卍の城物語

弘前・津軽地方の美味しいお店と素晴らしい温泉を紹介するブログです

渡辺源四郎商店第15回公演「翔べ!原子力ロボむつ」

2012-04-26 00:16:48 | 演劇鑑賞
ナベゲンこと渡辺源四郎商店の公演を観て参りました。
24日の夜公演です。


会場はお馴染みのアトリエグリーンパークでございます。

平日の夜ながらいつ行っても満席ですね。
60人位いたのかな?


そんなこんなでさっそく開演。

あらすじ
近未来。
核廃棄物の処理を一手に引き受けていた北の地で、生まれるべくして生まれた原子力ロボット「むつ」。
「むつ」の使命とは?「むつ」は人類を救えるのか?
渡辺源四郎商店が満を持してお送りする、渾身のアトミック人情喜劇!


戯曲としては避けて通れないであろう、震災、津波、そして原発について。
今回は原発問題を扱っている。

運転停止中の東通原発、建設中の大間原発、運転準備中の六ヶ所再処理工場・・・。
当事者としての青森が舞台であります。


原発の高レベル廃棄物の処分場として受け入れた南むつ町はその見返り莫大な資金を得る事になり、遂には日本から独立し・・・。
その引き受けた自治体の町長は恒久的な安全性を確認する為に冷凍睡眠にて1000年後に目覚め・・・。って話。


主役は山田百次。
今回は喜劇の部分が多いが、彼のコメディアンとしての芝居はあんまり評価できないんだよなぁ。
そもそも彼はナベゲンの団員ではない。そう思うと違和感ある。


看板女優の工藤由佳子の出番少なすぎる・・・。
劇と関係無いけど、彼女はセクシー過ぎる!


柿崎彩香は今回も面白い役どころで良かった。
彼女は美人だし、演技もいいからファンです。


今回一番の演技は三上晴香と音喜多咲子でしょうね。
脅威のハモリ声だった。あれはすごい!
しかも2人ともロリキャラだし、萌えたね!


その他の役者は特にみどころないので省略。


結局、原発は恐ろしいんだよって事を伝えたかったんでしょう。
でもさ、これを中高生に見せるならわかるが、大人に見せてもなぁって思った。
演劇観に来る位の人は、ある程度学識あるだろうし、メディアリテラシーもあるだろうし、原発に付いてきちんとした考えも持っているだろう。
言わずもがなの近未来だし、じゃないと近日全ての原発停まる事態にはなってないでしょう。


今回の公演は正直面白くなかったです。以上。


今年は他劇団との合同公演が二回と、畑澤演出の市民劇があるので、そちらを期待したい。

渡辺源四郎商店第14回公演「エクソシストたち」

2011-11-23 23:56:20 | 演劇鑑賞
「渡辺源四郎商店」の公演を観に行ってきました!

23日の昼公演しか休みが無かったので、この日に予約を入れて行きました。


当日は会場のアトリエグリーンパークには超満員の客が待ち受けています。
当日券目当ての客は入れないほどすでに埋まってはいたが、通路や舞台ギリギリまで席を作って無理矢理押し込めていたので多少遅れて開演することになりました。
今や予約しないと入れないであろう、大人気の劇団になりました。

そんなこんなでやっとこさ開演。

~あらすじ~
現代。北東北、人口30万、県庁所在地の小都市。その閑静な住宅地にある2階建ての家。30代の母親と 小学生の娘が生活している。娘に異変が起きたのは2ヶ月前から。男のような声でわけのわからぬことを口走り、卑猥な言葉を発し、母を罵倒するようになった。顔はむくみ、ひび割れ、目は真っ赤。頬は痩せこけ、可愛かった面影はどこにもない。「悪魔が憑いた」と判断するよりほかなかった。そして、この日、ある異様な客たちがこの家にやって来た。 様々な能力を持った悪魔祓い(エクソシスト)たち である。悪魔祓いたちと悪魔との戦いがいま始まるのであった。


かの有名なオカルトホラー映画「エクソシスト」をモチーフにした作品で、2002年の脚本をナベゲン使用に書き換えた改訂版らしい。

「エクソシスト」たち、すなわち悪魔払いが出来ると自認する神父、僧侶、カミサマ、ヒーリングミュージシャン、そして精神科医が集まって儀式を行うお話。


今回は全体的に笑いどころがかなり多くてすごい楽しめた。
「セイリ-ムーン」とか仲居正広の髪がキテるとか、ムーミンに出てくるなんだかとか諸々、コメディが多くて笑えた。


今回のキャストたちを演技とともに振り返って紹介してみる。

ちずるの母親/工藤由佳子
笑いどころが多かった今回に於いてはシリアスな演技のみだったのが残念だったが、ラストの元亭主の死を望みながらの思い返すシーンは圧巻でしたね。

ヒーリングミュージシャン/高坂明生
バンド活動もしているようなので、一応ギターが上手いという・・・。
彼にはもっと振り切ってほしいんだよな・・・。期待も込めて。

ちずるの担任教師/三上晴佳
頼りない役やらせたら右に出る者はいない、と見せかけて抜群の安定感を持ち、演技上手すぎて腹立ってしまうくらいの実力者の彼女であり、悪魔に憑かれた演技もさすがです。

精神科医/柿崎彩香
ここ最近めっぽう成長の著しい注目株の役者である。
顔も綺麗だから最近出演が多くて少し嬉しい。

僧侶/工藤良平
なべげんでは久し振りに出演した気がするが、彼はなんか貫禄が出てきた(体格もあるけど)ので、それが演技に生かされたのでよかった。

神父/牧野慶一
ちょっと恐さを秘めた役が似合うダンディな役者さんはなべげんでは生きる。

ちずるの内縁の父/山田百次
なべげんの唯一のウィークポイントである青年枠をガッチリと固められるベテラン。
主催の「野の上」もいいが、なべげんにも必要な存在であることは間違いない。

平賀のカミサマ/斎藤千恵子
本業は声優さんだそうです。
「平賀のカミサマ」って役自体笑えるが、本家の「下北のカミサマ」に顔も体格も似ているのが一番笑えたという。

ちずるの父/音喜多昭吾
本業はRABの営業マンだそうです。
久方振りに役者業も始められたそうです。
多分親子競演なんでしょうな。

ちずる/音喜多咲子
畑澤聖悟の元教え子で、今回なべげんに初参加。
大学一年生ながら11歳の役を演じたが、問題なく観れた。
大学では発達心理を専攻していると書いてあったので、発達障害とかあったのかも。
結局悪魔憑きのシーンはなかったのが残念であった。


平賀のカミサマが霊を呼んで、娘を迎えに来るというラストで締め括られ暗転する。
音楽が流れてこれで終わりと見せかけて、エピローグのようなシーンが数分ある。
結局また同じ事を繰り返す、というこのシーンが加わった事によって感動が何倍も増した。
さすがの畑澤聖悟、ニクイ演出するもんである。


そんなわけでエピローグのシーンにしてやせれたのもあって、とても面白かった。あっという間の80分であった。

今回も感動をありがとう、なべげん!!

渡辺源四郎商店第13回公演「あしたはどっちだ」

2011-04-19 00:25:57 | 演劇鑑賞
ナベゲン公演を観に行ってきました!

