温泉逍遥

思いつきで巡った各地の温泉(主に日帰り温泉)を写真と共に紹介します。取り上げるのは原則的に源泉掛け流しの温泉です。

蔵王温泉 四季のホテル(離の湯 百八歩) 前編・内湯

2016年06月25日 | 山形県
 
蔵王温泉の中心部からちょっと離れたところに位置するリゾートホテル「四季のホテル」で立ち寄り入浴してまいりました。
曲線を描くこの本棟には、立派な大浴場があるのですが、残念ながら温泉が引かれておらず真湯のみであるため…


 
こちらで温泉に入りたければ、離れの温泉棟である「離れ湯 百八歩」を利用することになります。といっても、いきなりこの離れを訪れてもダメ。立ち寄り入浴の際には、まず本棟で受付を行い、入浴券を入手してから温泉棟へと向かいます。蔵王温泉の「湯めぐりこけし」も利用できますが、多くの施設ではシール1枚で入浴できるのに対し、こちらでは2枚を要するので、その点は予め確認しておいた方が良いでしょう。ちなみに百八歩とは、ホテル本棟から離れまでの距離を歩数で示したものなんだそうですが、煩悩だらけの私はその名前を目にすると「このお風呂でテメーが抱える108の煩悩を落としやがれ」と糾弾されているような気がし、その後ろめたさのため、玄関の扉に手をかける瞬間は全身に緊張が走りました。


 
ウッディで落ち着いた雰囲気の玄関ホール。正面に足湯があり、その左右に浴室が配置されています。2つの浴室は基本的にシンメトリなレイアウトになっているのですが、露天風呂だけは異なった造りになっており、それゆえ日によって男女を入れ替えているようです。宿泊客なら両方入れますが、日帰り利用の私は片方だけ。ちなみに私が訪れた時には右手の浴室が男湯に指定されていました。


 
下足場の前には番台があるのですが、私の訪問時は無人でした。この窓口カウンターに置かれている小箱に、入浴券を投入します。


 

玄関ホールの正面にある足湯は、利用しながら庭越しに蔵王連峰を眺められる素晴らしい造り。
腰掛けには足拭きタオルが用意されており、心配りにもぬかりありません。


 
 
モダン和風の木造で清潔感に満ちた脱衣室は、ガラスを多用しているので明るく開放感があり、各種アメニティも揃っているので、使い勝手が大変良好です。フローリングの床は綺麗に磨き上げられており、ピッカピカに輝いています。細かい点ですが、棚が斜めにセッティングされていて、収納したものが取り出しやすくなっているところも、お宿のホスピタリティーがよく現れているように思われました。


 
浴室は天井から床まで全て木造という立派な造り。伝統的な趣きとともに、現代的な利便性や快適性などのニーズもしっかりと取り込んでいる、実に美麗で素敵なお風呂です。またガラス窓も多用されているため、照度が十分で見通しもよく、開放感すら得られました。洗い場にはシャワー付きカランが5基並んでおり、一つ一つに仕切り板が取り付けられているため、隣同士で干渉することなく、快適に利用できます。


 
浴槽も総木造でゆとりのあるサイズ。やや深めの造りなので、肩までしっかり浸かることができました。湯口から滔々と注がれるお湯は青白く濁っており、シックな木目とのコントラストがとても美しく神秘的です。美しいだけでなく、お湯の投入量もしっかり多く、私が湯船に浸かるとザバーッと豪快に音を響かせながらお湯が溢れ出てゆきました。オーバーフローのお湯が流れ去ってゆくグレーチングは、まるでこけしの胴体のような木工品。こんな細かなところにまで木材のぬくもりに一途なんですね。素晴らしい!


