大阪なおみ選手がテニスの全仏オープンを2回戦から棄権した。当初は激しいバッシングがあり、大会主催者からは「四大大会出場停止」とまで言及されていた。
しかし、棄権した理由がうつで苦しんでいたことを表明してから、一転して「可能な限りのサポート」すると表明した。
いままでトップアスリートは身体的なことはよく書かれてきたが、メンタルな面は試合に勝つための取り組みとして行われてきた。うつとなるとまったく対応は違うし、多くの大会主催者はその配慮が足りなかったのでは。
大きな「問題提起」といえる。
メンタルの不調は、たしかに言いにくい。ましてや精神病などと診断されたら人生は終わりだし世間に顔向けできない、など。そしてかなり悪化してから医療につながる。いままでかなり遅れている分野といえるのではないか。
話しは変わるが、釧路地域の精神科医療も厳しい状況が続いている。そして釧路日赤病院の精神科入院の廃止、週1~2回の治療で新規患者の受付中止も報道された。報道によると1800人の患者がいる。
それでなくても釧路は、新規申し込みはかなり以前から3ヶ月待ちが当たり前になっている。新規受け入れ中止のクリニックも増えている。
去年と今年、続けて引きこもり、不登校で「死にたい」という相談を私は受けた。いずれも精神科を受診したいとのことで、1人は5ヶ月待ちであきらめた、もう一人の親は市内の精神科に電話をかけまくったが、やはり3ヶ月待ちであった。
保険証があっても、すぐ医療にかかれない。これを「医療崩壊」というのではないか。新型コロナでいやおうなく体験している。
それぞれ精神の専門の相談機関につながり、とりあえず「相談」でつながることになった。
私たち素人はこのぐらいしかできないが、親から見れば命にもかかわることなので必死だ。
「医者不足」だけでは片づけられない問題ではないのか。
相談機関、地域で暮らす仕組み、緊急な場合は直ちに医療につなげることなど、課題は山積みだ。
議員時代に「マジソンモデル」について少し勉強したことがある。いずれも「人と予算」が必要だ。
介護保険導入以来、介護・障害分野など地域で関わる人たちはワーキングプアの世界でもある。
こうした格差を広げてしまった「政治」の責任が問われている。
追記
4日付釧路新聞の3ページに「不調告白『一流選手ほど困難』」という記事が掲載された。
副題が「専門家『後出し』批判戒め」となっており、最近の大阪なおみ選手をめぐる記事では、一番納得できる秀逸だと思った。
日本メンタルトレーナ協会理事の浮世満里子さんは「自分がメンタルヘルスに課題を持っていると告白するのは、普通の会社員でも非常に勇気がいること」。一部では大阪選手が初めからうつ症状を告白していればここまで騒動は大きくならなかったとの意見もあるが、「後出しとの批判こそ、傍観者の後出しじゃんけんだ」と戒めた。
その通りだと思った。
この間、大阪選手へのバッシングは目に余る。今回のように初めから告白とか、何十億ももらっているのだからとか、まったく理解していない記事が多すぎる。
こうした記者やコメント者が、精神障害者の実態を少しでもわかっていたらと思う。