含みを持たせる

 

我が家の場合はどちらかというと被害者になることが多かった。

けれど、ありがたいことに、味方になってくれる友達は必ずいてくれて、孤立することは無かったので、なんとかやってこれたと思う。

 

日本では被害者が学校に行かない、という選択をし身を守り、いじめられた子のカウンセリングをすることが多いけれど、

海外ではいじめをする方の子をカウンセリングすると聞いた。

いじめをしなければ自分を保てないほどの何を抱えているのか、に向き合うらしい。

 

そもそも「いじめ」という呼び方がおかしいと思う。

だって、これはもう犯罪なのだから。

物を勝手に持ち出せば窃盗だし

暴力をふるえば障害だし、

お金をせびれば恐喝だ。

「いじめ」なんて言うからちょっとした悪ふざけみたいに罪の意識を感じずに終わってしまう。

 

学校の中だろうが外の社会だろうがダメなものはダメなのだ。

 

と、自分の子供たちが学校を卒業してずいぶん経つけれど、

久しぶりにそのころのことをもう一度考えさせられた。

とてもとても難しく、重いテーマだ。

 

今回の開場である日本橋公会堂は、

7月から令和8年まで改修工事に入るという。

 

このユニットの舞台を観たり、

落語を聞きにきたりするたびに、

人形町の美味しいものを食べることが出来るのも楽しみの一つだったが、

その機会が減るかと思うとちょっと残念。

 

今回はこの会場の真向かいにある洋食屋さんで早めの夕食をいただいた。

 

改修が終わって、また何かを観に来れる日を楽しみに待つことにしよう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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【観劇メモ】骨と軽蔑

2024年03月21日 | 演劇

「骨と軽蔑」

作・演出 ケラリーノ・サンドラヴィッチ

2024/3/21 シアター・クリエ


午後から雨や風が強くなる、と言われている春分の日、チケットを無駄にはできないので、大学時代の友人ともちろんでかけていく。

ケラさんの舞台は

びっくりするくらい長いときがあるので、チケットを買う時はちょっとドキドキ。

今回は先に観た人に

時間を聞いていたので安心して

観られた。

あんまり長いと腰にくるのよね😅


今回の出演者は全員女性

軍需工場で財を成した父親の元、「お城」と呼ばれる豪邸に住む

父親は2階で闘病中で余命いくばくもないけれど、かなりの暴君の様子

母グルカが峯村リエさん

小説家である姉マーゴが宮沢りえさん

妹ドミーが鈴木杏さん

この家の家政婦ネネは犬山イヌコさん

マーゴのファンで異国から訪ねて来たナッツは小池栄子さん


父親の秘書でどうやら愛人らしいソフィーは水川あさみさん

編集者ミロンガと虫(?)を堀内敬子さん

この7人が舞台でしゃべくりまくる


豪華なお屋敷の部屋のセットの窓の向こうには映画のように美しい映像が流れ、季節の移ろいを感じさせる。

最初、雷鳴かと思って聞いていたら、それは砲弾の音で、どうやら西と東の両国で長い長い戦争をしているようだ

家は豪華だけど、秘書の画策で家族はかなり困窮し、母は酒浸りで禁酒を命じられているし、姉の夫は招集を逃れ行方不明だし、妹は姉の夫に想いを寄せて夫からの手紙を隠している。

なんだかくら〜い雰囲気の中、空気を読まずにとんちんかんなナッツと絶妙なタイミングで客席に話しかける家政婦ネネが笑いを誘う


時間の経過とともに、戦争の悲惨さが増してくるのがセリフの端々から想像できる。

女性や子供まで兵役につかされ、子供でも扱える兵器を作ろうとしたり

今、世界のあちこちで起こっている戦争や内戦でもきっとそんなことがおこっていることだろう


母グルカが命を救った者になりすまして(ホントはナッツが助けた)、助かった虫から願いを一つかなえてもらうとき、虫が「例えば平和を願うとか?」と提案したら「武器を作ってる工場なんだから、それはダメ」と自分だけの幸せを願う。

こういうことも世界のあちこちで起こり、戦争で儲けてる人もたくさんいるんだろうな、と背筋が寒くなる。

マーゴの小説も売れ、母もやや残酷な形で幸せを手に入れ、なんとなくパッピーエンドっぽくなってきたラストに大どんでん返しが💦


いったいどうしたらこんな話を思いつくのだろう。

そして、どうしてこんなタイトルを考えつくのだろう?