 
湯船の底にはたくさんの湯の花が沈殿しています。私が湯船に入る前は、その沈殿が撹拌される前でしたので、底面が見える程度の透明度を有していましたが(画像左or上)、私が入ると沈殿が一気に撹拌され、たちまち底面が全く目視できなくなるほど濃く濁ったのでした(画像右or下)。

内湯だけで十分ブリリアントなのですが、さらに露天もあるんですね。
あまりに素敵なお風呂でしたので、ついつい文章が長くなってしまいます。このため、今回はここまでにして、露天風呂に関しては次回記事(後編)にて取り上げます。

後編へ続く
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上山温泉 葉山共同浴場 寿荘

2016年06月23日 | 山形県
 
上山温泉はいくつかのエリアに分かれていますが、今回は葉山地区にある共同浴場「寿荘」を取り上げることにします。上山の他の共同浴場は湯屋が単独で建てられていますが、こちらの浴場は市の老人福祉施設に内包されており、一見するだけではここに共同浴場があるとは思えません。


 
玄関を入って右手にある受付窓口にある缶の中へ湯銭を納めてから館内へ上がります。応接セットが置かれた玄関ホールの右手に行くとデイサービスのゾーンとなり、左奥から伸びる廊下を進むと、その右側に男女別の浴場出入口が並んでいます。私はデイサービスのお世話になるほど年老いていませんから、もちろん迷うことなく浴場へと直行しました。


 
オフホワイト基調の脱衣室は10畳ほどの広さがありますが、ちょっとした小上がりがある以外は至って簡素で、棚と洗面台が並ぶばかりです。



2方向にガラス窓が設けられている浴室はとても明るく、その光が老朽化に伴う壁などのクスミやシミを白く飛ばしているようです。窓下に据え付けられている浴槽のお湯は、窓から差し込む外光を反射してキラキラと輝いていました。


 
「寿荘」の建物は小高い丘の上に建てられているのですが、特にこの浴室がある箇所は丘の先端であるため、浴室の窓からは盆地に広がる市街地や蔵王方面の山々を一望することができました。私が窓を開けると、眼下に広がる市街や田園風景の中を、山形新幹線が米沢方面へ向けて走り去ってゆきました。


 
室内の左右両側に洗い場があるのですが、洗髪用のシャワーが1基取り付けられている他、4つある水栓は全て水道オンリー。上山温泉の共同浴場共通のルールとして、洗髪する際には別途100円を要しますので、シャワーを使う際には、受付で追加料金を支払い、専用のハンドルを貸してもらって、お湯のコックを開く必要があります。ということで、掛け湯をする場合には桶で湯船のお湯を直接汲むことになります。


 
窓下の明るい場所に設けられた浴槽は1.5m×2.5mの3~4人サイズで、縁は御影石ですが浴槽内には水色のタイルが用いられています。
浴槽にお湯を供給する湯口には短い金物の樋が取り付けられており、お湯はその樋を流れてから浴槽へ落とされていました。そして黒御影石の湯口は白い析出で覆われていました。湯船に張られたお湯は無色透明で、縁からしっかりとオーバーフローしており、純然たる掛け流しの湯使いかと思われます。ただ投入時点でかなり熱く、私の訪問時は湯船の温度も50℃近くまで上がっていたため、止むを得ず多少加水してから入浴させていただきました。

室内にふんわりと石膏臭を漂わせるお湯を口に含んでみますと、薄塩味と弱石膏味、そしてほのかな芒硝風味が感じられます。そして湯船へ入る瞬間には硫酸塩泉ならではのピリッとくる刺激が脛を走ります。熱さを堪えながらゆっくり肩まで浸かると、スルスベの中に少々の引っかかりが混在する浴感が得られ、徐々に熱さにも慣れ、やがて熱さや浴感などのすべてが気持ちよくなり、気づけばこのお湯の虜になっていました。午前中でまだお湯が鈍っていないうちに利用したため、湯船のお湯は大変クリアに澄んでおり、鮮度感良好。熱くても長湯したくなるような、とっても魅惑的な良泉でした。


