ささやかな非日常

日常の中の非日常、コロナ過だからこそそんな時間に憧れますよね。

こんにちは。新人の稲です。
今日はそんな非日常の幸せを皆さんと共有させていただこうと思います。

未だ紅葉も枯れない頃、私のスマホに驚きの事実が届きました。
なんと私の好きな小説がミュージカライズされるじゃあありませんか。

演目は「浜村渚の計算ノート」
本作は数学をモチーフにしたミステリー小説です。


舞台は義務教育から理系科目が排斥されたもう一つの「日本」
急増する少年犯罪の原因ある専門家により「情緒も何もない冷たい理系科目のせい」と決められ、日本政府はすべての学校教育から数学をはじめとする理系科目を排除しました。
それにより職を失ったり研究を打ち止めにされた研究者が多く起こされました。
そんな状況に異を唱えたひとりの数学者が学校教育に数学を取り戻すためにテロ組織「黒い三角定規」を結成し、日本全体に、数学の知識がないと解けないような難解なテロ行為を巻き起こします。
警視庁「黒い三角定規対策本部」は数学音痴な刑事が多く、とても太刀打ちできないため、民間人から協力を要請し、現れたのが数学を愛して止まない普通の中学生、浜村渚でした。
数々の難解な事件を彼女の嬉々として数学に臨む姿勢が解決していきます。
そんな彼女の好きを肯定する力が同級生や数学音痴の刑事たち、ついには同じく数学を愛して止まないテロ集団、黒い三角定規の面々にも前向きな力を与えていきます。

一月初頭に東京で講演されたので早速観に行ってきました。
ミュージカルは今まで大学の友達の演劇サークルを観に行ったり、自分たちが開催するイベントでやることはあったのですが、いわゆるお金を払ってプロの公演を観に行くのは初めてでした。


行ってみて、本当によかった。初めから終わりまで感動の連続でした。
役者の動きは勿論のこと、意匠を凝らした舞台の装置の数々、派手な音楽とそれを引き立てるプロジェクションマッピング、観客の視点を固定するような仕掛けがそこかしこに散りばめられていました。

原作でミュージカルをモチーフにしたお話があり、それを今回の演目でやってもらいました。
今まで小説の中で、想像の中で見ていた世界が眼前に広がる様は感慨深いものがあり、目の奥から暖かいものが溢れそうな感覚を覚えました。
他のお話も全て原作通りに再現されていて本当に素晴らしかったです。

原作を知るものとしては観ていて色々な感情が次々と引き出され、感情の動き目まぐるしく楽しむことができました。
公演が終了した後もすぐに「もう一回観たい！」という感情が自分の中で大きくなっていくことを感じ、再公演或いは映像化或いは続編を今でも心待ちにしています。

さて、少し真面目な話をします。
この物語を観てみて「好きこそ物の上手なれ」と言う言葉を考えさせられました。
世の中から数学が消えても主人公渚の「好き」という気持ちが伝わってきて、彼女の一途な思いが殺人者と化してしまったテロリストたちの心を変え、彼ら自身も持っていた「好き」を思い返させていました。
何かのプロであるということは、そのものが好きだという気持ちなしにはできないと思うのです。
そして、その熱い思いが周りの人にも素敵な影響力を与えていく。
それぞれの「好き」が交差して新しい価値が生まれていく。

そんな素敵な出会いが活発になって、もっとワクワクするような社会になれたらいいなと思います。
今日もいい日でありますように。

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