じゅくせんのつぶやき

日々の生活の中で感じた事をつぶやきます。

向田邦子「無口な手紙」

2023-12-06 13:58:36 | Weblog

★ 12月ももう6日。今年もそろそろ年賀状の準備をしなければいけない。以前は100通ほど送っていたが今では30通程度に減っている。それでも毎年頂いている方へは送らないわけにはいかない。(音信がないと死んだのかと思われる)

★ 最近はラインやメールが主流で、自筆の手紙やはがきなどほとんど書かなくなった。

★ ハガキと言えば、中学2年生の国語の教科書(東京書籍)に載っている、向田邦子さんの「字のない葉書」が印象的だ。

★ 戦時中、向田さんの妹は疎開した。妹はまだ字が書けなかったので、父親があて名を書いた大量の葉書を渡した。元気ならばマルを書いて投函するようにと。最初書かれれていた大きなマルが、だんだん小さくなり、とうとうバツになり、そして葉書が来なくなった。

★ 母親が迎えに行った時は虱だらけで病床に臥せっていたという。妹が帰宅したときの父親の号泣が印象的だ。常日頃威張り散らし、時には暴力も振るう父親だったが、妹を抱きしめ泣いたのだ。

★ 向田さんの「男どき 女どき」(新潮文庫)に「無口な手紙」という掌編があり、そこでこのエピソードが採録されていた。

★ 手紙のコツは「簡潔 省略 余韻」だという。なるほど。

★ 手紙を書くのが苦手だという向田さん。しかし、「どんなに悪筆悪文の手紙でも、書かないよりはいい。書かなくてはいけない時に書かないのは、目に見えない大きな借金を作っているのと同じなのである。」と結ばれている。

☆ 年賀状を書く意欲が少しは湧いてきた。

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