【チョコレートドーナツ】
原作 トラヴィス・ファイン/ジョージ・アーサー・ブルーム
翻案・脚本・演出 宮本亜門
PARCO劇場 2023/10/28
アメリカで実際に起こった出来事を映画化したものを
さらに舞台化した、というこの作品。
ときどき観劇のために北海道から上京する幼馴染のリクエストでチケットをゲット!
彼女は映画を観て感動したらしい。
私は映画を観ていなかったので
まったく知識のないまま出かけていく。
このところ世間を騒がせているジャニーズの社長になった東山紀之さんが主演。
女装をしてショーパブで働くゲイの男性ルディを演じる。
ショーパブに客として現れ、彼に魅了された法律家のポールは岡本圭人さん。
彼らは隣家に置き去りにされていたダウン症の男の子マルコを見つけ、保護しようとする。
マルコの母親はドラッグで逮捕されてしまったから・・・
マルコを心から愛し、家族になろう奔走する二人だけれど、
ゲイであることや女装してショーパブで働いていることなどへの
激しい差別と偏見から、マルコは施設に送られてしまい・・・
実社会でもそうだけれど、
誰の幸せを一番に考えなければならないのか、と言うことが
法の下ではねじ曲げられてしまうように思う。
体裁が整っていなければ認められないことが多すぎる。
ゲイカップルの二人以外は
マルコ自身の二人への思いも願いも考えていない。
マルコのダウン症への先入観もある。
マルコを演じる子役の皆さんは実際にダウン症でトリプルキャストとなっている。
この日は鎗田雄大君。
切ない演技もカーテンコールのアドリブもとってもキュート。
東山さんの女装の美しさったら!
脚がホントにきれいだし、着替えのシーン時の腹筋といったら、筋肉のTシャツを着ているようだ。
何よりマルコへの接し方がまるで母親のようで慈愛に満ちている。
悲しく切ないラストを迎えてしまうのが
実話と言うこともあり、何ともやりきれない。
2回目のカーテンコールが終わり、一度会場が明るくなったけど、
鳴りやまないスタンディングオベーションで、
結局4回のカーテンコール。
このチケットを買ったときは
東山さんが引退するっていう話はまだなかった。
特別ファンというわけではないけれど、
これで最後なんだな~と思うと、カーテンコールを見ながら
なにやら寂しい気持ちになる。
ミュージカルがあまり得意ではないので
宮本亜門さんの舞台は食わず嫌い感があり
このチョコレートドーナツもノーマークだった。
彼女が誘ってくれなければきっと行かなかっただろう。
観たい、と言ってくれた幼馴染に感謝感謝!
マチネが終わって、午後2時半ごろ劇場の外に出ると、
土曜日とはいえかなり人が増えている。
そうだ、ハロウィン直前の週末だった。
渋谷に行ってはいけない日だ。
そういえば通りのあちこちに
「渋谷はハロウィンのイベント会場ではありません」
って書いてあった。
終演後遅めのランチをしようと思っていたけど、
この日に北海道に帰る彼女と一緒に、そのまま羽田に行くことにして、
渋谷から羽田に向かうリムジンバスに乗り込む。
途中、まるで大きな事件があったかのように
たくさんの警官をのせた警察車両と何度もすれ違う。
いったいいつから「ハロウィン」=「渋谷がヤバい日」になっちゃったんだろう。
羽田でかなり遅めのお昼ご飯なのか遅めの夕食なのかわからないおそばをいただき、
彼女が東京に滞在した二日間のことをあれこれ話し、また会う約束をして空港を後にする。
リムジンバスの前の席のサラリーマンらしきお二人が
わりと大きめの声で「気の毒なあつしくん」のことを話している。
心の中でツッコミを入れてるうちに、30分ほどで家の近くの駅に到着。
子供のころから知っている友人との時間は何ともかけがえのないものだと毎回思う。
楽しい時間をありがとう。
また会いましょう