●足湯
 
湯上がりに、「寿荘」の目の前にある足湯にも立ち寄ってみました。駅や主な観光地から離れているこんなところに、なぜ足湯が設けられているのでしょう…。


 
足湯槽に注がれているお湯は「寿荘」のお風呂と同じ源泉です。この足湯は盆地の底にある市街中心部から葉山地区の丘へ上がって行く途中にあるため、利用しながら市街や山々を一望できますし、屋根掛けされていますから、日差しを気にせず足湯を楽しめますね。はじめ見たときには、こんな場所で誰が利用するのだろうと疑問を抱いていたのですが、私がここにいると、近辺を散策中と思しき女性二人がやってきて、とても慣れた感じで靴下を脱ぎ始め、何の躊躇いもなく自然な感じで湯に足を入れて、景色を眺めながらおしゃべりに花を咲かせていたのでした。おそらくこちらへ何度も訪れている地元の方かと思われるのですが、足湯を使うのは別に観光客であるとは限らず、地元の方々の憩いの場として、共同浴場のような側面もあることを認識させられました。


 
 
足湯の左側にはお地蔵さん、そして上山三号源泉の記念碑が建てられています。お地蔵さんの足元には温泉が流されており、そのお湯をお地蔵さんにかけて拝むんだとか。足元のお湯受けには白い析出がこびりついており、れっきとした温泉であることがわかります。一方、三号源泉の記念碑は昭和53年11月に建立されたもので、「高松、葉山、河崎、三源泉をと烏合してここに移す」という碑文が刻まれており、高さ1m弱のお湯受けにはアツアツの源泉が注がれていました。上山温泉では複数ある源泉からお湯を集めて統合管理していますが、その中でも葉山地区を中心とするこのエリアでは、3号泉としてまとめられるようになった、そのタイミングが昭和53年だったんですね。ちなみに上山市では温泉の安定供給を図るべく、2010年に2本の新しい源泉を掘り当てています。そのうちに一本は上山3号源泉、そしてもう一本は葉山2号源泉です。くわしくは「広報かみのやま」2010年4月15日号(PDF版)をご覧ください。新源泉の掘削だけでなく、昨年には、葉山地区で温泉管理の負担軽減に効果をもたらすと期待される源泉管理システムが導入されたんだそうです。上山温泉はより良い方向を目指して着実に頑張っているんですね。


(以下、「寿荘」のデータです)

葉山地区1号源泉・2号源泉
60.5℃ pH8.1 蒸発残留物2261mg/kg 溶存物質2180mg/kg
Na+:527.5mg, Ca++:218.9mg,
Cl-:712.6mg, Br-:1.9mg, SO4--:591.6mg,
H2SiO3:55.5mg, HBO2:12.0mg,
(平成25年8月3日)

山形県上山市葉山5-70  地図
上山市観光物産協会公式サイト

6:00~21:00 月曜および正月三ヶ日定休
150円(洗髪の場合は別途100円)
備品類なし

私の好み:★★★
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上山温泉 本陣しまづ旅館

2016年06月21日 | 山形県
 

2015年秋の某日、上山温泉「本陣しまづ旅館」で一晩お世話になりました。山形新幹線のかみのやま温泉駅から近い十日町エリアの市街地にあり、県道13号線(羽州街道)沿いという便利な立地です。でも通りに面しているのは、こちらの元々の本業である酒屋さんであり、そこから引っ込んでいる宿の玄関は目立ちにくく、ややもすれば気づかずに通り過ぎてしまいそうです。


 
館内には骨董品の数々や丸十の家紋がついた天秤棒などが展示されていました。しまづという名前、そして丸十の家紋からもわかるように、こちらのお宿のオーナーさんは、元をたどれば薩摩の島津につながる家系の方なんだそうです。山形県の島津といえば、上杉氏に従って信濃から越後・会津・米沢などへ移った戦国時代の信濃島津氏が思い浮かびますが、女将さん曰く明治初期に長野県小布施から移ってきたらしいので、上杉に付き従った信濃島津氏とは別の家系なのかもしれませんね。
ちなみに宿の名前に含まれている「本陣」とは、江戸時代、当地が羽州街道の宿場であった頃、ここにあった屋敷が本陣として使われていたことに因むそうです。


