とにかく南が一番重要な方角である、とする
建築の哲学を私は不思議に思うのである。
家を建てるために入手した土地が、どういう
形であれ、道路つきがどうであれ、周囲の
状況がどんなものであれ、とにかく新たに
建てる建物は常にその南面が重要視される。
日光をとにかく浴びたいのである。
多くの人はそこに履き出しの窓を配置し、
外観上その家の「顔」ともいえる面を持ってくる。
敷地が北でしか道路と接していない場合でもだ。
唯一の接道である北側の道路に向かって見える
外観などどうでもよいかのような家も多い。
この傾向は、二つの弊害を生む。
●ひとつは街並みがキレイにならない。
●もうひとつは家の中が暑い。
というところである。