ロッキングチェアに揺られて

再発乳がんとともに、心穏やかに潔く、精一杯生きる

2017.7.12採血後診察、ジェムザール(5割減)10クール1回目)

2017-07-12 22:43:40 | 治療日記
 昨夜は仕事を終えてからSさんの瞑想ヨーガのクラスに参加した。4週間ぶりだ。先々週は、ぶり返した風邪のせいで微熱があり、翌日の治療に備えて当日朝泣く泣くキャンセルをしたのだった。久しぶりに、指導者養成コースでご一緒したKさんやTさんにお会いできた。
 Kさんは既にコンスタントにクラスを持っている。Tさんも月末いよいよデビューされるということで、今日はクラス開始を前に、Sさんから直前のチェックを受けておられたそうだ。皆、それぞれ素晴らしいチャレンジを続けていて眩しい。
 1時間半のクラスはとても幸せな時間で、チャクラハミングやハヌマーンのキールタンで、少しざわついていた心がとても穏やかに静かになった。ああ、スタジオが近ければ本当に毎日でも通いたいほどだ。Sさんにお礼を言ってクラスを後にした。

 クラス後、私鉄とJRを乗り継いでいつものホテルにチェックイン。夜遅くなっても、昼の暑さと熱気がまだ残っていて蒸し暑い。ゆっくり入浴して、ベッドに入った。夜中に一度目覚めたが、とてもよく眠れた。

 今朝は、夫にモーニングLINEと電話をしてから、熱めの浴槽足湯を済ませる。今日も暑さ厳しい予報だ。この2週間は風邪と口内炎で散々だったが、昨夜は瞑想ヨーガのクラスにも出てようやく元気になった。と、そこでまたしても投与のタイミングなのである。
 それを続けなければならないことは十分わかってはいるが、やはりテンションが下がる。とにかく、瞑想の力を借りて今のままの自分を心穏やかに受け入れ、気を取り直して病院へ向かった。

 IDカードを通してから採血受付機へ。ピンクの番号札を見ると10人近く待っており、13分待ちとあった。汗を拭き態勢を整え、ほどなくして採血室へ入った。今日は白血球のみのチェックだから1本だけ。担当は、初めての若い男性。名札をしておられなかったのでお名前を呼んでのご挨拶が出来なかったけれど、紙テープにして頂くようリクエストして無事クリア。

 止血しながら腫瘍内科受付に移動。病院に到着してからまだ30分も経っていない。
 待合椅子の指定席を確保してまずは1時間ほど読書。今日のお伴は湊かなえさんの「豆の上で眠る」(新潮文庫)。帯には「お姉ちゃん、あなたは本物なの?幼いころに誘拐され二年後に帰還した姉―妹だけが感じる違和感。衝撃の姉妹ミステリー」とある。
 表題は、この物語がアンデルセンの童話をモチーフとしているためだが、湊さんのお話が面白くないわけがない。頁を繰る手が止まらない。解説でときわ書房本店の宇田川さんが書いておられる通り、小学生ならではの感受性を表現するその筆致には舌を巻く。本当にどこもかしこも巧いのだ。
 しばしといえど、本を置くのももったいないような感じで途中血圧測定。105-64、脈は79。そそくさと席に戻って読書続行。

 30分ほどして中待合へどうぞ、と番号が出たが、それから待つこと1時間以上。おひとりで車椅子に乗って待っておられた方が「息苦しい」と仰っていて先に呼ばれる。看護師のOkさんと中待合の廊下を歩いて、酸素量を測ったりしておられるのを見たが、先生からすぐにCT撮影の指示が出たようだった。

 本を読んでいられたので待ち時間も苦にならなかったのだけれど、気づけば病院に入ってから既に3時間以上が経過。
 先生にご挨拶して、この2週間の様子をご報告。咳止め、痰切りの薬を出して頂いて良かったこと、投与2日後の金曜日の朝、8度3分発熱があったので、3日間クラビットを飲んだこと。頭痛も続き頂いた咳、痰の薬は5日間飲み切ったこと。週が明けて下唇に口内炎が出てとても往生したこと。ケナログを塗ってもあまり改善しなかったが、患者会の知人で同じように口内炎に悩んでいた方がレーザー治療でとても楽になったと教えてくださったので、次回口腔外科で近所のクリニックで治療してよいものか相談してみたいこと、などをお話した。

