経営コンサルタント田上康朗の雑感帳

経営コンサルタント田上康朗が、気ままに本音で記す雑感帳です。書く日もあれば書かないときもあります。

いわずもがな&トンチンカン

2006年09月15日 | Weblog
「ああ、これだ」。
私は、デジタルカメラで、それらを撮した。

「従業員買い物割引制度を導入して、優遇したのに、ウチで買わずよその店で買い物する。愛社精神をテーマに従業員教育をして欲しい」と、Aスーパーの経営者から相談を受けた。

従業員が自分の店の商品を買わない。しかも割引(この店の場合10%引きである)をしてすら買おうとしない。これがどういう意味なのか。そしてことの重大さ、そして思いこみによるトンチンカンが、ここに内包している。

「やはり、自分の買い物を同僚に知られたくない心理が働くのでしょうか。愛社精神とこの辺のことも含めて、教育をして欲しいのです」。

この二世経営者は、言葉を加える。

「安く買える従業員が、買わないことは、(割引のない)お客様はなおのこと、買わないのではないでしょうか。社員がなぜウチで買わないのか。価格以外に買わない理由、問題があるとは、お考えになりませんか」。

こうした仮説でアプローチを進め、検証していけば、他の(それがおおかた真因なのだが)理由が掴めるはずである。

ちなみに当店の約半数は主婦のパートである。割引制度は、当初は社員だけであったが3年ほど前に近くに大手スーパーができたことで、パートが、自分お店を利用しないのではと心配し6月以上勤務の全従業員にはチラシ掲載の特売品を除く全商品を一割引で購入できるようにした。

この1割は福利厚生費として経費で落とせるし、これで少しでも売上が上がれば儲けもの、というのが経営者の計算であった。

しかしそのとき実施したパート向けアンケートによると「一割り安くしたら、当店で買う」と、回答した彼女たちは、相変わらず自分の店で買い物をしない。

「裏切られた思いです」、と彼はまた加える。

「なぜ彼女たちは、安くしても買わなかったのでしょう。考えてみたことありますか」私は、社長に会う前に、お店で移した写真を、彼に示した。

「黒く変色したキノコ」、「水取紙に血がにじんでいるリパックした肉」、「葉が開いたキャベツ」、「昨日加工の刺身」などなどである。
これらは、いずれもパートの彼女たちの作業により、売り場に並べられた商品である。