ケラさん、恐るべし‼️


そして女優さんたち一人一人のかけあいが見事で、緊迫したり緩んだり、目が離せなくてあっという間に1時間半が過ぎ、休憩時間

その後もラストまで一気に駆け抜けた感じ。

え?ってなって照明が落ち、え?のままカーテンコール

その後の展開に余韻を残して舞台は幕を閉じた。

見応えあったな〜


実は股関節の手術を控え、翌日入院することになっていた私


そんなギリギリまで、遊んでしまったけど、チケットは手術が決まる前に買ってたからもちろん行っちゃう。

行ってよかった〜


退院してスイスイ歩けるようになったらどこに行こう?

とちょっとワクワクしています。







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【観劇メモ】「Q-キュウ-」劇団きのこ牛乳16本目公演

2024年02月25日 | 演劇

【Q-キュウ-】

作・演出 イイジマショウタ

2024/2/25 北池袋新生館シアター

10年ほど前に「戯曲セミナー」という講座に参加した時のお仲間が関わっている

「劇団きのこ牛乳」という劇団の公演を観に、

同じくセミナー仲間たちと北池袋に出かけて行く。

北池袋新生館シアターは、以前にも別のセミナー仲間が公演したことがあって行ったことがあった。

駅前のローソンの2階にある小さな劇場だ。

ストーリーは

ちょっとハードボイルド

ときどきコメディ

小説家「クエル」が殺し屋をテーマにした小説を書き大ヒット。

それを気に入った殺し屋が続きを書かせようと6人の殺し屋と共に彼を監禁し、

期限までに書けなければ殺される、というもの。

殺し屋それぞれが抱えている秘密

潜入捜査のために殺し屋のふりをしている警官

純粋に小説のファンの殺し屋

殺し屋同士の恋愛

などなどいろいろてんこ盛り

打ち合いが始まったり、

謎のウィルスがまかれたり

監禁されてる小説家は実は替え玉だったり

あまりにいろんなことがありすぎて、ついて行けない

最後には

あれ?ウィルスまかれたのにこの人だけ死んでない?

なぜこの人は殺されないといけないの?

結局どういうこと?

終演後、劇場近くの喫茶店で一緒に行った友人たちとツッコミがとまらない

これが「イキウメ」の前川知大さんなら

ウィルスが出てきてもちゃんと伏線があって回収して矛盾が無いんだろうね~

なんて話してた。

今回、話がよくわからなくなった一つの原因に

お芝居が中断したことが大きかったかもしれない。

真ん中あたりで主演の方が体調を崩し

20分くらいお芝居が中断された。

手がしびれて動けない、と訴えてるのが聞こえた。

「脳とか大丈夫かな」と友人たちとハラハラ

どうやら回復したらしく、お芝居が続行されたけど

なんだか苦しそうな様子が

監禁されてるから苦しそうな演技なのか

具合が悪くてつらいからなのか、とかよけいなことを考えてしまい

お芝居に集中できない。

こういうアクシデントのあとって演者のみなさんも、スタッフの方達も大変なんだろうな。

演劇って一度現実に戻っちゃうとこんな風になっちゃうのね。

全体としては

外国映画の字幕のようなおしゃれなセリフまわしや

ハードボイルドな感じが私は好き。

ちょっと残念だったけれど

楽しませていただきました。

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