大地震があったので、予定されていた今回の公演そのものが行われるのかという疑問があったそうだが、稽古も大変な中、予定通りに今回の公演に漕ぎ着けたようである。

この日は撮影日で、カメラ設置で観客席もいつもより少ないが、それでも平日の夜なのに満席である。相変わらずの人気振りである。


2008年公演「どんとゆけ」の続編が今回の「あしたはどっちだ」の公演になるのだが、続編という事もあり、「どんとゆけ」の再演も今回の日程に組み込まれている。
過去に観てない人は連続で観ればいいと思うが、自分は観たので新作のみ観ることに。

はっきり言って「どんとゆけ」は面白くなかった。
しかし、設定は面白いので、畑澤聖悟も同じテーマを使ったのであろう。


死刑囚の死刑執行を被害者家族に行わせる法律が将来出来たら・・・、そんなテーマの中での人間模様である。

幼稚園に侵入し、園児7人と園長を殺害し、裁判で死刑を確定された男と、彼と獄中結婚した女、殺された園児の親の、死刑執行の日を描いている。


「どんとゆけ」に続いて主役の獄中結婚マニアの女は工藤由佳子である。
相変わらずのマルチプレイヤーなので、何演じさせても無敵の安定した演技。
今回はこれといったみどころは少なかったが、ラストシーンは妖艶ぶりはさすがでした。

死刑囚役は佐藤誠です。
ナベゲンと「東京デスロック」の両方に所属していたが、ナベゲン専属になったのかしら?
前半は喋れない役ながら、人殺しの目をしてただけですごいけど、後半の暴虐ぶりもなかなかである。
今後はナベゲンの薄い青年層の柱になってほしい。

畑澤聖悟は拘置所の職員役だが、事務的なセリフまわしがイチイチ面白かった。
「なまはげ検定2段」には爆笑して、何回も思い出し笑いしてた。

高坂明生にあのオチャラケ役は似合わなかったか・・・。

吉田唯のシリアス演技は初めて観たけど、意外とやるなと。

山上由美子は演技の基本が出来てて良かったと思います。

宮越昭司は出番が少なかったかな。役も役だし。

「劇団昴」の要田禎子の燻し銀な演技はさすがです。

そして今回の役者の白眉は柿崎彩香です!
畑澤チルドレンの隠れた逸材がハマリ役にてついに開花した。
今回の公演の重要な役に位置してるけど、一番いい演技してた。
細くて華奢な体型と見せかけてのあのバットのフルスイングの安定した腰といったら!
ラストシーンの演技も素晴らしかった。いやー恐かった・・・。

工藤由佳子は今回の他の違う女役の演技は全てそつなくこなせるだろうが、柿崎彩香は他の役は出来ないだろう。
でもハマリ役ってのはなかなか出会えるもんじゃない。その出会いと、全うした演技は選ばれた役者にしか出来ないと思うし。


全編90分。ずーっと面白かった。
展開も一筋縄じゃ行かないところも良かったし。
「どんとゆけ」のリベンジを見事に成功させた畑澤聖悟と役者陣に大きな拍手を送った。
現在公演中の「どんとゆけ」を批判してるのもどうかと思うけど・・・。


余談だが、公演の日に小学生が6人死亡した交通事故があったので、尚更感情移入出来たと思う。そんな偶然いらねーよって思った。


更に余談だが、アトリエグリーンパークの目の前のフェリー埠頭では、八戸行きらしい大型フェリーに支援活動するであろう自衛隊員の姿も見受けた。
ここがフェリー埠頭なのをはじめて知ったところである。
支援拠点の青森市から復興をお祈りします。

渡辺源四郎商店×東京デスロック合同公演「月と牛の耳」

2010-11-22 12:02:51 | 演劇鑑賞
ナベゲン×デスロック公演を観に行ってきました。

お馴染みの渡辺源四郎商店と、埼玉を中心に活動する「東京デスロック」劇団とのコラボレーションが今回実現しました。

過去に東京デスロックが青森で公演したとかで、その時にナベゲンとワークショップをしたとかで、その流れで今回の合同公演になったようである。

5日間公演の初日にお邪魔しました。
アトリエグリーンパークは相変わらずの満員御礼です。

今回の公演の出演者は、畑澤聖悟を含むナベゲンメンバーが8人、デスロックメンバーが4人です(佐藤誠はナベゲンのプロデューサーでもあるが、デスロックの団員でもあるのでデスロック側で)
あと青年団から1人。

今回の公演は畑澤聖悟作、多田淳之介演出です。

その多田淳之介が開演前のお知らせのご挨拶。
シュットしたイケメンです。
俳優もやるようだが、今回は演出のみ。

そんなこんなでさっそく開演です。

あらすじ~
東北の地方都市にある精神病院。入居者のひとり、加賀谷敏(62)。「鳳凰院赤心券」館長を務める格闘かである。
彼は七年前、日本で猛威を振るった「プリオンウイルス脳炎」に感染して入院。
解放に向かうも入院中に脳出血に見舞われ、その後後遺症により順行性健忘症になった。
知能はそのまま、障害を受ける以前の記憶もそのままだが、新しい物事を記憶する事が全く出来ない。
「ホーム」の職員達は、彼の前では毎日が七年前、即ち2003年の4月25日であるかのように振舞っている。
その日は、加賀谷の長女が婚約者を連れて父を見舞いに来る筈の日なのだった・・・。

テーマは記憶と家族愛ですかね。

健忘症は以前「ショージさんの息子」でも扱われていたので、人間の記憶というものに畑澤聖悟は関心が深いのかな。

さて、役者陣たちのご紹介。

主役は牧野慶一。まさかの主役です。

工藤由佳子はさすがの演技だけど、出番が少なすぎて残念。

工藤静香もさすがの演技です。しかも美人です。

工藤良平は久し振りに観たが、さらに太ってたね。ま、キャラとしては強くなってるからいい事だ。

三上春佳もナベゲンではなんかひさしぶりに観たような気がする。
あういう気弱なキャラやらせたら強いね。

柿崎彩香も久し振りだが、いつのまにかパンクな髪型になってた。ちょっと好きだ。
あういう気丈なキャラやらせたら強いね。

畑澤聖悟も出演してたが、いつ観てもあの顔はキャラ強過ぎ。
コミカルな演技させたら否が応にも笑わせてくれる。

宮越昭司も別に喋んなくてもただそこにいればそれだけで画になるから問題ない。
でももっと出番が欲しかったね。

そしてデスロック陣。
準主役たる夏目慎也は、キャラが生きてる愛すべき小男ってな感じで良かった。

佐藤誠は初めて観るが、演者としてはとても良かった。
ナベゲン内では何の仕事してるのかは謎だけど。

佐山和泉も悪くはなかった。

間野律子もキャラは強い。木村カエラをちょっとくずした感じ(失礼)

あと青年団から石橋亜希子が出てるが、まだこれからって感じの印象でした。

で、肝心要の演出なんだけど、全体的に観ると、自分の好みではない。
冒頭の説明シーンとかはっきりいって要らないし(全部で120分もあったからここはカットして然るべし)、続いての打ち込みシーンもうるさくてセリフ聞こえなかったし。
間野律子の役もなんだかわけわからんし。
結局はエキセントリックな演出なわけだけど、今更新しい事やろうとしても個人的には受け付けないし、多分誰かが過去にやってるだろうから、今更って感じを受ける。
あからさまなウケを狙う場面もあまり笑えなかった(会場は爆笑だったが)。
でも、四の字固めをリバースで返すシーンは笑ったけどね(プロレスLOVEだからね)。

そんなわけで、全体的な感想は悪くはなかったが、そんなに心に響かず。
演出も好みじゃないし、畑澤の脚本もそんなに良くはなかったわけで。

演劇で2時間はちょっと長いかなと。
あの狭い会場のパイプイスにギュウギュウ詰めだったし、暖房もついてたから、喉カラっカラだったので、集中力がちっょと散漫になっちゃいました。
仕事で疲労困憊だったので、長くてちょっと辛かったです。

ま、でも面白かったと思うし、ナベゲンの役者たちはデスロックの役者と比べると、演技も上手いし、顔がいいし、キャラが立ってるから、さすがだなぁと感心した。
都心に出ても遜色ないレベルではなのではないか(東京とかの観た事ないけどね)

次回公演も大変楽しみにしたいところです。

弘前劇場公演2010『地域演劇の人々』

2010-10-10 23:11:41 | 演劇鑑賞
弘前劇場公演を久し振りに観賞しました。

弘劇公演は基本的に土日の3回ほどしか公演がないので、いつも仕事やら用事やらでここ最近全く観れずにいたが、今回は連休があって三日間の4回公演だったので、ちょうど初日の夜公演が予定なかったので、ちゃんと前売り券買って臨んだ。
約1年半振りに観る事になる。

