春めいてきました。おでかけ日和ですが、花粉症のわたしは、こもっています。残念。花粉症がくやしい。
さて、佐藤まどかさんの新刊がでました。
イタリアから日本とグローバルな視点をもった作品です。佐藤さんが書きたいことがぎゅっとつまっているんじゃないかな。
圭人は日本人の母と父をもつが生まれはイタリア。ずっとイタリアで暮らしてきたが、国籍は日本にあります。
そんな圭人が好きなのは、イタリアの古い遺跡や街並みのスケッチ。
この描写が力がこもっていて、生き生きと書き切っている。街並みや遺跡を言葉で表すのはむずかしい。でも、圭人の視点で、どううったえかけてくるのか、どう魅力的なのか、書かれていてぐいぐいと読ませます。イタリアにいったことがないわたし。読んでいて、行きたくなっちゃいました。
その圭人、父がなくなったことで、母とともに日本にもどり、日本の中学に行くことになります。。
イタリアに住んでいた圭人には、コンクリートのビルがニョキニョキとたつ東京がどううつるのでしょうか。そのあたりもおもしろい。
そして、いろんなことをあきらめかけている圭人の前に、ひとりの少女があらわれます。古い街並みに落書きをしかけていく少女。
でも、落書きっていってもスプレーをつかっていて、これがうまいんです。
彼女の落書きをやめさせようとするうちに、二人はいつしか同志のような関係になり、お他がいの気持ちを吐露しあっていきます。
そして……。
イタリア在住の佐藤さんにしか書けない、思いのつまった作品です。
わたしも展覧会に行くのは好きで、この作品を読んで、アートを見たくてたまらなくなり、メトロポリタン美術館展 (今、新国立美術館で開催中)を思わず申し込んでしまいました。コロナだし、花粉だし、忙しいし、で、行かなくてもいいかなって、後ろ向きの気持ちだったのですが、たまらなく行きたくなりました。
やっぱ、行きたいところ、行かないと元気でないよね。
メトロポリタン美術館展なんて、めったにやらないんだから。カルバッチョを見てこなきゃ。
そうそう、この『スネークダンス』の中には、有名な名所や画家の名前がいくつもでてきます。それを探索しながら読むと、また、おもしろいかも。
美術や古い建築が好きな方、とくにおすすめです。