日曜日。昼食後に家を出て目的地、アートアクアリウム美術館に徒歩数分で行けるホテルにチェックイン。部屋でお茶を一服して身軽になって出かけた。
昨秋宿泊したホテルの前でポスターを見て、気になっていたところ、運よく6月末まで有効のVIPチケットを入手出来た。ちょうどGW迄、春の特別企画展開催中であると知り、訪れることにした。
主催者曰く“コロナ禍に震えた2020年春から現在まで、心休まらない世界情勢や外出自粛で疲れた心を、美しく舞い泳ぐ金魚の舞と光、音、香で提供する非日常の体験で癒したいと考え、春の特別企画を開催します。季節の移り変わりを繊細に感じ、愛でてきた日本の伝統文化継承を目指し、この季節にしか感じられない、日本の春を象徴する桜を会場いっぱいに散りばめた新たな装いでお迎えします。この全てが止まってしまったような、やり場の無い我慢の日々でも春は訪れます。どうか一瞬だけ、皆さまを”桜色の非現実世界への旅”にお連れできればと心から願っております。“とのこと。
ちょっと奥まったところにある美術館、入り口は分かりにくかったけれど、無事到着する。当日券では時間指定の入場になっていたが、VIP券は常時優先入場が出来るようで、そのままスイッと入ることが出来た。
入場すれば、水と戯れる非日常世界の始まりだ。
“生命の宿る美術館”の名の通り、生身の演者である数えきれない金魚たちが目の前で舞う躍動。この場でしか感じることのできない生命のダイナミズムが、忘れかけていた日本の美意識を思い出させる・・・”というパンフレットの言葉通りか。
入館してすぐに迎えてくれるのは“床がけ⾦⿂飾り”という金魚の影と水墨画が交差し生まれるアート作品。
続く“⾦⿂コレクション”では、花びらを形どった江戸切子が配された水槽に、クリスタルとファイバーライティングで表現された枝垂れ桜が神秘的なトンネルとなり、その中を無数の金魚が舞う。
多種多様な金魚がコレクションされた両サイドの壁から突出した円形のアクアリウムが、一斉に桜色に染まる瞬間はとても神秘的。
パンダの名を持つ白黒金魚、出目金でも目が天井を向いている頂天眼のユーモラスな風貌、だるまさんの名前のとおり、まん丸い身体のもの、こんなに沢山の珍しい金魚を一度に観たのは初めてのことだ。
豪華絢爛な衣装をまとった“巨大金魚鉢・花魁”も見事だった。江戸時代の花街を表現した展示スペース“花魁道中”のラストに巨大金魚鉢が登場し、桜錦、桜琉金、桜東錦など、桜に因んだ品種の金魚が集結していた。
圧巻だったのは“⾦⿂の杜”。空間全体が桜色に包まれ、実に幻想的。エリア内の床一面が桜の絨毯をイメージしたピンク色に変わる。配置された多数の巨大な柱状の金魚鉢を照らし出す演出は、異空間へトリップするかのような不思議な感覚だった。
“サクラリウム”と名付けられた巨大な桜の花に形どった水槽の中を、“桜だるま錦(金魚の名前)”が美しく優雅に舞い泳ぐ、この時期だけの限定展示作品にも目を楽しませてもらった。
展示を堪能した後は、能舞台を眺められるラウンジで一息。夫は金魚鉢の形のグラスに入ったあんみつを、私はクリームチーズの冷たいお汁粉とフルーツの盛り合わせを頂いた。それぞれ色とりどりの金魚の形のゼリーが散りばめられていて可愛らしい。お値段もそれなりのものだったけれど。
テーブルの間はかなり間隔が大きく取ってあったけれど、まだ明るいのにお酒で盛り上がっているグループもいて、早々に退散した。
ミュージアムショップを覗き、アートアクアリウム美術館の年表を眺めていたら、「そうだ、息子が大学生だった頃、京都の二条城に展示されていたアートアクアリウムのポスターを見ていたのだった。」と思い出す。その頃から気になっていたのだ。
見れば、2007年を皮切りに世界各国、国内各地で展示を重ね、昨年の8月末に江戸文化が花開いたこの街で美術館としてオープンしたそうだ。
少しお散歩をして早めの夕食。蔓延防止措置中とはいえ、それなりの人出である。それでもいつも長蛇の列で入店を諦めていた和食レストランに、今回はすんなり入ることが出来た。
夫は好物の牛鍋膳を、私は季節の炊き込みご飯膳を頂いた。春らしくソラマメとなまり節の炊き込みご飯は一合炊き。美味だったけれど、いつも我が家で炊くより多い量を一人ではとても食べきれず、だった。満腹のお腹ごなしをしながらホテルまでぶらぶらとお散歩。素泊まりだったので、近場のカフェで明日の朝食を摂ろうかと探したけれど、手ごろな所が見つからず、ホテル隣のコンビニで調達する。
ホテルには早めに戻れたので、さてブログを書こうとしたところ、あろうことか持ってきたマウスが全然動かないことに気づく。なんということだ。指で操作をするのはあまりに不便でストレスフル。夫が、どこかでマウスを買ってこようかというが、それもあんまりだ。
イライラしながらもなんとか書き終えたところが、ブログにアップする直前になぜか半分が消えてしまった。マウスが使えず、慣れないタッチパッドの操作でミスしてしまったらしい。
再度書き直す元気はなく、泣く泣く諦めて昨日は瞑想ヨーガのクラスの記事だけをアップした次第だ。
その徒労感にグッタリ疲れ、早々に入浴してコテンと眠った。
月曜日。いつもの時刻にアラームが鳴る。ぐっすり寝た模様である。普段寝不足なのだということを改めて実感する。お腹は昨日から快調すぎるくらいだ。
ベッドの中で朝の連続テレビ小説を視てから浴槽足湯を済ませて、部屋でのんびり朝食。外は通勤の人たちが歩いている罰当たりな月曜日の休暇である(夫は休務日)。
食休みもたっぷり取って、チェックアウトを済ませ、荷物を預けて散策開始だ。
夫が、前回乗らずじまいだった日本橋クルーズの時間に丁度間に合うという。そこを目指してぶらぶら歩く。
ちょっと風が強いけれど、青空広がるいいお天気だ。出航時間の20分ほど前に船着き場に到着し、当日チケットを購入する。10分前に戻って来るように言われたけれど、その場でのんびり待つことに。
乗船したのは若いカップルと私たち夫婦、男性客が2人の6名。船長さんとスタッフの方に加え、シルバーガイド氏だけ。ほぼ貸し切り状態の豪華クルーズである。
90分のクルーズは、日本橋をスタートして日本橋川、神田川、隅田川を廻り再び日本橋川に戻って来るというルートだ。高速道路に視界を遮られるのはなんとも不粋であるけれど、30程の橋をくぐるという。
ガイド氏は、ノー原稿でほぼ90分語りっぱなし。その淀みなさに恐れ入る。出航直後からかなり風が強いので、帽子を飛ばされないようにという注意があったけれど、こちらはかつらとも言えず・・・。終始頭を押さえっぱなしであった。かつらが川に飛ばされたら、これまた回収不能である。そして、昨夜に続き、またしてもストレス、である。
江戸時代の石垣から防災船着場、聖橋のアーチをくぐり、鎧橋の洒落たレリーフ等々普段見ることのできない景色を堪能することが出来て大満足のクルージングだった。隅田川に出た時にはいきなり視界が開け、ちょっと波も立ったが、青い清洲橋越しに見るスカイツリーが美しかったこと。まるで絵葉書のようだった。
陽射しも強く、風も強く、ちょっと寒いくらいだったけれど、思い切って乗船してよかった。下船の時はガイド氏にお礼を言ってツーショットの写真を撮ってきた。
さて、遅いお昼はグルメガイドで見つけた、昨年12月にオープンしたばかりのカフェへ。世界三大珍味を含む朝食メニューが一日中楽しめるというので、昨日から目をつけていた。12種類の小さなメニューにパンとスープ、お代わり自由のドリンク付き。夫はワインも飲んでご機嫌である。
ちょっとずつ色々とはいえ、お腹一杯で食べきれず。どうもお腹の調子もイマイチである。今回は便秘なく快調だったのだけど、昨日からそれを通り越して緩めになっている。
食事を終えて、ホテルに戻ったらついにお腹を壊してしまった。JRで私鉄ターミナル駅へ向かい、夫のパスケースを購入した後、夫は家電量販店へ、私はそのまま百貨店に残る。
お気に入りのショップを覗くと、仲良しのKさんの姿を見つけ、ついつい見るだけのつもりが、八分袖のブラウスが気に入って、結局購入してしまった。
そしてなんと衝撃の情報。コロナ禍で売り上げ不振なのかブランドが閉鎖になるという。春夏のセールで順次百貨店から撤退するそうだ。がっくり。
夫が買い物を終えて戻ってきて再び合流し、予約したライナーで最寄り駅まで戻ってきた。ドラッグストアで買い物を済ませ夫と別れ、私はヨガスタジオで肩こりを癒すべくビューティヨガに参加してから帰宅した。
こうして治療前の恒例お楽しみが終了。明日1日仕事をしたら前泊、明後日水曜日は治療日である。あ~あ。