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スピンの差

2011年01月10日 14時36分32秒 | スポーツ

 俗にインカレと総称される大学生の全国大会。いろいろな競技で行われているが、先日は日本学生氷上競技選手権フィギュアスケート男子(Aクラス)で、全日本チャンピオン小塚崇彦が優勝のニュース
 大学4年なのにインカレ出場が初めてだそうだが^^; 大学に入った年から四大陸や世界選手権の代表に選ばれているから、この時期の国内の大会に出ている余裕はなかったんだろう。アイスショーに呼ばれる場合もあったようだし…。
 今季は卒業を控えた仲間と共に団体優勝を目指しての出場だったそうで、個人と団体の両方で栄冠 ショートプログラム82.09、フリー171.47、合計253.56。国内大会とはいえ、がっつり
 4回転が「こんなにきれいに跳んだのは初めて」と自分で言うほどきれいに決まったなんて、見たかった~

 今季絶好調!という感じの小塚選手、「表現力がついた」「全体に体力がついた」等いろいろ解説されていて、実際それは言えてると思う。以前は課題といわれてた演技構成点(PCS)で着実にいい点がもらえるようになってきている。
 しかし私が注目するのは、技術点(TES)の中のスピン。今季、回るスピンのほとんどでレベル4なんである。グランプリシリーズの中国大会フランス大会ファイナル全日本インカレとジャッジスコアをチェックしてみた。各大会でSP、フリー計6つのスピン要素が5大会で30回。そのうちレベル4で“なかった”のは、中国大会フリーの1つ目・足換えコンビネーション(レベル2)と、インカレSPの2つ目足換えキャメル(レベル3)、それだけ。30回中、28回はレベル4だった。
 国内大会は多少基準が甘いといわれてるが、国際大会のGP中国大会・フランス大会・ファイナルで18回中17回レベル4を取っているのは、かなりのものなんじゃないだろうか。
 ちなみにライバルのパトリック・チャン(カナダ)は、GPカナダ大会ロシア大会・ファイナルで、18回中11回レベル4。残りはレベル3が6回、レベル2が1回。2/3近くはレベル4が取れている。
 スピンは種類とレベルで基礎点が決まっていて、それにGOEで-9~+1.5がつく。小塚が今季のプログラムで行うスピンの種類と基礎点(左からレベル1~4)は:
<SP>
フライングシット             2.0  2.3  2.6  3.0
足換えキャメル             2.0  2.3  2.8  3.2
足換えコンビネーション        2.0  2.5  3.0  3.5
<フリー>
足換えコンビネーション        2.0  2.5  3.0  3.5
フライングシット             2.0  2.3  2.6  3.0
フライング足換えコンビネーション  2.0  2.5  3.0  3.5
 全部レベル4だと、基礎点だけでSPは9.7、フリーは10.0。レベル3だった場合に比べると、SPで1.3、フリーで1.4の差がつく。小さく見えても、合計で3点近い差は、接戦になったとき順位に影響しそうだ。
 GOEでもほとんどプラスをもらっていて、スピンで実際に稼いだ点(SP/フリー)は、10.28/11.49(中国大会)、11.49/11.57(フランス大会)、10.92/11.86(ファイナル)。完全に得点源にしている。
 (それでも、先日のメダリスト・オン・アイスで見たステファン・ランビエールのスピンと比べてしまうと、まだまだ いや、伸びしろがあるのはいいこと

 小塚とは逆に、ちょっと気になっているのが高橋大輔選手のスピン。なんといっても世界一のステップがあるので、スピンで全部レベル4を目指してはいないだろうけど ちょっと“取りこぼし”が多いような気がする・・・
 高橋大輔の今季のスピン(・は2つのうち1つ):
<SP>
・フライングレイバック(NHK杯)          2.0  2.4  2.9  3.2
・フライングアップライト(アメリカ、ファイナル)  1.7  2.0  2.4  2.9
足換えシット                     1.9  2.3  2.6  3.0
足換えコンビネーション              2.0  2.5  3.0  3.5
<フリー>
フライング足換えコンビネーション         2.0  2.5  3.0  3.5
・フライングレイバック(NHK杯)          2.0  2.4  2.9  3.2
・フライングアップライト(アメリカ、ファイナル)   1.7  2.0  2.4  2.9
足換えコンビネーション               2.0  2.5  3.0  3.5
 獲得した点数は、NHK杯SPレベル2・4・4で基礎点8.9+GOE1.07=9.97、フリーではオール3で基礎点8.9+GOE0.64=9.54。スケートアメリカではSPレベル1・3・4で基礎点7.8+GOE1.35=9.15、フリーは2・2・4で基礎点8.0+GOE1.79=9.79。
 痛みがあったファイナルでは、SPはオール3で基礎点8.0+GOE1.43=9.43とまあまあだったが、フリーでレベル1・1・3、基礎点6.7+GOE1.07=7.77。これは痛かった…。全日本はもっとコンディションが悪かったのか、判定が厳しかったのか、SPはレベル1・3・2で基礎点6.8+GOE0.72=7.52、フリーはレベル3・2・3で基礎点8.0+GOE2.0=10.0。
 大した違いではないように見えるが、SPフリー6回のスピンで21~22点稼ぐ小塚と比較すると、よくて19点台は勿体ない感じ。パトリック・チャンもファイナルでは22点以上になってたし、、、
 一番心配なのは、アメリカ大会以降レイバックでなくアップライトになっているところ。上記のとおり、アップライトのほうが基礎点が低いし 振付を大きく変えてはいないと思うけど、種類とレベルを認定してもらう要素が足りてないのかもしれない。テクニカルパネルハンドブックを読んでも、素人にはよくわからないが
 ステップではレベル4を取れることが多いし、GOEも+2点台が珍しくない高橋大輔選手。ステップのレベル3と4は基礎点で0.6違う上に、GOE加点幅が倍になり、3では最大+1.5のところ4だと最大+3まで可能。スピンの差くらいステップで取り返してる!とも言える。
 しかし、小塚選手との比較だけならそれでもいいが、小塚と同じくらいスピンで稼ぎ、ステップでもレベル3+1点以上、コレオステップ(基礎点一律2.0、GOEで評価)ではGOE2点以上ゲット、さらに演技構成点で高得点が期待できるパトリック・チャンに勝つには・・・?!
 連覇がかかる世界選手権までに、“取りこぼさない”対策をとって、底上げしていけば、、、気迫と表現の深さでは、やはり高橋は別格。演技力・振付・曲の解釈で9点台に相応しい選手がいるとしたら、高橋大輔だろう、と思う。
 全日本のキス&クライで「スピン取れなかったね」なんて会話をしていたから、四大陸では何か試したりするかな? 連覇ができてもできなくても、3月の東京では最高の演技を見せてくれると信じてます

コメント
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