「厚生労働省が5日発表した9月の毎月勤労統計調査(速報)によると、物価の変動を反映した賃金水準を示す実質賃金指数(現金給与総額)は前年同月比2・9%低下しました。 前年割れは15カ月連続」(「しんぶん赤旗」6日付)
一方、黒田日銀総裁は、5日、都内で講演し、「『2%の物価目標』について、『2年程度を念頭にできるだけ早期に実現する方針に変わりはない』と語りました。 その上、目標の早期実現のために『できることは何でもやる』と強調しました」(同紙)
日銀が昨年4月から実施している「異次元の金融緩和」は、どんな実態になっているのでしょうか。 10月31日に決めた追加金融緩和などで、株価の上昇や円安を一段と加速させています。
「しんぶん赤旗」6日付、「データは語る」が、日銀の「異次元の金融緩和」政策の問題点を分かりやすく解説しているように思います。
「日本銀行が昨年4月から実施している『異次元の金融緩和』で日銀当座預金が膨らんでいます。 10月末時点の残高は168兆円。 2013年3月末のほぼ3倍です。 日銀当座預金は民間銀行など金融機関が日銀に預けるお金です」
「日銀は『異次元の金融緩和』で年間50兆円もの長期国債を民間銀行から買い入れるなどして、年60兆~70兆円ものお金を供給してきました。 日銀が買い取った国債の代金は各銀行が日銀に持っている当座預金口座に振り込まれます。 銀行がそのお金を企業に貸し出せば投資が増えて、経済活動が活発になるという触れ込みでした」
「しかし、銀行の貸出金はこの1年半で2%程度増えただけ。 実体経済に与えた効果はほとんどありません。 賃金は上がらず、経済の中心をなす個人消費が増えないので、企業の資金需要も増えないからです」
「大企業は285兆円もの内部留保をため込んでいるので、銀行から新たな借金をしようとしません。 結局、日銀が供給したお金は日銀当座預金に積み上がっただけでした」
「日銀は11月から長期国債の買い入れを年80兆円に増やします。 すでに失敗が明らかになった政策をさらに大規模に進めることになります」「(山田俊英)」