ペンギン夫婦の山と旅

住み慣れた大和「氷」山の日常から、時には海外まで飛び出すペンギン夫婦の山と旅の日記です

カンカン照りの大台ケ原(続き)

2013-08-22 09:55:04 | 山日記

一刻も早く日陰に入ろうと休まずにどんどん下る。疎林の中の「イノシシのヌタ場」もカラカラに干上がっていた。

正木ヶ原もカンカン照りで人影も見えない。子供たちが幼い頃、登って遊んでいた倒木の先に、去年はシカの集団がいたと♀ペンは楽しみにしていたが、警戒の鳴き声すらしない。尾鷲辻の休憩舎は7,8人の先着者がいたので通過する。辻ではブルーシートが張ってあって、森林の手入れをしている人の姿があった。ここから正木ヶ原にかけて作業用の軌道が敷かれている。その先の大きなケルンが積んである道脇で休んでいると、先ほどの作業者がガラガラ音を立てて通り過ぎて行った。風もこないので水分補給だけして、5分も休まずに腰を上げる。


牛石ヶ原では灼けつくような日差しに晒された神武天皇の銅像が熊野の方角を睨んでいた。弓の先に止まる八咫烏もさぞ暑かろう。


その前の黒い大きな石には、理源大師が牛鬼という怪物を封じ込めたという伝説があり、触れると「白日も天地晦冥となり」降雨になると恐れられている。遊歩道のように整備されている道をしばらく行くとT字路になり、大蛇クラへ直進する道は細くなる。やや急なガラガラの下り道になり、先行した家族三世代らしい6人パーティに道を譲ってもらって先に行く。


大蛇クラに登る入り口の木の橋も補修され、その先の岩場の周りの鎖もピカピカ銀色に光る新しいものに取り換えられていた。


他には誰もいない大蛇クラの先端に立って、二人でお互いの写真を撮り合う。右手の蒸篭クラ、正面に深く切れ込んだ東ノ川を挟んで竜口尾根、細い布を垂らしかけたような西ノ滝、さらに奥に大峰の山々。いつ見ても何度見ても素晴らしい眺めだ。5分ほど絶景を二人占めにしていると、6人パーティが姿を現したので場所を譲った。


三叉路へ引き返す途中の大岩を左に捲くところで右へ、踏み跡を岩へ登る。岩上の日陰になった窪みには、なんと雨水が溜まっていた。トウヒやゴヨウツツジなどが日陰を作っている、私たちがよく使わせて貰う昼食の特等席だ。すぐ横に蒸篭クラが聳え、アカヤシオの枝にまだ色の淡いアキアカネが羽を休めている。昼食をしていると真上に人影が立って驚いたが、同じ方(大蛇クラ側)へ降りて行ったところを見ると、どうも私たちの話し声で勘違いしたらしい。反対側からは登りやすく岩の下には「この岩は大蛇クラではありません。少し先の…」という注意書きがあるのだが…(写真は大蛇クラから見た蒸篭クラ)。食事中に大勢の人が下を通って行った。大きなパーティのガイドが「右手のような大きな岩壁をこの辺りではクラといいます」と説明している。6人パーティや単独行の男性も帰って行った。


30分近くのんびりして腰を上げ、三叉路へ登り返して左に折れ、シオカラ谷へ下る。去年はこの辺りから激しい雷雨になり、道が滝のようになって難渋したところだ。今日はシャクナゲ林の中の道は木陰で、時折り左の東ノ川の方から冷たい風が吹き上げてくる。シャクナゲ林が過ぎると大きなブナやケヤキ、ナナカマドなどの自然林の道をシオカラ谷に下っていく。


冷たい水で顔を洗い、河原の石に腰かけてしばらく休む。6人パーティのうち若い4人と単独行の人を合わせても7人。涼しい風が吹きすぎる今日のシオカラ谷は静かだ。


何時までも休んでいたいところだが、4人パーティが出発したので重い腰を上げて吊橋を渡る。


毎度のことながら、ここから駐車場への登りが辛い。しかも年々、時間がかかるように思える。最初のジグザグの急登で単独行の人に追い抜かれた。いったん水平な道になって、しばらく息を継ぐとまた石の階段道になる。休まずにゆっくり登り続けて前を行く中年のペアに追いつき、先に行く。最後に林の中の一登りを終えて、水平な道を駐車場へ帰る。




上北山村物産店でカップの氷を買って火照った身体を冷やした。上に乗っているいるレモンが何ともいえず美味しかった。ドライブウエイでは今年もトモエソウが花盛りだった。黒い雲が空を覆ってきて待望の一雨が来るかと思ったが、結局、帰るまで一滴の雨も降らず、大滝の国道に設置してある電光掲示板は35℃を示していた。



<コースタイム> 山上駐車場 08:55… 日出ヶ岳 09:35~09:50 … 正木辻 10:00 …正木ヶ原 10:20 …牛石ヶ原 10:55 …大蛇クラ 11:10~11:15 …昼食 11:25~11:55 … シオカラ谷 12:30~12:50 … 駐車場 13:25



4 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
心臓に悪い ()
2013-08-24 11:29:12
「来て嬉し,帰って嬉し、夏休み」
盆明けからマイペース生活に戻りましたが、連日のこの暑さで外に出る気がせず、家に中に引き篭もって体重計とにらめっこしています。(笑)

お二人にとっては知り尽くした大台ケ原ですが、今回はコンデションよくていいトレッキングでしたねえ。それにしても大蛇の絶壁は心臓に悪い。先端で両手離して写真撮影なんて、山行き百戦錬磨のなせる業ですねえ。
返信する
丸さんへ (変愚院)
2013-08-24 18:26:02
しばらく賑やかだった日々を送られて良かったですね。
今日は本当に久しぶりに雨が降って涼しくなりました。

♀ペンは怖いもの知らずで岩が好きなので、こちらがヒヤヒヤすることがママあります。
遅れをとらぬように頑張ります(笑)
返信する
懐かしいですね (lilyちゃん)
2013-08-31 20:30:16
凄くお天気が良かったんですね
綺麗な写真を拝見して
去年を思い出しました
もう一回行って大蛇ぐらの先端に
行ってみたいです
やっと明日から9月ですね
少しほっとしています
返信する
lilyちゃんへ (変愚院)
2013-09-01 09:34:43
ありがとうございます。ご覧の通り、今年はお天気に恵まれました。

本当に暑い夏でしたね。
秋の大蛇クラも紅葉で綺麗ですよ。
返信する

コメントを投稿