生き生き箕面通信

大阪の箕面から政治、経済、環境など「慎ましやかな地球の暮らし」をテーマに、なんとかしましょうと、発信しています。

1502 ・原発再稼働を催促する読売新聞

2013-02-01 07:20:58 | 日記

おはようございます。                                                                           生き生き箕面通信1502(130201)をお届けします。

・原発再稼働を催促する読売新聞

 原子力規制委員会が昨日1月31日、原発の新安全基準の骨子案をまとめました。7月に新安全基準を正式決定し、この安全基準を法的に義務化する段取りです。これまでの安全基準とは名ばかりのユルユル基準に比べると、今回の基準は厳しくなっています。しかし、津波、地震、あるいはテロ対策など、どの面からみてもまだ十分とはいえません。しかも、各原発に保管されている使用済み核燃料の安全な保管については基準がなく、まだまだ問題が多いと言わざるを得ません。

 今回の安全基準案を大手メディアはどう評価したのでしょうか。朝日新聞は、「『これでよし』ではない」と、批判的に取り上げました。「いくら安全対策を講じても、原発が抱えるリスクはゼロにはならない。なにより、使用済み核燃料や高レベル廃棄物の処分策が決まっていない。使用済み燃料をどこに保管し、最終処分場をどう確保するのか」と、最大の問題点を指摘しています。

 これに対し、読売新聞は、「安全と再稼働の両立を目指せ」という見出しを立てました。ちょっと分かりにくい見出しですが、この社説が言いたいのは、冒頭の記述にあります。「安全基準は稼働の是非を判断するためのものだ。それを忘れてはならない」と、あくまでも原発稼働に重点を置いているのです。しかも、新基準が求める対策は巨費がかかると不満を見せ、「専門家会合のメンバーからは『要求が過大だ』との異論も出ている」と、専門家会合なるものを引っ張り出し、そのうえどれほど信頼性があるのか分からないメンバーなるものの発言を恣意的に引用して、ケチをつけています。結びは、「規制は合理的かつ効率的であるべきだ。再稼働の審査にいたずらに時間をかけてはならない」と、審査を急ぎ早く再稼働させよ、と催促しているのです。国民の安全対策を充実させるより、原発再稼働の方が大事だという社説です。

 毎日新聞の社説は、「原発新安全基準 『猶予』で骨抜きにするな」を見出しとしました。電力会社が安全対策を講じる期間に猶予をおくことが、骨抜きにつながりかねないと、厳しい指摘をしました。そのうえで、「国の安全基準は最低限守るべき基本線であり、原発の安全を守る一義的な責任は事業者にある。安全基準が厳しいと訴えるより先に、安全確保の決意を新たにしてもらいたい」と、クギをさしました。ごく真っ当な社説といえます。

 こうして比べてみると、読売新聞だけが突出して「原発推進」を主張していることが明瞭です。読売新聞は、原発を日本に導入するのに主導的な役割を果たしました。裏では、アメリカの当時の諜報機関(のちのCIA)と連携し、第五福竜丸被ばく事件で沸騰した「反原発」の世論を、「原子力の平和利用」というキャッチフレーズで塗り替えることに注力した経緯があります。読売は、当初から原子力についてはうさんくさい動きをしてきました。

 その当時から営々として築かれてきた「原子力ムラ」の幅広く、厚い利権構造は、容易なことでは崩せません。私たちは、草の根の粘り強い取り組みを続けるほかありません。その取り組みこそが、次世代以降の人々の安全を守ることになります。