20日京都市で開催された「日本学術会議への政治介入に抗議し、説明・撤回を求める京都緊急集会」で菅首相から任命拒否された6人の学者の一人、松宮孝明立命館大学教授が、「特別報告」を行いました。
松宮教授の「特別報告」の「要旨」が「しんぶん赤旗」22日付に掲載されました。鋭い法理論に基づいた告発に大いに励まされています。以下、紹介させていただきます。(一部省略)
「日本学術会議法の前文には、『人類社会の福祉に貢献し、世界の学会と連携して学術の進歩に寄与する』ことが学術会議の使命だと書いてあります。今回の任命拒否の本当の被害者は、学術会議が影響を受けることで間接的に影響が及ぶ、日本で学問をする人々、その恩恵を受けるべきすべての人々だと考えています」
「学術会議そのものはいろんな予算を使って直接に研究する機関ではありません。したがって、学術会議やその会員が、憲法23条にある学問の自由を享受しているのではありません。日本で学問をする人すべてに学問の自由は保障されています。学術会議はそのお手伝いをするところであり、日本における学問の自由を保障するための制度の一つです。その制度にがたが来るようなことがあれば、間接的に学問の自由に悪影響が及びます」
「日本学術会議法3条には、学術会議は独立して職務を行うとあります。ところが、内閣総理大臣の意に沿わない人を拒否できるとなれば『独立して』と書いてある意味がなくなります。ひいては、学術会議の活動によって間接的に影響を受けるであろう日本の学問の自由に悪影響が出る。だから学問の自由の危機だと言っているわけです」
【法治主義の危機】(省略させていただきます)
【独裁国家の解釈】
「官房長官などは憲法15条1項を持ち出してきました。日本の公務員の選定、罷免の権利は国民の固有の権利であると書いてあるから、内閣総理大臣が任命、罷免を自由にやれるというんです。内閣総理大臣=国民ということでしょうか。そんなわけはありません。15条1項によって、法律でこういう風に選ぶというルールを全部無視できるとなれば、日本の公務員は内閣総理大臣が好き放題に任命、罷免ができるということになります。それは、独裁国家です」
「私はナチス・ドイツの受権法を思い出しました。この法律によってヒトラーに全権が委任され、何でもできるようになった。菅内閣は憲法15条1項が授権法みないなものだと解釈するのでしょうか」
「日本学術会議は当初から軍事研究に反対しています。大事ことは、軍事研究それ自体が学問の自由を害するものだということです。もし軍事研究で成果をあげても、それを公表することはできません。それどころか公表すれば特定秘密保護法に違反し犯罪になってしまいます」
「成果を公表できなければ研究者としてキャリアアップの道も閉ざされます。学問研究の成果は人類社会の福祉に用いられなければいけないと考えると、公表の自由も学問の自由の一つを成していると考えます。そういう意味でも、軍事研究と学問の自由は相いれないものなのです」