ロッキングチェアに揺られて

再発乳がんとともに、心穏やかに潔く、精一杯生きる

2017.7.17 涼を求めて東京脱出、秘湯は熱くて茹蛸状態

2017-07-17 17:51:14 | 
 連休3日目。今日も予想気温は35度である。少しでも涼しいところへ、と思い切って1泊でみちのくへ移動することに。
 最寄駅前からリムジンバスで羽田空港へ。なぜかセットした目覚まし時計が鳴らず、夫から「起きなくていいの?」と起こされる始末。慌てて身支度を整え、家を飛び出してセーフ、である。

 リムジンバスは渋滞知らずで、予定より40分ほど早く到着。集合時間より小一時間も早い。添乗員さんからeチケットを頂き、ラウンジでゆっくりお茶をして態勢を整える。
 飛行機は予定通り離陸。旅ではこの場面が一番幸せ、の機上の人に。窓際に陣取った夫は、やれあれが霞ケ浦、やれ凄い入道雲だ、とカメラ片手に喧しい。寝起きがスムーズでなかった私は、いまだ眠いような感じでテンションが低め・・・。そうこうしているうちに、フライト時間わずか1時間余り、初めての空港に降り立った。

 添乗員さんやツアーの参加者の皆さんと合流してバスへ乗り込む。人気のツアーだそうで満員御礼。バス2台仕立て60名様ご一行である。回りを見れば50代以上の、家族連れか年配のご夫婦ばかりである。

 ガイドさんのふるさと訛りの歓迎のご挨拶でほっこりと心が和む。窓から見えるは緑眩しく長閑一色な田園風景である。秋田県を訪れたのは生まれて初めてだ。
 夫いわく、北海道に一族郎党がいる義母は、庄内空港が出来る前にまずは秋田まで電車で移動して、さらにバスで1時間かけて秋田空港に行き、そこから札幌へと飛んでいたそうだ。その庄内空港も今年で25周年を迎えるという。そういえば結婚した当時は庄内空港はなかったっけ、と遠い昔のように思い出す。

 東北応援の旅がしたいと震災以降ずっと考えていながら、震災後に訪れたのは福島止まり。それより北上したことがなかった。太平洋側岩手、宮城は結婚して間もない頃に一度訪れた切りなので、もう四半世紀もご無沙汰している。

 ガイドさんのお話によると、こちらは空梅雨でまるで雨が降らず、連日32,3度の暑い日が続いていたのだが、昨日突然大量の雨が降った後で、今日はラッキーにもお天気が回復してきているそうだ。外気温は25度。東京にいることを思えば夢のように涼しい。青空が広がり出して幸先の良いスタートである。時間短縮のためにバスの中で早めにオプションで頼んだお弁当を頂く。秋田駅の名物駅弁だというあきたこまち弁当はメインがご飯なのか、確かに美味しいごはんだったけれど、おかずが品数も内容も控えめでちょっと哀しかった。

 今日の旅のスタートは、いつか訪れてみたいと子供の頃から思っていた辰子姫の像のある田沢湖から。
 何故に十和田湖ではなく田沢湖なのか、自分でも不思議なのだが、確か小さい頃、キャラメルに入っていた小さなカードを集めていて、それに辰子姫のイラストとちょっとしたエピソードが書いたものがあり、とても心惹かれたと記憶している。

 実際に数十年を経てこの目に映った辰子姫は、湖水浴後の恥じらうような姿で、青い湖面をバックに金色に輝き、思った通りの美しい姿だった。尤も、伝説自体は結構おどろおどろしいものだ、と後で知ったのだけれど。

 そんな辰子姫伝説に彩られ神秘的な美しさをたたえる田沢湖は、深い緑と真っ青な空、コバルトブルーの湖面が波間に光が煌めいてなんとも綺麗だ。水深423m、日本一の深さを誇るカルデラ湖だ。
 湖を半周し、車窓から御座石神社、蓬莱の松等を見ながら、手に取れば水晶のように煌めく砂だという白浜で小休止。湖水浴をする家族連れで賑やかだ。天然記念物である秋田犬は残念ながら暑さのせいかお昼寝中。

 名物の稲庭うどんを試食したり、お薦めのババヘラ(彩り豊かなパラソルの下で、おばあさんがヘラで苺とバナナ味のアイスクリームをコーンに盛り、薔薇の花びらの形に仕立ててくれる)を頂いたり。旅の楽しみは味の楽しみである。繁忙期にはジジヘラも出現するというが、薔薇の形にヘラを使えるのは熟練のおばあさんたちだけの技だけだそう。しっかりツーショットを撮ってから湖面を散策する。

 続いてバスは湖畔から山道に入り、秘湯へ移動。全国に数ある秘湯の中でも屈指の人気を誇るこの乳頭温泉郷は、雪景色がよく似合う鶴の湯温泉が最古で有名だが、今日は廃校になった小学校を移築したという趣のある宿、大釜温泉にお世話になった。お風呂嫌いの夫(なのになぜ温泉ツアーに参加するのか・・・)は足湯だけでいいかな~などとのたまうが、とんでもない、もう一生来ることはないのだろうから絶対に入らないと、とけしかける。

 そして入った内湯の熱いこと熱いこと。いつも自宅で41,2度のお湯に入っている私だが、これは熱くて入れない。44,5度はありそうである。皆さん足だけ入れて、これは無理・・・と露天風呂に移動する。こちらの方が少しぬるいかも、と、内湯を諦めた方たちがどんどん露天風呂になだれ込んでくる。その露天風呂だってずっと肩まで浸かっていたら茹蛸になりそうだ。足湯だけにして身体をさます。隣にもう一つ小さなお風呂があったので、こちらは、と思うと更に熱い。道理でどなたも入っていないわけだ。

 それでも見上げればブナやダケカンバの木々の緑と空の青、小人の傘にもなりそうな大きなツワブキの葉にはシオカラトンボやマダラ蝶が舞い、なんとも静かで長閑な贅沢な風景だ。30分ほど過ごして上がったのだが、とにかく汗が引かない。夫はどうなっていることやら、と思ってロビーに行ったらシャツ一枚。汗で色が変わっている。頭にはタオル鉢巻、どこかで見たタレントさんのようである。それでも内湯、外湯全部制覇して入ったと豪語していた。見れば源泉は94.2度とか。それは熱い筈である。乳白色というよりもベージュ色が濃く硫黄臭で、湯の花が舞うお風呂の後はかかとも肘もツルツルである。

 こうしてあわや茹蛸状態でお風呂を出ると、外は天然クーラーのごとくである。本当にいい景色、いい空気、幸せな午後である。今日はこれにて観光終了。早めにホテルにチェックインである。

 朝が早く、しかもいつになく熱いお風呂で長湯した夫は、部屋に入っておやつを食べるなりお昼寝としゃれ込んでいる。一方、私は窓の外のせせらぎの音に聞き入りつつ、こうしてブログを綴っている。なんと幸せなことか。

 この後、夕食前に大浴場で再び旅の汗を流し(夫はパス、だそうだ、何のために温泉旅館に泊まっているのか)、きりたんぽ鍋や稲庭うどん等の郷土会席を愉しんでから、全国唯一というホテル自慢のヒノキ酵素風呂で免疫力アップを体験することになっている。
 明日はローカル線に乗ったり、世界遺産の土地を訪れたりして夕方には帰京の予定である。


 
コメント
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