会場の弘前のスタジオデネガには80席ほどのキャパに8割ほどのそこそこの入りであった。
いつもどうり後ろの席で観る事にした。

そんなわけで開演です。

あらすじ
~夜。地域で演劇を続けている劇団の稽古場。本番を間近に控えているようだ。皆が揃う前の稽古場を、若い男が掃除している。
そこに、客演の女優が上海からやってくる。彼女は、出演以外に、大切な人と合う。という目的があるようだ。
一日の仕事を終え、三々五々、稽古場に集まってくる俳優たち。新聞記者も取材にに来ている。
研修の為、国外にいるらしい脚本家と、風邪をこじらせて欠席している俳優を除いて景子が開始される・・・。
稽古場に設置されたセット上で繰り広げられる劇中劇「夜のプラナタス」と、それを創作する俳優、スタッフ・・・。
そして、俳優、スタッフは創作以外にも様々な想いを抱えて生きている~。

今回は、弘前劇場の普段の稽古をしている様子をそのまま演劇にしている面白い内容である。
俳優陣はほとんど本人役を演じているのも面白い。

その後「夜のプラタナス」をという、過去の作品を実際に稽古している体で、そのまま劇中作を流し、また現実に戻り、最後はまた劇に戻る。そんな斬新な構成である。

稽古現場では、役者が観客に背を向けてセリフを言うのもまた楽しい演出であった。

全体的には相変わらずのロジカルなセリフとハイブリッドな言語が飛び交うお馴染みの弘前劇場の世界観でした。

「夜のプラタナス」という公演自体を観ていないので、一度に2つの公演を観たようなお得感はあるが、劇中作の方が尺が長いのがイマイチ問題かなぁとも思った。
最後も劇中作で終わるのもどうかと思うし、自分は「夜のプラタナス」観てなかったからまだ良かったが、過去に観た人はどんな風な感想だったんだろうか?

ストーリーはいいとして、役者陣たちの感想。

福士賢治は相変わらずの自然体のナイスミドルな主役。

長谷川等は出番が少なく残念ではあったが、どう見ても泥酔してるようにしかみえないのがさすがの天下一品の役者である。

小笠原真理子は劇中と劇中劇の標準語と津軽弁の使い分けが素晴らしいね。
コミカルな部分の演技も面白かった。

柴山大樹は久し振りに観たけど、随分と成長したようで、貫禄すらあった。
まさに未来の弘劇の主役になるかもね。

平塚麻似子は女っぷりが上がった様な、今風な小奇麗な女性になってました。
演技も上手くなってましたね。

そして今回客演の客演役の李丹は、アジアンビューティーな淑女。
日本語と中国語の使い分けも大変だったろうが、見事に演じ切った。

後はお馴染みのメンバーや、初めて観た人たちなどは割愛。

相変わらずのこれぞ弘劇ってな感じの舞台であったし、今回は結構面白かったので、100分があっという間だった。

老舗の実力派劇団ここにあり、そんな堂々たる公演でありました。

渡辺源四郎商店工藤支店公演『大きな豚はあとから来る』

2010-09-24 22:55:04 | 演劇鑑賞
渡辺源四郎商店工藤支店公演に行ってきました。

ナベゲンの劇団内ユニット「工藤支店」は、ナベゲンのツートップ女優の工藤由佳子と工藤静香、そしてナベゲンではドラマターグ(演出助手みたいなもの?)の工藤千夏の3人の「工藤」で構成される。
更に俳優1人を外の劇団から客演で迎える形だ。

今回はナベゲンのホームグラウンドのアトリエグリーンパークでの公演となり、工藤支店としては二回目の公演だが、一回目は何故か青森市のさんふり横丁の一角で数名限定で行われたようだ。
場所が場所だけに、その公演は見送ったが、もちろん内容は素晴らしかった様で、後から行かなかった事を後悔した。
今回はちゃんとした劇場なので落ち着いて観れるだろうって事で観に来た。

開催は四日間で、でも夜公演は金曜日しかないので、この日にした。

主役が工藤由佳子と工藤静香が交代で入れ替わるのだが、工藤由佳子ファンの私としては工藤由佳子が主役の日を観たかったが、あいにく夜公演の金曜日は工藤静香が主役であった。
でも工藤静香だって素晴らしい女優なのだからそんなに気にせず臨む。

開演3分前に到着したが、会場はほぼ満席。
一番前のささき支店の横に座り、さっそく開演。

ストーリー
~青森市で働く独身女性の元に、ひとりの男が現れた。彼が話す中東の国シャリバール、そして王子は果たして実在するのか~

テーマは王子願望と結婚詐欺でしょうか。

どこかの国の王子の妃になって裕福に暮らす、そんな夢のような話がモチーフで、そこから徐々に怪しい展開に・・・。

作・演出は工藤千夏で、さすが女性が描いた脚本だなぁ、と感心する。
男の脳ではこのストーリーは出来ないね。

主役は工藤静香だが、今更だけどこの人美人だよなぁ。ずっと見惚れてた。
そしてもちろん演技力は素晴らしく、ナベゲンで工藤静香が主役の回はなかったと思うので、今回見事に本領発揮できたのではなかろうか。
また騙される役が似合うね。不倫相手ってのも似合うね。

相手役は元・劇団昴の大林洋平。
演技もうまいし、そつが無いけど、もう一癖あったら面白いとは思いました。

そして工藤由佳子は残念ながらチョイ役で、15分くらい出演したかどうか。
でも存在感は強力だし、役にあってた。

なので、今回の工藤静香の回は当たりだと思った。
工藤由佳子好きの私としても、役柄的に工藤静香が主役の方が幾分合ってただろう。
ま、工藤由佳子が主役の回観てないので言い切れないけど、でもどちらにしても二人はそれぞれの役を見事に演じ切るだろうけどね。

ラストはなんだかもやもやするような曖昧な終わり方だが、この辺は観客が好きなように想像すりゃ良いし、こういう終わり方はナベゲンでもよくあるので不思議ではない。

そんなわけでとても面白かったです。
工藤静香を見直した、そして惚れ直した、そんな演劇でありました。

ヒロサキバレエカンパニー40周年記念公演「眠りの森の美女」

2010-08-30 21:44:49 | 演劇鑑賞
ヒロサキバレエカンパニー40周年記念公演「眠りの森の美女」を観てきましたよ。
もちろん場所は弘前市民会館です

歴史ある(?)ヒロサキバレエカンパニーの発表会は毎年行われているけど、今年は40周年ってことで、まさかの「眠りの森の美女」の全幕公演を開催するのである。

チケットは前から買おう買おうと思っての先延ばしで、結局、当日券あるだろうって事で当日券目当てで行きあたりばったり。
もちろん当日券ありました。でもかなりの入りで、95%は埋まってた。さすが地元。
自由席がたったの1000円。1000円で全幕バレエは六ヶ所村でも観れない。

以前一度ヒロサキバレエカンパニーの発表会に行った事あるけど、あくまでバレエスクールに通ってる子ども達の発表会がメインなので、目に余る舞台の連続だったけど、最後はプロのバレエダンサーがゲストで出演したのが唯一の救いで、その踊りだけで元は取れたっていう内容だった。

今年もプロのダンサーも出ますよって事で観ることにしたのだが、果たしてどうなることやら。

しかも「眠りの森の美女」は、4月にKバレエカンパニーの公演で観たっていう・・・。
レベルの違いを見せ付けてしまうのでしょうか?

