ロッキングチェアに揺られて

再発乳がんとともに、心穏やかに潔く、精一杯生きる

2015.3.10 週末に読んだ3冊と今日の体調

2015-03-10 20:26:59 | 読書
 いったいどれくらいご無沙汰していたのだろう・・・久々の読書レビューである。
 週末、久しぶりに3冊読むことが出来たので、以下、ご紹介する。

 1冊目は池上彰さん編の「日本の大課題 子どもの貧困―社会的養護の現場から考える」(ちくま新書)。
 帯には「6人に1人の子どもが貧困に苦しむ国・日本、負の連鎖を断つ!」とある。「はじめに」で池上さんが書いておられる通り、昨年1月から3月に放映された児童養護施設を舞台にしたドラマが物議を醸したのは記憶に新しい。今、なぜ児童養護施設なのか-、それは、ここにこそ、今の日本が抱える子どもの貧困が集約されているからだという。
 GDP世界第三位の日本は豊かな先進国であるはずなのに、子どもの貧困率が高いという現実。日本の社会保障政策は家族を単位として実施されているから、家族から切り離されてしまった子ども達は、従来の社会のセーフティネットで救うことが出来ない。こうした子どもたちを救う最後の砦である児童養護施設が抱える困難を分析することが、貧困問題の所在を考えることになるという理論だ。全体を通じて、池上さんが読者代表で質問を重ね、専門家が答えることで児童養護施設についての重層的な解説になっている。
 貧困、虐待、DVなどの多重逆境に耐えながら健気に生き抜く子どもたちの姿を垣間見ながら、こうした子ども達が社会の中で自分の存在を確認出来れば、絶望の淵から這い上がることが出来る、こうした子供たちが人として認められ、人として生きていくことが可能な社会こそ、私達が築くべき社会だと思う、という本文に深く頷いた。

 2冊目は柚木麻子さんの「ランチのアッコちゃん」(双葉文庫)。
 表紙の写真は、ウインナーと卵焼き、プチトマトといんげんの胡麻よごしの彩り豊かな可愛いお弁当箱。白いご飯の上には海苔で「ランチのアッコちゃん」と書いてある。まずこの微笑ましくも大きなインパクトに惹かれ、単行本が刊行されたときから気になっていた。
 帯には「ついに文庫化!読むとどんどん元気が出るスペシャルビタミン小説!!」とある。そう、まさしく“疲れた心を前向きに変えてくれるガールズ応援ストーリー”なのである。裏表紙には「地味な派遣社員の三智子は彼氏にフラれて落ち込み、食欲もなかった。そこへ雲の上の存在である黒川敦子部長、通称“アッコちゃん”から声がかかる。『一週間、ランチを取り替えっこしましょう』。気乗りがしない三智子だったが、アッコさんの不思議なランチコースを巡るうち、少しずつ変わっていく自分に気づく(表題作)」とある。その他、夜食のアッコちゃん、夜の大捜査先生、ゆとりのビアガーデン、読むほどに心弾んで力が湧いてくる魔法の四編収録。あっという間に読み終わり、じんわり暖かく滋養たっぷりなポトフを頂いたような読後感に満たされた。

 3冊目は井村裕夫さん編の「医と人間」(岩波新書)。
 帯には「医学は常に人間とともにあり、人間のための学問である。」とある。本書は第29回日本医学会総会を記念して出版されたのだそうだ。「医と人間」というタイトルには、時代を超えたこの難しい課題をもう一度反芻し、新しい視点から考え直す機会としたいという気持ちが込められているという。
 第一章・医学の最前線では、あのノーベル賞受賞者山中伸弥先生が「再生医療と創薬」と題して、iPS細胞を実に分かり易く語っておられる。その他「21世紀のがん医療」では、肺がんの分子標的治療薬ALK阻害薬について、その発見者である間野博行先生が、第二章では、医療の現場から-きずなの構築のために-と称して、日野原重明先生が「チーム医療における看護師の新しい役割」について、「ホスピス・緩和ケア-ビハーラ病棟から-」では、院長の大島健三郎先生がホスピスにおける寄り添いのエピソード等について語っておられる。
 合計11人の方たちが、各々の専門分野でその知を結集した欲張りな1冊という印象だ。

 今日は今年度最後の都心を超えての会議。2時間を超える長時間、通勤電車で移動するというのに、朝食後ロキソニンを飲んでもしぶとい胸痛が治まらず。やむなくコデインを飲んで出かける。30分経ってもなかなか治まらなかったが、幸運にも席を確保出来たので、深呼吸しながらなんとかやり過ごして辿り着く。往復4時間半。会議を終え、再び職場に戻ってくるだけで顎が出てしまう。なんとも情けないことだ。とにかくこの痛みがコントロールできないと、本当に困ってしまう。早く落ち着いてくれますように。今日も早く休みたい。

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