じゅくせんのつぶやき

日々の生活の中で感じた事をつぶやきます。

角田光代「ツリーハウス」

2023-01-31 03:47:24 | Weblog

★ 中学3年生の学年末テストが終わり、高校受験まであと10日になった。バタバタと時が流れじっくり読書もできなかったが、ようやく角田光代さんの「ツリーハウス」(文春文庫)を読み終えた。

★ 新宿西口に店を構える「翡翠飯店」。その店を経営する3世代の人々の物語だった。

★ 初代の祖父の死から物語は始まる。残された祖母を伴って、息子と孫はかつて祖父母が暮らした満州(中国東北部)を訪れる。時代は一気に戦前へ。

★ ふたりはどうして満州に渡ったのか。そして、いかに祖父母が出会い、いかに戦火を切り抜け、生き延びて日本に帰ってきたのか。終戦直後、高度成長、やがてバブルもはじけて、店は祖父から息子へと受け継がれる。

★ 本書の主人公は「ある家族」であるが、同時に「時代」であると感じた。時代の変遷の中で、人はどう生きたか、そしてどう死んでいったか。学園紛争、オウム事件など、戦後の大きな事件とも家族は遭遇する。(この家族の物語は、同じ時代を生きた日本中のどの家族にも大なり小なり当てはまるように感じた)

★ 角田さんの作品はあまり読まなかったけれど、この大河小説には感動した。

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