●客室・食事
 
酒屋さんを本業としているためか、「初孫」(酒田)や「沖正」(米沢)など山形県の日本酒銘柄が客室の部屋名になっているのが面白いところ。もっとも、私が案内されたのは「春雨」というお部屋でしたが、この「春雨」は日本酒ではなく、市内の「春雨庵」に由来しているのかもしれません。この部屋のレイアウトがまたユニーク。と申しますのも、部屋全体の広さはおよそ10畳ほどなのですが、手前側の4畳は畳敷きでちゃぶ台が備え付けられている一方、残りのスペースはカーペット敷きの洋間になっており、シングルサイズのベッドが2台並んでいるのです。大正か昭和初期を思わせるレトロな和洋折衷空間で、ちょっとしたタイムスリップを味わいつつ、一晩すごさせていただきました。



今回は2食付きでお願いしました。夕食・朝食とも食堂でいただきます。
上画像は夕食。ホタテバター・ドリア・お刺身(マグロ・サーモン)・イカ刺しととろろ芋・ホウレン草(おひたし)・鮎の塩焼き・自家製イカの塩辛・米沢牛のステーキ・ロールキャベツ・鴨鍋・・・家庭的ながらも豪華なラインナップです。どれも美味しいので箸の休まる時はなく、食後は動けなくなるほどお腹がパンパンになっちゃいました。



こちらは朝食。焼き鮭・目玉焼きと焼ベーコン・煮物・すじこ・納豆・・・といった内容。
こんな豪華でボリュームたっぷりな2食が付き、サービス料や税金などを含めて、全部で1万円未満なのですから、そのコストパフォーマンスの良さには恐れ入ります。


●大浴場
館内には大小の浴場がそれぞれ一室ずつあり、いずれも貸切で利用します。まずは玄関ホールの前にある大きなお風呂から入ってみることにしましょう。

 
壁に掲げらてた大きな丸十の家紋を右に見ながら浴室へ入ります。ドアのガラスに記された浴室の名前は「まほろばの湯つぼ」。歴史の縁の深いこの旅館ならではのネーミングですね。この日の宿泊客は私だけでしたが、時間によっては近所にお住いの方が入浴しに来るため、念のため利用中はドアに「貸切中」の札を提げておきました。


 
脱衣室のミラーに書かれた「まほろばの湯舟に洗うわが心」という川柳は、みちのくで湯めぐりを私の心情をそのまま詠っているようで、心にしんみりと響きました。またドアのノブには「まはしてひく」という旧仮名遣いの注意書きもまた良い味を出していました。



浴室はちょっぴりレトロな趣きを漂わせつつも、壁の右側は黒、左側はレンガ色と、コントラストをはっきりさせたシックで落ち着くカラーリングです。室内には湯気とともに石膏臭がふんわりと漂っていました。


 
浴室手前に洗い場があり、真湯が出るカランが3基取り付けられているほか、浴室奥にもシャワーが1基設けられていました。このシャワーは後付けなのかな。


 

浴槽は奥行きが長い五角形で、あまり良くない喩えですがドラキュラの棺みたいな形状をしており、キャパとしては6~7人サイズ。縁には黒い石板が、浴槽内には濃淡の青いタイルが敷き詰められており、その清々しいブルーは無色透明で綺麗に澄み切ったお湯のクリアさを際立たせていました。温泉ファンとして目を奪われるのが、お湯の投入口になっている黒御影石で作られた湯枡。枡の底から噴き上がって内部に貯められたお湯は、ハの字型に切り込まれた切り欠けから溢れ出て浴槽へと注ぎ込んでいるのですが、そのまわりには硫酸塩の真っ白な析出がビッシリ且つコンモリと付着しており、このお湯が只者ではないことをビジュアル的に訴えていました。湯口に付着する白い析出は上山温泉の各浴場で見られる共通した特徴ですが、湯枡が黒いために、その白さが一層強調されていました。

