経営コンサルタント田上康朗の雑感帳

経営コンサルタント田上康朗が、気ままに本音で記す雑感帳です。書く日もあれば書かないときもあります。

商人がうらやましい

2006年09月06日 | Weblog
 多くの商人たちとの出会いを得るたびに、「商いとは何とすばらしい生業(な
りわい)だろう」と思う。商いには、居ながらにして数々の出会いがあり、それを通じての喜びがある。しかも利を得ながら商人自身が人間的に成長していく。こんなすばらしい業があっていいのか。商人がうらやましい。
 
人は係わりの中で生きている。係わりある人に喜びとか、感動と云ったことを
も含む利を与え続けていくことが、人の生きがいであり、またそのことが自分の存在基盤をより強く育てていくのである。その意味で商人にとって最大の関心は消費者との係わりであろう。
 
売るということは、消費者が買うというお客との「係わり」があって成立する。しかし、とかく商人は自分が「売り、儲ける」という自分サイドの係わりばかり考えがちである。また経営という学問そのものが、お客様から見てどうか、という視点が希薄で、企業の損得を計ることが中心で、各論に「経営理念」とか「環境問題」があったとしても、それは自分の利の為の各論・ツールとして位置づけられている感が強い。

そうした中での商人が、相手である消費者から敬遠されるのは当然である。
 商人とは、消費者にとってのプラスを増加し、マイナスを減らす営みによって
消費者がお客となるといった係わりずくりを行うことで、自分の利と社会性を同時に充足する、有り難い人のことをいう、と私は定義している。

このことが企業にとってのプラスやマイナスを云々することより優先されることで成り立つのが商業である。これは道義的な問題ではなく、企業の存亡の問題である。なぜなら、そうしなければ消費者がその商人との係わりを敬遠し、その店を選択しない。そして究極的にはお店としての社会的存在基盤が失われるからである。このことを理解できず、ただ売る努力をすれば売れると考えている商人の多いのにも驚く。