 先生は「前回は白血球も好中球もとても高かったので、2日くらいで好中球減少による発熱はないと思いますが・・・」と首を傾げられた。やはり風邪による発熱だったのだろう。今回は、白血球は4,100、好中球が1,500で通常の値に戻っている。やはり前回の数値は炎症反応によるものだったとのご判断だ。診察室での検温は6度7分。「レーザー治療については是非聞いてみてください」とのこと。

 気になるCTの結果は、既に半年前と今回の画像がPCに並んでいる。「予想通りですね」とのこと。6センチ以上ある一番大きな腫瘍から小さいものでも3センチくらいまでの、目立った両肺の4つの腫瘍はどれもみな一回り大きく濃くなっている。ジェムザールに治療変更して初めてのCTなので(ジェムザールは)病状を食い止めてはいない、スローペースで進行しているという読影の結果だ。

 それでも、心配していた新規の病変はないということで、レントゲンでわかっている情報以上ではないとのこと。ただし、やっと隔週で、という方法が見つかったのでもう少し粘ることにしましょう、となった。さすがに今暑い時期にドタバタと新しい治療にして体調管理をするのは大変だし、夏休みの予定も既に決まっているから、とてもほっとした。

 それにしても、3センチ以上6センチほどの腫瘍が4つもあるというのに、こうして普通の生活をしているのだから、人間というのは大したものだとなんとなく自分をヨシヨシしてしまった。まあ、悪い細胞といいながらも所詮自分の細胞であることに違いない。 
「今日は薬を出して頂かなくとも大丈夫ですが、次回クラビットの補充をお願いします」とご挨拶して化学療法室へ向かった。

 化学療法室へ移動。それほど人は待っていないがなかなか呼ばれない。看護師さんは皆忙しそうに動きまわっている。見かけたことのない方もフォローに入っているようだ。30分ほど待って、ようやくKrさんから内側のリクライニング椅子に案内された。待ち時間はいつものように夫やお友達に報告LINEやメールを打って過ごす。

 15分ほどして初めてお目にかかるFさんが針刺しに見える。初めましてのご挨拶をすると、今日はこちらがとても忙しくてヘルプに入っています、とのこと。ベテランの方のようで、びっくりするほどなんの衝撃もなく、痛みもなく針刺し名人Oさんを彷彿とさせるものだった。「痛いですよね」と問われ、「とんでもない、全く痛みがありませんでした。素晴らしいです。ありがとうございます。」とお礼を言う。薬が届くのに20分ほど待つ。

 今日は、デキサート(ステロイド)とアロキシ(吐き気止めのセロトニン拮抗薬)の混合、5割減量のジェムザール、生理食塩水の3本だ。Okさんが点滴を始めてくださり、この2週間の体調報告。吐き気止めは15分。

 湊さんの1冊は読み終わり、2冊目に梨木果歩さんの「冬虫夏草」(新潮文庫)を読み始めたけれど、結局読み終わらなかった。それでもこの本は大切に時間をかけて読みたい感じの1冊だ。

 ジェムザールは30分ちょっとかけて、最後の生理食塩水に入ったところで携帯が鳴る。普段なら病院での電話は一切取らないのだが、見ると母がお世話になっている市の福祉サービスセンターからだ。何かあったのだろうか・・・「今、病院で点滴中なのですが、何かありましたか」と仕方なく取ると、「お母さまが家にいらっしゃらないので・・・」とのこと。

 今日はヘルパーさんが来る日だった。看護師さんが飛んできて“電話は×”というポーズをされる。事情を話していったん切ると、ショートメールが飛んできた。「今日は訪問時間が繰り上がっているのだけれど、在宅されていないので、母の携帯を教えてほしい」とのこと。