湯使いは加温加水循環消毒が一切無い完全掛け流し。湯面は光を反射して青白い光を放ちつつキラキラと輝いています。お湯の投入量により湯船の温度を調整しているのですが、その塩梅が絶妙であるため、湯口で50℃近い熱さにもかかわらず、湯船では42~3℃という入りやすい湯加減となっていました。共同浴場と違って利用者が少数に限定されているため、お湯は全く汚れておらず、鮮度感が抜群でとっても綺麗です。石膏臭を放つお湯を口に含んでみますと、薄塩味と石膏味、そしてほんのりと芒硝風味が感じられます。いかにも硫酸塩泉らしく入りしなは脛にピリッとくる刺激が伝わり、肩まで浸かるとスルスルスベスベの浴感が得られますが、湯中で腕をさすると肩から指先までの間に1~2回ほどグリップが効き、この手のお湯にありがちな引っかかりもしっかりと確認できました。全身をしっとりと包んでくれるフィーリングは非常に魅惑的で極上そのもの。いつまでも入り続けていたくなり、長湯をして逆上せそうになっても、あまりの気持ち良さに後ろ髪が引かれ、湯船から出られなくなってしまいました。


●小浴室
 
もう一つの浴室は共用洗面台の向かいにありました。引き戸には「女子浴室」というプレートが貼ってありますが、貸切利用ですので男女の区別は特に関係ありません。その引き戸を開けるとすぐに脱衣場らしきスペースが目に入ってきたのですが、その床面積はわずか1畳程度で、小さな棚とカゴがあるばかり。一人で更衣するのが精一杯という狭さです。



脱衣室から想像できるように、浴室もコンパクトな造りで、家庭のお風呂みたいな雰囲気です。室内には浴槽がひとつ、そしてシャワー付きカランがひとつ設けられています。全体的に昔ながらの豆タイルが多用されていますが、後年になって改修されたのか、部分的に石板が用いられていました。


 
お風呂のサイズこそ家庭的なのですが、旅館としての意地なのか、浴槽の形状は民家のお風呂では決して見られない扇型をなしており、大きな浴室と同じく、全面タイル張りの浴槽には綺麗に澄み切ったお湯が張られていました。そして浴槽右側の湯口まわりには雪のように白い析出がびっしりとこびりついていました。こちらも投入量の増減により湯船の温度を調整しているのですが、表面積が小さくて冷めにくいのか、私が入ろうとした時には50℃近い熱さであったため、止むを得ず加水してから入りました。湯船に体を沈めますと、お湯が浴室いっぱいに溢れ出て、思いっきり洪水状態になってしまいましたが、こんな豪快な湯浴みができるのも温泉旅館だからこそ。ピリッとくる鮮度感抜群のお湯に浸かって、上山温泉ならではのフィーリングを存分に堪能させていただきました。

当地が歩んだ歴史を感じつつ、家庭的で美味しいお食事と、フレッシュでクリアな掛け流しのお湯に浸かる…。実に素晴らしい一晩を過ごすことができました。おすすめ。


上山地区1号源泉・2号源泉・3号源泉(貯湯槽)
ナトリウム・カルシウム-塩化物・硫酸塩温泉 64.3℃ pH7.9 蒸発残留物2598mg/kg 成分総計2529mg/kg
Na+:523.1mg, Ca++:329.1mg,
Cl-:809.8mg, Br-:2.2mg, SO4--:755.1mg, HCO3-:21.0mg,  
H2SiO3:58.9mg, HBO2:11.8mg,
(平成22年3月19日)
加水加温循環消毒なし

