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ジェイエスピー社員が綴る日替わりブログ

役務という税

2011-01-28 00:50:25 | 日記
 高齢者の万引きが増えているという。昨日の夕刊に載った記事によると65歳以上で逮捕・書類送検された人が2万7千人を超え、20年連続で前年を上回って増えているようだ。朝日新聞の夕刊の紙面構成はかなり皮肉で、この記事の隣に、警察関係者が事件を起こして処分される人も増加しており、高い階級の人が増えていることを載せていた。

 ネットで高齢者の万引きの件を再確認してみると、各マスコミの記事が微妙に違う。気になるのは数字の扱いだ。朝日は「逮捕・書類送検された」数であると言っているが、時事ドットコムでは、単に「警察庁のまとめ」としか言っていない。読売は「摘発された」数と言っている。日経は「摘発した」数と言っている。

 約2万7千人という数字がどういう数字なのか、この手の記事ではきっちりわかるように表現すべきだろう。その意味で朝日の「逮捕・書類送検された」数だ、という表現がより妥当性が高い。なぜこんなことにこだわるかと言えば、65歳以上の高齢者の万引きに関する記事だからだ。例えば70歳のおばあちゃんが万引きしたとする。これを見つけて店の人が捕まえた、とする。一般人が考えれば、これは「摘発された」数の一つと考えがちだ。しかし、2万7千人の中にこの数字は入っていないのだ。2万7千人は、あくまで「逮捕・書類送検された」数なのだ。おそらくどこのスーパーでも、70歳のおばあちゃんの万引きを1回捕まえたくらいで警察沙汰などにしないだろう、と私は思う。

 最初はおばあちゃん自身に係りの人が説教し、何回もそれを繰り返したら家族を呼んで注意し、それでもエスカレートするばかりと言うことになっていよいよ警察に依頼、警察が「摘発して」書類送検するか逮捕する、ということになるのだろうと思うのだ。つまり2万7千人というのは決して高齢者の万引き犯の実数ではない、ということだ。実際に万引きしている高齢者の数となれば、この何倍にもなるだろう。そういうイメージができる記事と、できない記事がある。記者の技量や理解の深さが、表現の違いになって現れる。

 「逮捕・書類送検された」高齢者万引き犯の約半数が女性だ。強い道徳観を教育されてきたはずの高齢者が、おそらく悪質な常習者として警察に捕まるまで身を持ち崩してしまった訳はいったいどこにあるのだろうか。
 少子化が進み、自殺者が増えている理由と繋がるところがありそうな気がする。戦後日本が作り上げてきた社会の構造的欠陥が、このようなひずみを生み出しているのだろう。

 こういうひずみ、構造的欠陥をそのままにして、金ですべてを解決しようという風潮が根強い。この国をどうするか、という論議は税や年金、医療費など、金に関する話しばかりが先行する。自分の所にいくら分け前がまわって来るだろうかとそればかり気にしている人が多いのだ。未来を見据えた制度や仕組みを考え、議論する機会はほとんどない。

 税金を役務で払う制度を作るべきだ、と言うのが私の意見だ。この案は以前もこのブログで書いた。若者に徴兵制のような社会奉仕の役務を課す。1つは介護、1つは保育。同じように定年後すぐの高齢者も介護や保育、地域活動などの役務を増税し、一定の役務を支払った者のみ年金がもらえるようにするなど、どうだろうか。役務とは金でなく、仕事で支払う、ということだ。カーボンオフセットの考え方のように、役務はできないが金はある、と言う人は、金を払って役務を買えばいい。もちろんいろいろなハンディキャップを持っている人には優遇措置が取られなければならない。

 役務と言う税金を払いながら人の役に立ち、しかも地域の人たちと交流できて地域の活性化につながる。金でないものの力、人間自身が持つ威力、これを復活させる制度や仕組みを考えて行かないと、日本はただただすさんだ暗い国になる。


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株式会社ジェイエスピー
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