意外にも生オケでした。
オケは「弘前オペラオーケストラ」が担当。
先に感想から言うけど、このオケは下手でした・・・。
「眠りの森の美女」全幕なんて演奏した事ないだろうに。
「弘前交響楽団」の方が断然上手いので、そちらに担当してもらえばよかったのにね。

そんなわけで開演時間ギリギリに到着。
空いてる自由席を探して着席し、さっそく開演。

プロロ-グ
~フロレスタン王の宮殿では、オーロラ姫の誕生の祝いの宴が開かれています。
そこに悪の精カラボスがやってきます。カラボスは自分が祝いの宴に招待されなかったことを怒り「オーロラ姫は16歳の誕生日に糸紡ぎの針に刺されて死ぬだろう」と予言します。
そこでリラの精が「姫は死ぬのではなく眠るだけです」と予言します~。

狭~い弘前市民会館の舞台で踊るヒロサキバレエカンパニーの団員なんだか、生徒なんだか。
ま、それはひとまず置いておく。

ここで素晴らしき舞を踊ったのが「リラの精」役の吉田むつきである。

彼女はヒロサキバレエカンパニーで学んだ後、単身ロシアへ赴き、ボリショイバレエ学校に留学。
そしてモスクワクラシックバレエ団に入団し、現在に至る。

主役ではないが、リラの精は重要な役どころ。
そのリラの精は本物の妖精のようなイノセントな存在感と、確かなテクニック。
さすがといった綺麗な踊りを魅せてくれました。

その後一旦幕が下りて終了。
プロローグも一幕と捉えにゃならんので、全3幕どころか全4幕になっちゃいました。

第一幕
~オーロラ姫の16歳の誕生日。宴が始まり、オーロラ姫が登場します。
オーロラ姫は、彼女に求婚する4人の王子と踊ります。
そこに、老婆が登場し、オーロラ姫に花を渡します。オーロラ姫は喜んで踊りますが、そこには針が仕掛けてあり、オーロラ姫は針に刺されて倒れてしまいます。
リラの精が登場し、城全体を100年の眠りにつかせます~。

オーロラ姫役は青山裕子で、ヒロサキバレエカンパニー主宰者で、今回の全ての振り付けを担当した青山洋子の娘みたいですね。一応プロなのかな?

バレエ用語わからんので説明ヘタクソですが、スピンとかは華やかで上手いとは思うけれど、跳躍力がなかったのが目に付きました。
でも主役なので、堂々たる踊りだったと思います。

第二幕
~100年後、デジレ王子が森を訪れます。
王子の前にリラの精の現われ,オーロラ姫の幻影を見せます。
王子は幻影であるオーロラ姫と踊ります。オーロラ姫にひかれた王子は、リラの精に導かれ、眠りの森を訪れます。
そしてオーロラ姫を助ける為にカラボスを退治し、その後眠っているオーロラ姫にキスをするとオーロラ姫が目覚め、周りの人々も眠りから覚めます~。

デジレ王子役は菅野英男で、彼はキエフバレエ団に所属しています。

彼は去年、同会館で催されたキエフバレエ団の「白鳥の湖」にチョイ役で出演しましたが、ちょっとの時間なのにちゃんと足跡を残した実力あるダンサーです。
その関係もあっての今回のゲスト出演なのかと思われます。

はっきり言って彼はあまり有名ではないだろうけど、実力は本物です。めちゃめちゃ上手い。
ダイナミズム感じるスピンと、高さある跳躍力もお見事である。
第二幕はそんなに活躍の場は少なかったのが残念。

ここでの吉田むつきもさすがだった。
姫と王子が踊ってて、ただ待ってるだけのシーンがあるのだが、ただポーズを決めて立ち尽くしているそのシルエットが美しいし、そこにいるだけの存在感が強い。
彼女は未来がありそうですね。

第三幕
~オーロラ姫とデジレ王子の結婚式。
フロリナ王女と青い鳥、長靴をはいた猫と白猫、赤ずきんちゃんと狼などのおとぎ話しの主人公たちが次々と訪れ、2人を祝福して踊ります。
そしてオーロラ姫とデジレ王子が踊り、永遠の愛を誓います~。

お約束の赤ずきんちゃん他のゲスト達のシーンがだるかった・・・。

だけれど、姫と王子のシーンは今回のクライマックスで、グラン・パ・ド・ドゥは凄かった。
青山裕子は1人だとそんなに映えないが、菅野英男のエスコートが素晴らしいから、二人揃って一流のダンスだった。
ここらへんは観に来てよかったなぁと心底思った。

そんなわけで、意外と感動出来ました。
全体の9割はダルかったけど、残りの1割は世界レベルなんじゃないかと思われる一流の踊りを見せ付けてくれました。

東欧で頑張っている日本人の吉田むつきと菅野英男の今後の活躍に期待しましょう。

そしてこのド田舎の弘前で、バレエの素晴らしさを末端から養わせているヒロサキバレエカンパニーにも栄光あれ!

Kバレエカンパニー「眠れる森の美女」

2010-06-15 23:34:52 | 演劇鑑賞
青森市文化会館にKバレエカンパニーの公演を観に行った!

熊川哲也率いる日本屈指のバレエ劇団のKバレエであるが、3年前に「海賊」を観たので、今回二度目のKバレエ観覧となる。

3年前は世界のプリマドンナ・吉田都がKバレエに電撃移籍しての公演だったのもあり、青森ながら満席に近かった入りで、しかも内容も申し分ない、世界最高峰のバレエを堪能出来たのであった。

ちなみにその後、吉田都はKバレエを抜けたが、近頃引退を発表し、それに伴う引退公演を東京で数公演やるらしいが、さすがに東京には行けんな・・・。

今回はなんといっても熊川哲也が出演するとあって、これは行かねばならなかった。
映像でしか熊哲のダンスを観たことなかったけど、素人目にも明らかに凄まじい跳躍をするのに度肝をぬかれたもので、こりゃ生で観ないわけにはいかない。

当日、全く打ち合わせも何もしてないのに、座席に座ったら隣の席が友人だったのには笑ったが、しかしホールの一番後ろの席で、あまりに遠かった・・・。
その席は一番安い席なので仕方ないが、それでも8000円である。

この日の会場の入りは6割かそのぐらいの、結構ガラガラだった・・・。
世界の熊哲をおいてそりゃないだろう、と思ったが、チケット代高いし、平日だし、熊哲は準主役だしってことで、この入りなんでしょう。

ま、バレエ公演なんで、お客は99%女性でした。
男は肩身が狭い気がしてしまうし、男子トイレに行ったら電気が付いていない・・・。
はなから男の客が来ないと決め付けてしまうその姿勢、ある意味エコである。

もちろん生オーケストラです。
音楽はお馴染みの大好きなチャイコフスキーです。

それはそうとさっそく開演。

第一幕
フロレスタン王の宮殿では、オーロラ姫の誕生の祝いの宴が開かれています。
そこに悪の精カラボスがやってきます。カラボスは自分が祝いの宴に招待されなかったことを怒り「オーロラ姫は16歳の誕生日に糸紡ぎの針に刺されて死ぬだろう」と予言します。
そこでリラの精が「姫は死ぬのではなく眠るだけです」と予言します。

オーロラ姫の16歳の誕生日。宴が始まり、オーロラ姫が登場します。
オーロラ姫は、彼女に求婚する4人の王子と踊ります。
そこに、老婆が登場し、オーロラ姫に花を渡します。オーロラ姫は喜んで踊りますが、そこには針が仕掛けてあり、オーロラ姫は針に刺されて倒れてしまいます。
リラの精が登場し、城全体を100年の眠りにつかせます。

豪華絢爛なセットで、まずは若手達が踊り、その後オーロラ姫役の東野泰子が登場。本日の主役です。
Kバレエのプリンシパルであり(Kバレエでは2番目の階級)、彼女はとにかく踊りが柔らかいといった印象でした。
特にステップの柔らかさは目を見張るものがありました。
さすがの主役です。

第一幕の見所は、4人の王子とオーロラ姫が踊る「ローズ・アダージョ」と呼ばれる、オーロラ姫役にとっては難しい技術を要する踊りです。
しかしながら見事にバランスを保ち、難なく魅せ付けてくれました。

しばしの休憩。
ここでガラガラの会場の空きを利用し、2階席の一番前に移動する。
多分12000円くらいの席だ。いやぁ、ここは近い!!

第二幕
100年後、フロリムント王子とその一行が森を訪れます。
王子の前にリラの精の現われ,オーロラ姫の幻影を見せます。
王子は幻影であるオーロラ姫と踊ります。オーロラ姫にひかれた王子は、リラの精に導かれ、眠りの森を訪れます。
そしてオーロラ姫を助ける為にカラボスを退治し、その後眠っているオーロラ姫にキスをするとオーロラ姫が目覚め、周りの人々も眠りから覚めます。

第二幕にて遂に熊川哲也の登場!
まずソロのダンス。超絶技巧とはこの事だ!!
空を飛んでいるような、尋常じゃない跳躍。しかもスピンしながら、不動だにしないピタリとしたシャープなランディング。凄まじいです。
バスケの選手並みのジャンプ力、そしてフィギュアスケート選手を超えた芸術力と身体能力。いずれにしてもアスリート以上のアスリートであり、ダンサーである。
しかも熊哲は男性ダンサーが用いるダイナミズムに併せ、女性的な流麗な色気もあるから、ここが世界最高峰の唯一無二のバレエダンサーなんだね。
しかも遠目からでもわかる綺麗な顔だち・・・。天は二物も三物も彼に与えたが、それは並大抵の努力からでは完成し得ないだろう。

フリムントと幻影のオーロラ姫とのグラン・パ・ド・ドゥ。
オーロラ姫のスピンから、抱き合って倒れる技(何ていう技かわからんのがもどかしい)の3連発が素晴らしかった。
あくまでサポート約の熊哲が見事なエスコート。

またまた暫しの休憩。グッズ販売を除く。
Tシャツが売ってあったが、サイズは150と160(cm)しかないという、またもや男客完全無視の販売戦略・・・。
ニーズがないんだろうから仕方なしか。

第三幕
オーロラ姫とフロリムント王子の結婚式。
フロリナ王女と青い鳥、長靴をはいた猫と白猫、赤ずきんちゃんと狼などのおとぎ話しの主人公たちが次々と訪れ、2人を祝福して踊ります。
そしてオーロラ姫とフロリムント王子が踊り、永遠の愛を誓います。

ストーリー的には第二幕で終わるのが普通だが、単純なストーリーなので、時間的に結婚式のシーンもあるんだろうね。

その結婚式で「青い鳥」「長靴をはいた猫」「赤ずきん」が特別出演する。
これは「眠れる森の美女」とおなじ原作者のシャルル・ぺローによる作品たちのキャラクター達を出演させるという面白い構成だ。
おどけた踊りで楽しませてくれた。

そしてここでもオーロラ姫とフロリムントのパ・ド・ドゥ。
でもやっぱりみどころは熊哲。
跳ぶ、廻る、舞う。全てに於いてダイナミックで華麗なダンスに大感動。
ステージをめいっぱい使用して踊り、天下一品のキレのよさでバッチリ決める。

東野泰子も悪くはないが、何せ熊哲が凄過ぎるので、主役なのに存在感が薄まった気がするほどだ。

そんなこんなで3時間はあっというまに過ぎ、大団円にて終了。
素晴らしい内容でありました。熊哲を生で観れて幸せです。
でももっと熊哲の踊り見たかったのが正直なところ。

今度いつKバレエ観れるのかわからんけど、熊哲がもっと活躍する作品(「ドン・キホーテ」とか)を観れたらいいなぁと夢見る事にします。

渡辺源四郎商店第12回公演『ヤナギダアキラ最期の日』

2010-04-14 00:09:11 | 演劇鑑賞
先日、大好きなナベゲン観てきました。

8日間連続公演の2日目の月曜日の夜に行きました。

開演10分前に会場入り。
客席は半分くらい埋まってて、さすがに平日だとこんなもんか?と思ったが、あれよあれよの間に満席になった。

後から来た客のほとんどが中高生と思われるティーンたち。
畑澤聖悟の教え子やワークショップに参加した子たちでしょうか。勉強熱心です。

そんなわけで開演。

ストーリー
~青森市郊外にあるホスピス。そこで最期の日を待つヤナギダアキラ(87歳)には、どうしても会いたい人がいた・・・。

テーマは生と死でしょうか。
戦争に駆り出された者の極限状態の生死。
末期の病状における生死。
不老不死から観る生死。

ファンタジーもありつつのヒューマンコメディドラマです。

上演時間は1時間43分だったかで、ちょっと長くてつらいかな?と思いましたが、そんなことは全くなく、あっという間に終わってしまい、もう少しだけこの物語を見続けていたいと思ったほどです。

今回の主役・ヤナギタアキラ役は宮越昭司サン。
遅れ過ぎたルーキーと呼んでましたが、もはやベテラン役者です。
余命数日の演技はもはや神の域です。
本当にこのまま舞台上で死ぬんじゃないかと思ってしまったほどです。

そのヤナギダアキラの永遠の恋人役に工藤静香。
普通に美人だから、永遠に美しいヒロイン役が似合ってました。

牧野慶一サンは面白組長(?)役。
ナベゲンではお馴染みの出演になりつつある、渋い役者です。

初めて見たのが工藤貴樹。青森中央高出の自衛官。
役的にはそんなに重責がないので、評価しづらいけど今後に期待。

お馴染みの三上春佳はナベゲンにはかかせない存在。
あの甲高いのにか細い声はどこから出てるんだか・・・。

吉田唯は前回に引き続き出演。可愛い名前だけど関西弁のオッサンです。
ちょっと聞き取りづらいところがあるし、まだ役者としては若いかな。

山田百次も重要な役で出演。
ちょっと狂気めいた役が似合いますね。

工藤由佳子はド派手な姐さん役。水色の服が似合いますね。
何やってもハマリ役だから本当にすごいです。
最後のシーンは妖艶な妖演でした。中高生には刺激が強かったかな?

畑澤聖悟も出てました。
あの恰幅で病人役が出来るからさすが。

そんなわけでとても楽しめました。いろいろ考えさせられました。
客の多くが中高生だったので、彼らにもいろいろ考えてもらえたらいいなと思う題材でした。
でも、そこ笑うところじゃないよっ、てところが多くてちょっとうるさかったのもありましたが・・・。

カーテンコールした後に、宮越サンが車椅子から降りてスタスタ歩いて帰るギャップには驚かされます。
会場出口でも宮越サンが笑顔でお見送り。なんて優しい顔でしょうか。まるで観音菩薩である。

満足して会場を後にしたのであった。
次回公演も大いに期待したい。

劇団野の上 旗上げ公演「ふすまとぐち」

2010-03-07 00:43:57 | 演劇鑑賞
「劇団野の上」とは、元「弘前劇場」出身メンバーを中心に結成した、山田百次と乗田夏子主催の新しい劇団である。
劇団員は山田百次、乗田夏子、藤本一喜、鳴海まりかの4人。

その旗上げ公演に行ってきました。
場所はナベゲンの小屋である「アトリエグリーンパーク」です。

開演10分前に到着。会場は満員御礼でした(50人超か)。
テレビカメラも入ってて、公演を撮影する様です。
そんなわけで開演です。

ストーリー
~小山内家に嫁いだ桜子は、姑キヨの強烈な嫁いびりにより、ある場所から出られずに暮らしていた。
そんな中、義理の姉幸子が出戻ってきた。ようやくそこから出戻ることが出来た桜子だが・・・~
そんなお話。

嫁姑問題を題材にした悲喜劇です。
基本的に社会風刺みたいな笑いから、最後はしっとりと。
全編ほぼ津軽弁です(東京公演の客は何喋ってるかわからなかっただろうに・・・)
山田百次の作・演出による。

セットはラフに作ってある。居間と押入れが舞台。
押入れだけは頑丈に作ってある。

どうでもいいけど、アコーディオンでの「翼をください」と、乗田夏子の包帯はエヴァを彷彿とさせた。

物語的にはそんなに面白くはない。なんか脚本として、きちんとした構成が出来ていない様な気がする。
山田百次の脚本ではちょっと弱いと感じたのが正直なところだ。

でも役者陣は素晴らしいです。
山田百次は二役。子ども役は普通に面白い。青海竜大は本名でしょうね。

乗田夏子は相変わらずの爆弾女優。凄まじい顔の演技である。

藤本一喜って字だけ見たら男だと思ってたけど、この人も弘劇出身らしい。
あんまり記憶に無いんだけど、このクソムカツク姑を見事に演じ切った。
最後のアダる演技も、入院のシーンも素晴らしかった。

鳴海まりかも弘劇出身だけど、この人も観た事ある筈だけど、記憶にあんまり・・・。
鼻声のゆる~い演技が面白かった。

ここから客演。
ナベゲンの三上春佳はなんと小学校6年生の設定なのに、それがまたハマってたという奇跡。
声も可愛いし、ちょっと背の高い小6という風に充分見れる。この役、リアルロリータの本領発揮か!?これがかなりの注目ポイントである。

赤刎千久子は愛媛出身の女優さん。もちろん初めて観る。
でもなんか、女優としての魅せるポイントが全く感じられなかったと厳しく書いておく。

木村元香も弘劇に出てたね。おっとりとした役どころさせると強い。
でもこの人にコメディタッチの芝居があんまり似合わないかも。
って言っても女優は色んな役出来ないといけない訳だから、今後思いっきり振り切って化けて欲しいね。

そんなわけで、まあまあ楽しめたとする。
残念ながら欠点の方が多く目に付いたのが、しかしながら「劇団野の上」はまだ始まったばっかり。
次回は9月公演があるので、期待しておきましょう。

ちなみに、6日・7日に青森市で公演があるが、その両日に弘前では「弘前劇場」の公演がある・・・。
これは意図してか!?多分違うとしても、同日にぶつかるかね・・・。

渡辺源四郎商店第11回公演「みなぎる血潮はらっせらー」

2009-12-24 23:44:50 | 演劇鑑賞
今日はイエス・キリストの誕生前夜祭だが、この極東の島国ではどう誤ったのか、カップルが射精する日になってしまってるけど、そんなの関係なしにナベゲン観に行ってきた。

今日の演目の説明。
RABラジオ「金曜ワラッター」の枠内で1997年から1999年に渡って不定期に制作・放送された畑澤聖悟作・演出担当の全7話のラジオドラマ「県立戦隊アオモレンジャー」をモチーフに、現代日本の家庭が失って久しい「男らしい父親像」が今、浮かび上がる。

出演は畑澤聖悟と、女優2人。
その女優が工藤由佳子と工藤静香のベテラン組、もしくは三上晴佳と柿崎彩香の若手組が選べる(さらに工藤良平+山上由美子、田守裕子組も低料金で一回だけ観られた)
この女優の組み合わせが問題で、ナベゲンは工藤由佳子と工藤静香の力が大きいので、そりゃダブル工藤コンビの回を観に行く事にした。

磯の香りがする小劇場・アトリエグリーンパークに5分前にギリギリ到着。
会場は9割以上の埋まり。クリスマスイヴなのにみんな関係なしに演劇観に来る文化レベルの高い人たちばかりだ。

セットは簡素なもので、舞台には音響と照明が黒子姿で剥き出し。
そんなわけではじまり。

~父よ!守るべきは家庭か、青森の平和か~
県立戦隊アオモレンジャーのリンゴレッドの悲哀を描く。
アオモレンジャーの激務と、それに翻弄される家族。
家族と擦れ違いの生活を時系列をシャッフルして細切れで淡々と進んでいく。
苦難ながらも青森の為に戦うリンゴレッドの畑澤と、その家族と敵対する怪人役などを一人10役ほど演じるダブル工藤。

家庭と仕事のバランスがテーマで、それをユーモラス且つトラジックな、ナベゲンお馴染みのストーリー展開だ。

ヒーローはいつだって損な役回りであるし、一人の人間である。
女はいつだって現実と向き合わなければいけない。

そもそも本当にヒーローなのか、ただの夢想癖の脚本家なのかどっちかわかんないけど、それはあんまり関係ないのかも。

過去にあったかどうかわからんが、畑澤聖悟主演とはナベゲンで初めて観る。
ま、もちろん文句なしの演技だし、役者としての存在感は舞台以外でも感じ取れるほどだし。

工藤静香も久し振りに観たかも。
彼女も文句なしに、絶対的に演技が上手い。
恋するホタテピンク役なんかかわいかったし、女の子役も見事だ。

対する工藤由佳子は、役者としてぶっ飛んでるね。
変幻自在の怪演は何十役でも使い分けれそうな堂々たるものだ。
さすがのクドユカはやっぱりナベゲンの看板である。

この一人10数役の使い分けの演技だが、ダブル工藤は素晴らしい演技だったが、果たして若手の三上晴佳・柿崎彩香組が演じきれたかどうかは疑わしい。
彼女達はまだまだ経験値が足りないのは過去の作品を見て感じている。でもそれが出来てたとしたらそれはナベゲンの未来にとってめでたい事である(さてどうだったんだろ?)

ま、単純に面白かった。単純に笑えた。
ローカルネタのオンパレードだから、地元だったら笑えるはず。
弘前の悪戸のりんご農家が秋田のなまはげに襲われたってセリフ・・・、自分かと思ったわ。

ま、私は青森大好きなので、自分もアオモレンジャーの一員だという意識をもって生活して行こうと思った。

ちなみに舞台終わってから、RABのラジオミュージックソンだかのチャリティ生放送がこのアトリエグリーンパークで行われたが、自分は早々と帰った薄情ものであった。

キエフバレエ「白鳥の湖」

2009-12-23 23:24:31 | 演劇鑑賞
ウクライナ国立バレエin弘前市民会館!!

バレエを生で観るのはおととしのKバレエの「海賊」以来、二回目である。

いつだったか青森県立美術館で現代版アレコみたいなバレエも観たけど、コンテンポラリーのモダンバレエだった。
正直ああいう類の踊りは気持ち悪いor笑っちゃう。行き過ぎると江頭2:50みたいだし。
ま、バレエもあらゆる芸術と同じく、古典からの脱却を図るべくそういう進化を遂げたのはいやいやながら納得出来るけど、モダンアートは結局、斬新さを狙ってアバンギャルドなだけで、美的センスがないから好きになれない。その点はモダンバレエも同じ。

青森なんかではなかなかバレエ公演が無いので、NHK教育で稀にバレエを放送してくれるのでとてもありがたい。
ちょっと前に放送された「ドン・キホーテ」の録画したのを見て、バレエに免疫をつけておく。
そんな1年に1、2回テレビで観れるかどうかの自分の薄いバレエの知識だが、もういい歳なので、相当な感受性は持ち合わせていると自負している。

そんなわけでバレエ初心者にはもってこいの演目「白鳥の湖」だから、面倒な予習もほとんどいりません。
バレエに興味なくても、音楽はあまりにも有名でしょう。

1877年に初演された「白鳥の湖」は、バレエ音楽としてチャイコフスキーが書き下ろした。
初演は何故か大失敗だったみたいが、今日では古典バレエの代表作として世界中で愛されている。

前置きは長くなりましたが「白鳥の湖」はじまりはじまり。

第1幕・第1場
ジークフリート王子の成人式の日、城の前庭には王子の友人たちが集まり祝福の踊りを踊っている。
そこへ王子の母が現われ、明日の王宮の舞踏会で花嫁を選ぶように言われる。
まだ結婚したくない王子は物思いにふけり、友人達と共に白鳥が住む湖へ狩りに向かう。

第1幕。第2場
狩りに来た湖のほとりで白鳥たちが泳いでいる。
夜になり月の光が出ると、たちまち白鳥は娘たちの姿に変わっていった。
その中でひときわ美しいオデット姫に王子は惹きつけられる。
彼女は夜だけ人間の姿に戻ることができ、この呪いを解くただ一つの方法は、まだ誰も愛したことのない男性に愛を誓ってもらうこと。それを知った王子は明日の舞踏会に来るようオデットに言う。

みどころ。夜の湖のシーン。
オデット役のナタリヤ・マツァークの踊りは素晴らしい。
腕のしなかさはまさしく白鳥の翼のようだ。あまりに美しい。
マツァークはまだソリストのランクだけど、キエフバレエじゃ彼女より上はいるのか?というほどのハイレベルな踊りを魅せた。

あと有名な四羽の白鳥の踊りのシーンが見事だった。
息ピッタリの4人の脚のみの表現。華麗なステップでした。

第二幕
場内では世界各国の踊りが繰り広げられて盛り上がっている。
そこへ悪魔の娘オディールが現われる。オデットと思い込んでいる王子は彼女を花嫁として選ぶが、彼女は悪魔ロットバルトが魔法をかけたオデットそっくりのニセ者であり、その様子を見ていたオデットは湖へ走り去る。
悪魔に騙されたことに気づいた王子は嘆き、急いでオデットのもとへ向かう

みどころ。オデットからオディールへの豹変ぶりがすごい。
一人二役なのに、オディール役はシャープにソリッドなメリハリの効かした踊りに徹し、32回転を見事に決める。

ジークフリート役の人もなかなか良かった。彼はガタイが大きいけど、滞空時間が長い。ジャンプが高いわけでもないけど、ふわりと飛ぶからすごい。ランディングも柔らかい。

もう一人、日本人の菅野英夫がちょい役で出てた。キエフバレエ所属なんだって。
少ない出番ながら見事にアピール。華麗に回った。今後とも頑張って欲しい。

第3幕
破られた愛の誓いを嘆くオデットに王子は許しを請う。
そこへ現われたロットバルトに王子は戦いを挑み、そしてロットバルトを討ち破り、オデットへの呪いは解ける。
そしてジークフリートとオデットは永遠の愛を誓う。

ほぼ間髪なしに物語は音楽と共に一気にクライマックスへ。
そしてハッピーエンド。オデットとジークフリートお幸せに~って本気で思った。

ちなみに、オデットの呪いが解けないでそれに悲観して湖に2人で心中するという最悪なラストのパターンもあるらしいが、そっちじゃなくて良かった良かった。

管弦楽はウクライナ国立歌劇場管弦楽団のみなさん。指揮はヴォロディミル・コジュハル氏。
いやー、文句なしの演奏でした。盛り上げ方が上手いね。

白鳥の湖はメロディメーカーのチャイコフスキー作曲なので、踊り無しの演奏のみだけでも普通に聴ける名曲の数々。
誰でも知ってる「情景」は全幕全編に渡っての主題で、ところどころに使われる。
個人的にチャイコフスキー大好きなので、それにバレエの踊りがプラスされたらそりゃ最高芸術でしょう。

そんなわけでブラボーでした。
本当はブラボーって言いたかった。さすがにちょっと大声出すの慣れてないから恥ずかしい。喉の調子も悪いし。ブラボーってイタリア語言うのが照れる・・・。
でも本当に素晴らしかった。
主役のナタリヤ・マツァークの踊りは天下一品じゃなかろうか。バレエ初心者ながら彼女には見惚れた。美人だし。
キエフのプリンシパルじゃないのが不思議なくらいだが、まだ若いからなのだろうか。
オケも良かったから相まって感動出来ました。

本当は全四幕だけど、三幕版になってたし、それがちょっと不満だった。
第一幕80分、第二幕40分、第三幕20分という、変なバランスで、各幕の間休憩が20分もあるからその間現実に引き戻されちゃうのが厭なんだよね。
第二幕と第三幕の間は暗転にして、セットチェンジの間オケが流れててくれれば最高だけどそうもいかないよね。

それにしても市民会館の舞台の狭さといったら・・・。
狭すぎてダンサーたちの真の実力発揮出来なかったんじゃないかと感じるほど。

さらに、客の入りの悪さといったら・・・。
千人ちょい収容の市民会館の半分くらいしか埋まってなかった・・・。
私は久し振りに弘前に失望したよ。弘前市民って芸術レベル低過ぎるわ。
青森市文化会館だったら少なくても7割は埋まってたかと思う。
文化会館でクラシックやオペラに行くと、明らかな富裕層が多いのに気付くが、昨日の客は富裕層など皆無に等しかった。弘前の富裕層って知的レベル低いんだろうね。もしくは弘前に富裕層などいないのかも。

たった6000円でこれだけ感動出来るなんてそうそうない(しかもガラガラだったから8000円の席で観れたし)
6000円くらい嫁を質に入れてでも作るべきだ。それほどの価値はあった。

弘前市民には失望したけど、バレエには感動感激出来たので大満足。とても良いもの観た。
青森のみならず、近隣県でバレエ公演があったら行く事にしようと思いました。

宝塚歌劇星組青森公演「再会」&「ソウル・オブ・シバ!!-夢のシューズを履いた舞神-」

2009-10-30 22:51:20 | 演劇鑑賞
宝塚の青森公演行って来ました。
当日も体調悪いけど、無理して青森まで。

当日まで、何組か来るのか、内容が何のかさえ調べず、ただ宝塚だから、ミュージカルとダンスやるんだろうといった軽い気持ちで迎える。

会場の青森市文化会館には、当たり前だけど99%の女性客。男の自分は肩身が狭いが、とりあえず開演前にトイレに行ったら、男子トイレが当日特別に女子トイレに変更されていた・・・。

2000人弱のキャパの客席は、9割方埋まっていた。
昼・夜と二部公演なのに、しかも平日だってのにこの客入りは素晴らしい。青森にも宝塚ファンは多いのだねぇ。
そんなこんなで開演。

第1部
ミュージカルプレイ「再会」
現代のモナコを舞台に、一流ホテルの御曹司でありながら、父親の跡継ぎを嫌い、ニューヨークで売れない小説を書いている青年と、お堅い文芸員の“偽りから始まった恋”をコメディタッチに描いた、等身大の大人の恋物語。

なんとか頑張って観てたのだが、つまらな過ぎる!!
宝塚とか関係なく、ストーリーがクソつまらないのである。フジの月9あたりでキムタクあたりがやってりゃまだマシみたいなしょうもない話。
でもミュージカルの脚本なんてこんなもんなのかも。個人的に、映画、ドラマ、舞台などのストーリー性のあるものは、脚本が一番大事だと考えてるもんで、それが仇になってるのかも。
歌やダンスなど、他にみどころはあるわけだから。
とはいえ、さすがに退屈過ぎて大半寝てた。

星組トップスターは柚希礼音。もちろんカッコいい。
娘役トップは夢咲ねね。もちろんかわいい。
だけど、あまりに後ろの席だから、ちょっと判別つきにくかったが。

休憩挟んで第2部。
ショー「ソウル・オブ・シバ!!」-夢のシューズを履いた舞神-
この世に舞を生み出したとされるシバ。そのシバが現代に甦ったとしたら……。舞台はニューヨーク。ひたすら踊り続ける名もない一人の青年に、シバの魂が吹き込まれ、その崇高なダンス精神は、人々に夢と興奮と熱狂を与えていく。タップやブルースなどのニューヨークの香りと、豪華なレビューシーンで構成した、エキサイティングなダンシングショー。

ダンスメインのミュージカル。めくるめくダンス&コーラスの嵐。
怒涛の展開により、これまたストーリー性も薄く、統一感もない。自分自身凝り固まった見方してしまったのを今になって後悔。
ベタにラインダンスは良かった。
第1部でもあったが、第2部は更に何度も演者が客席に降りて、客席で踊る。
ファンの人はさぞ嬉しいだろうね。

そんなこんなでいつのまにか最後の階段。
大階段とはいかず、地方公演用の小階段・・・。だが、トップがこれでもかっ!!と大羽根つけて登場。
実は宝塚のみどころはここだけにある、といっても過言ではない。ここまでが大いなる長きフリなのである(ファンの人すいません)。
あの巨大で豪華で大袈裟であざとい羽根ときたら!!あんなもん、大好きだ!!素晴らしい!!最高!!
終わりよければ全て良し。

そんなわけで、大して堪能出来なかったが、やはり宝塚は素晴らしい芸術文化である。
男役は問答無用にカッコいい。自分も、そこらへんの男達にも逆立ちしても敵わない、女の理想の男像が彼らなのである。抱かれてもいいわ。

わざわざ青森で公演してくれただけでも有り難い。また青森公演あったら是非行くつもりです。

渡辺源四郎商店第10回公演「今日もいい天気」

2009-10-22 01:17:10 | 演劇鑑賞
久し振りのナベゲン観戦!

「3月27日のミニラ」は都合が悪くて見れず、「河童」はキャストと脚本の両方がそんなにでもないなぁと言う事でパスした。
なので「どんとゆけ」以来です。

実はこの日は体調悪くて、多分熱があったのか、頭がボーっとして、車で青森まで行くのもやっとだったが、なんとかなるだろうって事で、潮の香りがする芝居小屋のアトリエグリーンパークへ。

ささきまことはベンチにお座りしてたし、工藤静香は受付してたから、この2人が出ないのも残念だなぁと思いながらも、会場入り。
開演前には小さい会場が満杯になってた。平日だというのにすごい入りだ。さすがナベゲン。
自分の真ん前には中学生女子と思われる団体がいた。「河童」のワークショップに出てた子たちかしら。いろいろ勉強しておきなさい。
そんなこんなで開演。

あらすじ
~青森市郊外にある一軒の家。そこに男ばかりの四人の家族が暮らしている。
この家の太陽であったひとりの女は7年前、この世を去った。
それぞれ喪失を抱えつつ、ひとつ屋根の下で日々を送ってきた四人の前に、一人の女性が現われるのであった…。

一言でいうなら、ファンタジックヒューマンコメディホームドラマである。
ヒューマンコメディはナベゲン作品の主要テーマであるが、更にファンタジ-というのがまた気持ち良いエッセンスである。
ファンタジー100%の宮崎アニメやディズニー作品は大人の自分としては反吐が出るが、日常の中の小さなファンタジ-というのは、実生活にも有り得るわけで、単純に楽しい。

この「今日もいい天気」は再公演で、初演は2003年だそうだ。
その当時はナベゲンの存在を知らないからもちろん観た事ない。

主役の石澤和也は山田百次である。
彼はご存知、弘前劇場で活躍してたが、去年弘劇を退団し、活動拠点を東京に移したそうだ。そして自身主催の劇団を立ち上げる。
そんな彼がナベゲンに。なぜ?と思ったが、畑澤聖悟ももともと弘劇だし、そもそも今回の「今日もいい天気」の初演の際には彼は出演してるそうだ。他の初期のナベゲン作品にも出てるから、ナベゲンに帰ってきたというのが正しいのかも。
演技は弘劇で観るのとそんなに変わらない。でもナベゲンはコメディの比率が高いから、彼にとっては弘劇より伸び伸び楽しんで演じてた。
ナベゲンのウイークポイントである、30代の青年俳優の不足が、彼がいたことでカバー出来たのが個人的に嬉しかった。高坂明生・工藤良平は青年というには若すぎるから・・・。

遅れ過ぎたルーキー・宮越昭司翁は「ショージさんの息子」以来観たが(ミニラにも出たらしいが)、今回も楽しく演じてた。脇役なのがあまりに惜しい人材だが、この作品だからしょうがない。出演してるだけでも有り難いところだ。

福山万次郎役には劇団「雪の会」所属の田中耕一。「津軽弁の日」や色んなテレビに出てるお馴染みの役者さん。
さすがに演技は上手いです。安心して観られた。

同じく「雪の会」所属の牧野慶一は僧侶の役で、怒りのシーンが恐くて良かった。

高坂明生はいつもどうりの演技かな。その日は工藤良平の代役でした。

柿崎彩香は最近ナベゲンでレギュラー出演してるらしいが、自分は「修学旅行」以来観る。
今時の津軽ギャルを演じたが、もちろんその世代だから自然と演じられただろうが、今後に期待したい。
それにしても綺麗な顔だ。美人というわけじゃないけど、鼻筋通ってて色白で綺麗な顔してる。

今回、どこでみつけてきたのか、核弾頭クラスの役者が一人混じってた。それが吉田唯。
バリバリの関西人で、バリバリの関西弁。ちょい役なんだけど、笑いどころのシーンは見事に会場ドカンドカン受けてて盛り上がってた。

そして最後にご紹介、ナベゲンの看板女優工藤由佳子。
なんというか、さすがだわ。彼女がいてこそのナベゲンである。
妖艶なんだか、怪演なんだかわからん、変化自在の演技に見惚れるほかない。
ラストシーンの叱咤激励のセリフはまさかの展開だけど、素晴らしかった。

全体的にほのぼのしてて楽しかった。でも前半は頭ボーっとしたからあんまり覚えてないけど。

自分の家も猫飼ってるから、同感というか、同情というかそんな気持ちでみてた。
最近一匹病気で死んじゃったけど、自分や家族の為に犠牲になったと思えば感謝するよりない。
自分は今まで大きい病気も怪我もなかったけど、それまで猫は何匹も死んだわけで、何かしら自分の犠牲になったんだなと今となってはそう思える。

「喜怒哀楽」全てが凝縮されたホームドラマの傑作ここにあり。

12月は新作公演「みなぎる血潮はらっせらー」が控えてる。それもまた楽しみである。

松竹大歌舞伎

2009-07-08 22:15:49 | 演劇鑑賞
歌舞伎を観に青森市文化会館に行ってきた。

平日の18時からというキツめな時間だったから、多分客入ってないだろうから当日券目当てで行ったが、もちろんガラガラだった。ま、昼公演もあったから客が割れたというのもあるだろうが、青森の歌舞伎公演はいつもガラガラです。でもさすがに成田屋公演で団十郎と海老蔵が来た時は結構客いたけどね。

昼公演も観た兵の友人と合流してガラガラの二階席に座る。
そんなこんなで開演です。

第1部「正札附根元草摺」
囃子と舞踏の短めの舞台。
囃子連中の雛壇が二つに割れ、真ん中から片岡愛之助と片岡孝太郎が登場。ニクイ演出である。
愛之助扮する曽我野五郎時致と孝太郎扮する舞鶴の鎧の取り合い。
舞いより、囃子のリズムがカッコいいなと思いながら観てた。

休憩中にガラガラの一階席へ移り、S席あたりのかなり舞台から近い席で観ることにした。

第二部「義経千本桜」より三段目
超有名らしい「いがみの権太」の件。中村勘三郎が権太を演じてたのをチラッと観たことある。
第一場「茶店の場」
片岡仁左衛門扮する権太の悪行甚だしき、しかし妻子の愛情感じる振る舞いが物語後半への布石。
片岡愛之助扮する家臣の主馬小金吾の縄取りのスパイダーマン顔負けの演出も見事であった。

第二場「鮨屋の場」
平維盛(片岡秀太郎)は弥左衛門(坂東竹三郎)の鮨屋に匿ってもらっており、娘のお里(片岡孝太郎)と婚約していたが、偶然にも妻の若葉の内侍(市川高麗蔵)と子の六代に会う。事情を知ったお里は三人を逃がす。
維盛の生存が知られた為、主馬小金吾の首を身代わりに差し出そうと画策した弥左衛門の話を権太は盗み聞きし、金儲けの為に維盛を差し出そうとする。
平維盛の生存を知った梶原景時(片岡愛之助)は鮨屋に乗り込むが、権太は小金吾の首と、自分の妻・小せんと子・善太を若葉の内侍と六代の身代わりに差し出し、維盛の恩を報いる。
それを知らぬ弥左衛門は権太を刺し、悲劇の結末を迎える。

真性の悪者の権太が急激に善者になるから、感動は出来なかったけど、演者の迫真の芝居は見事なものだった。
孝太郎の女形もコミカルで笑えた。

「松嶋屋」の伝統的な歌舞伎の真髄を味わえた様な見事な演劇でありました。