JR山形新幹線(奥羽本線)・かみのやま温泉駅より徒歩6分(600m)
山形県上山市十日町1-10  地図
023-672-0350

宿泊のみ(日帰り入浴不可)

私の好み:★★★
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鶴子温泉 勘兵衛荘

2016年06月19日 | 山形県
 
 
昨年秋の某日、山形県尾花沢市の鶴子温泉「勘兵衛荘」へ立ち寄って入浴してまいりました。こちらは鶴子温泉唯一のお宿であり、新鶴子ダムの下流側に広がる長閑な集落の一角に位置しています。宿の目の前にはコミュニティーバスの停留所が立っているのですが、肝心のバスは鉄道駅から離れた尾花沢の市街から乗車しなくてはいけないため、当地へのアクセスは車の方は便利かと思います。駐車場の前に建つ小屋からは煙が上がっており、薪を焚くような音や匂いが伝わってきたのですが、こちらのお風呂では薪で加温しているのでしょうか。


 
反り返った太い金精様や玉をダランとぶら下げた信楽焼を尻目に、館内へお邪魔し、お宿の方に湯銭を支払って浴場へと向かいます。


 
玄関から廊下を右へ進んで、クランク状に折れた先に暖簾がかかっていました。館内は昭和から時が止まったかのような佇まいです。使われなくなった手動式の古い自販機は、花瓶を置くための台と化していました。少々雑然とした脱衣室を経て浴室へ。


 
お風呂は男女別の内湯が一室ずつ。大きな浴槽がひとつあり、男女間仕切りの一部には磨りガラスが用いられていました。見るからに昭和の温泉宿といった風情で、豆タイルが多用された室内は昔日の面影をたっぷり残しています。ガラス窓は二重になっており、ちょっと曇っていたのですが、窓を開けて外を眺めると、谷あいに鬱蒼とした森が広がっており、ところどころで紅葉も見られました。そして山から爽やかな風がそよそよと穏やかに吹き込んできました。


 
水色タイル張りの浴槽は(目測で)2.5m×3.5mの四角形。一般的なお風呂よりもやや深く、入り応えのある造りになっています。壁から突き出たパイプより加温されたお湯が放物線を描きながら落とされており、湯口で47~8℃、湯船で42~3℃とやや熱めの湯加減になっていました。館内表示によれば、加温以外の加水循環消毒は行われていないとのことですが、浴槽縁などからのオーバーフローは確認できませんでした。ただ、浴槽内に穴が開けられていたので、もしかしたらそこから吸引排水されているのかもしれません。
お湯は無色透明で、湯中ではちらほらと黒っぽい浮遊物が見られましたが、湯の華か不純物であるかは不明です。分析表によれば泉質名は単純硫黄泉であり、硫化水素イオンも4.6mg含まれているため、硫黄泉らしい知覚的特徴があるものと期待していたのですが、湯口や浴槽のお湯から明瞭なイオウ感は得られず、イオウが劣化した後の砂消しゴムみたいな風味が名残のように少々感じられた程度でした。源泉で湧出した後、タンクでストックされたり加温されたりするうちに、イオウ感が飛んでしまったのかもしれません。浴感としては弱ツルスベで、少々トロミもありました。もしかしたら入浴するタイミングによってお湯の質感が変化するのかもしれませんね。でも熱めのセッティングだからか、湯船に浸かるとよく温まり、湯上り後はしばらく汗が止まりませんでした。


 
浴室の洗い場にはカランが3つあり、うち2つがシャワー付きなのですが、今回の入浴で私が気にいったのは、湯船のお湯よりもカランのお湯です。お湯のハンドルを開けて吐出されるお湯は、強くないもののはっきりとしたタマゴ味とタマゴ臭を有しており、間違いなく源泉から引いていることがわかりました。芳しい香りを放つこのお湯が湯船に張られていたら最高なんだけどなぁ…。
お湯のフィーリングといい、宿の佇まいといい、温泉旅館というよりは湯治場の鉱泉宿と表現したほうがしっくりくる、渋くて哀愁たっぷりのお宿でした。


1号源泉
単純硫黄温泉 29.2℃ pH9.5 掘削動力揚湯(湧出量記載なし) 溶存物質294.4mg/kg 成分総計294.4mg/kg
Na+:78.8mg(92.20mval%),
Cl-:54.7mg(38.31mval%), OH-:0.5mg, HS-:4.6mg, SO4--:13.6mg, HCO3-:73.7mg(30.10mval%), CO3--:17.6mg(14.68mval%),
H2SiO3:37.2mg,
(平成17年12月14日)
加温あり(入浴に適した温度に保つため)
加水循環ろ過消毒なし

JR奥羽本線(山形新幹線)・大石田駅より山交バスの「尾花沢待合所」行で終点まで乗車し、そこで尾花沢市コミュニティーバス鶴子線へ乗り換えて「鶴子温泉」下車すぐ
山形県尾花沢市鶴子912-81  地図
0237-28-2332

日帰り入浴時間不明
300円
シャンプー類あり、他備品類見当たらず

私の好み:★+0.5
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湯の児温泉 中村温泉寿湯

2016年06月18日 | 熊本県

前回記事に引き続き湯の児温泉の日帰り入浴専門施設を取り上げます。今回は家族湯を専門とする「中村温泉(寿湯)」です。
利用の際には、まず温泉街の通りに面している食料品店「中村商店」を訪い、アンニュイな感じの方に料金を支払って受付を済ませます。なお事前予約も可能のようです。


 

受付後は商店から数十メートル離れたところにある湯屋へと向かいます。湯屋の脇にはポンプ小屋や貯湯タンクが立っていますから、お風呂のお湯はここから供給されているのでしょう。湯屋には2つの出入口があり、いずれも家族湯として使うことができますが、出入口は湯屋の中心ではなく、かなり右側に寄って設けられていますから、その状況から察するに右側の方が狭いことが予想されますね。


●小浴室

ひとまず右側の浴室から見てゆくことにします。


 
右側のドアを開けると、いきなり及び腰になりそうな光景が目に飛び込んできました。ここって他所者が入って大丈夫なの? 良い表現をすれば家庭的、そうでない表現だと雑然、そんな雰囲気の小部屋なのです。4畳半ほどの室内にはソファーや棚などの家具がが所狭しと置かれ、その上にタオルなどいろんな私物が放置されているではありませんか。しかも先ほどまで近所のおじいさんが利用していたため、その爺さんの湿布の臭いが充満しています。


 
その小部屋を抜けて浴室のドアを開けると、そこにはやはり家庭の浴室みたいな光景が広がっていました。スカイブルーを基調としたタイル張りの浴室にはシャワーが1基と、1.5m×3mほどの浴槽が設けられています。そして腰掛けや桶が複数備え付けられているのですが、それぞれがバラバラな大きさであるため、整頓することができずに洗い場へ放置されるがまま。ハンドレールには何枚ものアカスリタオルがぶら下がっているのですが、これもどれが誰のものだかさっぱりわからない状況です。そんなお風呂ですが、お湯は絶え間なく供給されており、上向きの湯口からトプトプと音を響かせながら注がれ、縁からしっかりと溢れ出ていました。


●大浴室

続いて左側の浴室も覗いてみることにしましょう。


 
家族湯ということは、貸切利用になるわけですから、入室の際はドア脇にぶらさがっている札を裏返しておき、利用中である旨を知らせます。


 

明らかにこちらの方が床面積は広いのですが、室内の雑然さは右側と互角の勝負。ソファーやベビーベッドなどいろんな家具にタオルが幾重にもかけられているのですが、いずれもシワシワでゴワゴワに固くなっており、しかもめくれ上がったままの箇所もあって、その様子を目にすると、泥棒に漁られた後なんじゃないかと警戒したくなります。部屋の隅にはホコリもたまっており、古いままのタオルやホコリの類から何かの胞子が飛んでいないかと心配にもなります。
その一方、室内にはドライヤーが備え付けられているばかりか、なんとエアコンまで完備されているので、湯上がり時のクールダウン対策はバッチリです。尤もエアコンを運転させたら怪しいホコリや胞子などが部屋中に蔓延するんじゃないかと心配を抱きたくなりますが、もし心配なら運転させなければ良いわけで、私は運転させましたけど、いまのところは特に呼吸器系の疾患を患ったようなことはありません。


 
右側のお風呂は水色基調でしたが、こちらの浴室はピンク基調。一人で貸切利用させていただくのが申し訳なくなっちゃうほど大きな浴槽があり、浴室両端にシャワーが1基ずつ(計2基)取り付けられています。画像を見る限りではちゃんと整頓されているように見えますが、それもそのはず、ゴチャゴチャだった浴室を、入浴に際して私が片付けたのでした。


 
洗い場のシャワーから出てくるお湯は温泉です。2つあるカランのうち、一つはシャワーとスパウトの両方を使えますが、もうひとつはシャワーのみです。


 

淡いピンク色タイル張りの浴槽は1.5m×4.5mはありそうな大きなもので、中小規模の旅館でしたら大浴場と名乗ってもおかしくないほどです。バルブ付きの湯口は小さな浴室と同じく上を向いており、しっかりした量のお湯を間断なく浴槽へ注いでいました。そして桶が積み重ねられている湯尻の切り欠けより排湯されていました。湯使いは完全放流式。浴場としての衛生状態には疑問を抱かざるを得ませんが、温泉のお湯はフレッシュそのものでとても綺麗です。
見た目は無色透明でクリアに透き通っており、甘塩味と石灰の味が感じられます。ちなみに、匂いはあまり嗅ぎとれなかったかも。湯口では44℃ほどの湯温ですが、投入量が多いためか湯船でもさほど下がらず、43~44℃ほどというちょっと熱めの湯加減になっていました。一般的に、湯の児温泉のお湯は塩気の他に石灰の析出がうっすらと現れることがありますが、こちらのお風呂ではそれらしきものが見られず、これに関連するのか、土類的なフィーリングが薄い代わりに食塩泉らしさが前面に出ており、引っかかる浴感は弱いものの、ツルスベ感ははっきりと肌に伝わりました。当地の他源泉よりカルシウムが少ないのかもしれませんね。
ちょっと熱めで火照りやすいお湯ですから、長い時間お湯に浸ることはできませんが、いざ湯船から出ようと思っても、気持ちよさに後ろ髪が引かれてしまい、制限時間ギリギリまで湯船を入ったり出たりを繰り返し、着替える時には冷房を最強にして体をクールダウンさせたのでした。
潔癖性の方にはちょっと厳しいかもしれませんが、B級施設に心惹かれる方にはオススメです。


中村温泉泉源
ナトリウム-炭酸水素塩・塩化物温泉 46.8℃ pH7.1 170L/min(掘削動力揚湯) 溶存物質1.936g/kg 成分総計2.007g/kg
Na+:477.0mg(80.57mval%), Mg++:16.1mg, Ca++:58.2mg(11.28mval%),
Cl-:345.7mg(38.69mval%), Br-:0.6mg, SO4--:11.4mg, HCO3-:915.2mg(59.53mval%),
H2SiO3:65.1mg, HBO2:16.3mg, CO2:70.6mg,
(平成19年12月22日)

熊本県水俣市大迫湯の児1213  地図
0966-63-2278(中村商店)

10:00~22:00(一応このような時間設定になっていますが、実際はかなり適当です)
500円(50分以内)

私の好み:★★+0.5

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