呑む気オヤジ/蔵王山麓蓬莱庵便り

蔵王山麓暮らしのオヤジの日記。合唱も映画もドライブも温泉も、たまには俳句も・・・😄

母の煮しめ

2013-12-07 | 家族のこと

母が珍しく得意そうに「今日は煮しめを作ったら、美味しく出来たよ」と言う。
うん、確かに美味しいよ。
だんだん体力が落ちてきて、昔は料理が得意だったのに、最近は簡単な炒め物とかデパ地下食材とかレトルトが多くなっている。息子としてはちょっと寂しいが、でも年齢を考えれば致し方がないことだ。
独身の僕にとって、母と同居し、母が夕飯を作ってくれることはまさに幸せ。

日経新聞の夕刊一面に、毎日日替りで「あすへの話題」というエッセイが掲載されている。
僕は金曜日のヴァイオリニスト千住真理子さんのエッセイが、文章も上手だしウイットとペーソスがあって好きだ。
先日は今夏に亡くなった母親の作る鳥の唐揚げの思い出。以下、要旨。
『母親が亡くなる直前に得意の唐揚げを作ってくれた。無理しなくていいよというと「私が唐揚げを作れなくなったらおしまいだから」と、痛む体を必死に動かして、油の入った鍋にしがみつくようにして揚げてくれた。「なんかうまく揚がらない」と泣きそうな声でいう母親が揚げてくれた唐揚げは、確かに焦げたりベトベトだったりしたけど「美味しい!やっぱりこれだね!」と言ってがむしゃらに食べた。
この前、料理が得意な次兄が母が揚げるのとそっくりの味の唐揚げを作ってくれた。すごい勢いで唐揚げを食べ、「1キロ全部食べちゃった!」と次兄夫婦に笑いかけながら、しきりに目を瞬いた…。』

うちの母はいつまで僕の夕飯を作ってくれるのだろう。煮しめはいつまで作れるのだろう。
亡妻も痛む体を押して家族の夕飯を作っていた。一体どんな気持ちで作っていたのか。
母や妻に対するいろいろな想いが綯い交ぜとなり、涙を止めることができなかった。




コメント
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