宮応かつゆきの日本改革ブログ

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「政府からの独立性を保つことが一番大事 ー 日本科学史学会会長 木本忠昭さん」

2020年10月29日 | 未来社会へのプロセス

「しんぶん赤旗」日曜版11月1日付に、菅義偉首相が日本学術会議の会員候補6人の任命を拒否した問題で、日本科学史学会は会長声明を発表しました。同学会の木本忠昭・東京工業大学名誉教授(77)の発言が紹介されています。以下、紹介させていただきます。

「今回の任命拒否は、日本学術会議法に反した乱暴な政治的人事介入といわざるを得ません。任命拒否を撤回し、任命決裁までのプロセスと、拒否理由の正確な説明を私は求めます。この問題が、学術会議のみならず、広く科学界、国民生活に害をもたらすと強く危惧しているからです」

【戦時の弾圧反省】

「憲法23条には、『学問の自由』が独立した条項として書き込まれました。それは戦前・戦中の体制が、学問を弾圧してきたことからの反省です。戦前の学問に対する政治介入としては滝川事件(1933年)や天皇機関説事件(35年)などがありました。こうした学問、言論の自由への弾圧は、結局は国のためにも、国民のためにもならなかったという深い反省があったからです」

「当時は、軍事研究の分野にはお金がでたけれど、軍事とは直接関係ない研究にはお金もでず、できなくなりました。学問全体が戦争に引っ張られていった。国が直接、学問の行き先を指図するようなことになると、学問の健全な発展は阻害されます。この反省から『学問の自由』は書き込まれたのです」

「科学、学問の自由は、全人類の幸福にとっても大事です。そのことは日本だけでなく、国際的にも認められてきました。そういう世界と日本の経験をあわせ、憲法にうたわれたと思います」~ 中略 ~

「戦後、東工大では戦前の反省をもとに大学改革が行われ、名古屋大学でも、物理学の研究者で坂田昌一という先生が主導して『教室憲章』を作りました。教授も若い人も教室では同じく自由に発言できるという運営で、それから優れた研究が育っていきました。ノーベル賞を受賞した益川敏英・京大名誉教授や小林誠・高エネ研特別栄誉教授もその一員でした」~ 中略 ~

「科学研究は未知の問題に立ち向かいます。その過程ではさまざまな意見、評価があり得ます。そのうちの一部の科学者を時の政権が恣意的に排除すれば科学的なプロセスをねじ曲げてしまうことになります。新型コロナウイルス感染症の研究でも未知の問題にあふれています。そこに、政権の利害にあわないからと政治的基準を導入するなら、科学的究明は阻害され、結局は国民の期待に応えられないことになります」

~ 中略 ~

「菅首相は、任命拒否について『総合的に俯瞰的に判断した』と説明しています。これは、首相自身が学術会議法にない別の判断基準を持ち込んだ、みずからの違法性を認めたに等しいものです」

「日本学術会議は、政府の諮問会議とは違います。政府から独立性を保つことができるかどうか。このことが、一番大事です。政府から独立し、研究者が自由に意見を交わし合わす組織でなければ、科学者の集団として意味をなさないと思います」


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