 「今日は病院に行っていると思うが、携帯は不携帯かもしれない」と返事をする。暫くして「今お帰りになりました。無事でよかったです」とのこと。「ご心配おかけしました。申し訳ありません」とひとまずやりとりを終える。最後の血圧測定に見えた看護師さんに待って頂いて申し訳ないことをした。今日はランマークもお休みで、治療はこの3本のみ。

 始まって1時間強で終了。抜針はOkさん。あれっと思う間もなく抜けていて、衝撃は全くない。今日は針刺、抜針ともラッキーだった。電話だのメールだのとバタバタしていたけれど、血圧は109-60、脈拍は68。Okさんに「さすが、動じないわね~」とからかわれる。看護師さんたちにご挨拶して化学療法室を後にする。

 計算時間を見計らって自動支払機へ移動したが、まだ出来ておらず、窓口へ戻って支払となった。採血と点滴の3割負担で1万円強をカードで支払う。ジェムザール半分だとこんなものなのだ、とすっかり金銭感覚が麻痺している。

 外に出ると溶けそうな暑さ。日傘をさしていてもクラクラする。今日は点滴が少ないし、うまくすれば、早く帰れるかもと捕らぬ狸の皮算用をしたが、結局病院の滞在時間は5時間半を超えた。
 お昼はまだ吐き気止めが強力に効いているし、夜はどうせ食べられないので、時間をかけて駅ビルで野菜たっぷりの冷やしちゃんぽんを頂いてきた。

 電車で席も無事確保したら、暑さ負けした感じで、いつのまにかウトウト。乗換駅では、既に夫に了解を得ていたので迷うことなくお弁当などを調達。大荷物だったのでタクシーに乗ろうと最寄り駅を降りたところ、あいにくタクシーがいない。しかも考えることは皆同じで、暑さの中歩きたくないという方が並んでいた。待っていて茹で上がりそうなので、諦めて歩いて帰宅した。しかしグッタリ顎が出た。

 帰宅後、母に電話。母は福祉サービスの方が私に電話したことも知らず、無事外科の経過観察が終わり、次回は2年検診で内視鏡とCTだ、と能天気なお返事。かくかくしかじかと状況を話し、出かける時はきちんと携帯を持つこと、自分の携帯番号をサービスの方に教えることなどをお願いして電話を切って、横になった。
 気持ち悪くて横になっているのにほどなくして電話が鳴る。「自分の携帯番号がわからないのだけれど・・・」と。脱力する。確かにワンタッチボタンで自分がかけるか私からの電話を取るだけだから、自分の番号などメモしていなくても十分なのだけれど、トホホである。

 夫が帰ってきた時も寝込んでいた。毎度のことだけれど、夜には気持ち悪さで食欲がすっかりなくなっている。買ってきたお弁当をちょっぴりつまんで、夫が作ってくれた味噌汁を半分ほど頂いて終了。とにかく暑くてグッタリなのだけれど、冷房が効いた室内にほぼ一日いたので、身体がだるくて仕方ない。

 思えば9年半前、化学療法を始めた頃には3度3度の食事を作り、息子にお弁当まで持たせていたのに、もはやそんな気力も体力も全くない。加齢もさることながら、絶え間なく治療をしている身体は、やはり相当痛んできているのだと思う。
 まあ致し方ないことではあるが、今までの10年の重みとこれからの10年の重みは全く違うのだろう、と改めて思う。

 明日は、朝から東京横断の会議だ。帰ってからもまた会議。治療翌日は正直しんどい。それでもお給料を頂いているのだから、そして仕事のおかげで支えてもらっているのだから、なんとか乗り切らなくては。とにかくお風呂に入って少しでも早く休みたい。
 
 記録のために。
 昨日届いた今月初めてのお花は、夏らしく元気が出そうな黄色の濃淡の向日葵が4本、紫色のリアトリスが2本、淡い黄色のソリダコが1本、そしてアワが3本。花言葉はそれぞれ「あこがれ」、「燃える思い」、「永遠の少年」、「調和」だという。ガラスの花瓶に夫が投げ入れて玄関に飾っておいてくれた。今日も、お花にただいま、である。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする