高校の先輩、後輩と久しぶりに酒宴を楽しんだ。先輩は原口泉氏である。日本近代史研究家としては第一人者である。NHKの大河ドラマ、「翔ぶが如く」の時代考証でも名高く、大学の講義はもちろんのこと、日本全国至る所で講演活動にも忙しい先輩だ。僕と同じく、自然大好きの人間で、坊津の海でキャンプを共に楽しんだり、沖永良部島へも遠征した。愛する先輩との宴は、酒の量を忘れさせてくれる。後輩は園中さんだ。小学校時代に過ごした、屋久島は小杉谷分校で学んだと言う、数少ない同じ体験をした後輩である。職員達も迎えて、あっと言う間に四本のワインを飲み干してしまった。すっかりほろ酔い気分で、人間関係論談義に花が咲いた頃、20年来の友人、大坪氏が数名の仲間達と一緒に酒宴に加わってくれた。僕の狭い院長室が、まさにシンポジウムだ。ギリシャ語でシンポジウムとは酒を飲みながら哲学を語る集いである。哲学と言うと堅く聞こえるが、酒の場でないと語れない哲学もある。
洗脳という恐ろしい言葉がある。洗脳と知恵と言う言葉は裏腹だ。正しく教育されると知恵や教養となり、間違って教育されると洗脳になる。世界を旅すると、我々は洗脳の中で生きているのか、そうでないのかが見えてくる。洗脳の世界で生きている人々に、対等な対話を持って話しかけても通用しない。常識が根本から異なるからだ。新しい時代の新しい学問の中で、最も重要な学問は、全体をよく理解し、分析できて、相手に合わせた臨機応変な対話ができる能力である。教育の度合いに合わせて、洗脳の度合いに合わせて、対話の基準を調整していくコミュニケーション能力である。今、生きている世界の中で、自分は洗脳の中で生かされているのか否かを真剣に考えなければいけない。そうでなければ、君は、恐ろしいリーダーによって、ロボットにされてしまうかもしれない。中国では、ある地域に道路を造るため、オリンピック開催の場所とするから出て行けと命じたら、一日の内に10万人の人間が、その地域からいなくなったそうだ。人間を操る資格を持っているのは、大自然だけである。
南半球には初夏の風が吹いていた。
31期学院生のオーストラリア研修の時期がやってきた。
ほぼ2ヶ月間の留学実体験研修である。自分の力で生き抜いていけるかどうかを試すための絶好の研修である。異文化社会の中では日本での常識は通用しない。「言わなくても解るべきだ!」のテレパシー的日本語言語文化の世界から、話さなければ理解してもらえない対話言語重視世界の文化の壁を越えていくのは難しい。でも学院生にとっては余計な心配であった。話すことを抑制されていた日本社会から脱出して、言葉を通して、体感できるほどまでに話すことが許される。言葉は控えめに、他人の目を、本音を気にして生きていく。こんな抑圧的な呪縛から解放されると、自分の本当の姿が見え始める。本当の自分の姿が見え始めると、自然と笑顔がこぼれてくる。オーストラリアには笑顔が一杯あった。物質的にはずっと豊かな日本だが、心からあふれ出る笑顔の豊かさを日本に見出すのは難しい。一体全体何のために?一生懸命勉強して?一生懸命働いて?答えは唯一つ。溢れ出る笑顔のためだ。笑顔と豊かさとの関係は、とても仲の良い双子の兄弟のようなものだ。IBS外語学院で修得できる最高の学問は、本当の笑顔である。
31期学院生のオーストラリア研修の時期がやってきた。
ほぼ2ヶ月間の留学実体験研修である。自分の力で生き抜いていけるかどうかを試すための絶好の研修である。異文化社会の中では日本での常識は通用しない。「言わなくても解るべきだ!」のテレパシー的日本語言語文化の世界から、話さなければ理解してもらえない対話言語重視世界の文化の壁を越えていくのは難しい。でも学院生にとっては余計な心配であった。話すことを抑制されていた日本社会から脱出して、言葉を通して、体感できるほどまでに話すことが許される。言葉は控えめに、他人の目を、本音を気にして生きていく。こんな抑圧的な呪縛から解放されると、自分の本当の姿が見え始める。本当の自分の姿が見え始めると、自然と笑顔がこぼれてくる。オーストラリアには笑顔が一杯あった。物質的にはずっと豊かな日本だが、心からあふれ出る笑顔の豊かさを日本に見出すのは難しい。一体全体何のために?一生懸命勉強して?一生懸命働いて?答えは唯一つ。溢れ出る笑顔のためだ。笑顔と豊かさとの関係は、とても仲の良い双子の兄弟のようなものだ。IBS外語学院で修得できる最高の学問は、本当の笑顔である。
北部イタリアはミラノから、5人のゲストが鹿児島を訪れた。国際ロータリーが主催する職業研修交換プログラムに参加するためだ。ピエトロ・ヴァレンティニさんを団長として、人材育成の専門家のキアラ・プロセルビオさん、リゾート開発やホテルや旅館と観光地の関係専門のダリオ・サルヴァドーリ氏、金融や証券を専門とする経済アナリストのエンリコ・ザドラ氏、環境保全や自然科学のエキスパートのデボラ・フェラリオさんの5名である。9日間の滞在であったが、共通しての感想は、「鹿児島の人々は自然の中の一部として生きている。緑が美しい。自然をこよなく愛している。環境破壊が進む中、世界は、こんな日本人達に見習うべきだ。」そんなメッセージであった。陽気で、人の面倒を見るのが大好きで、人生は楽しむためにあると豪語して、いつも笑顔が絶えることのない彼らとの交流は、せわしい毎日を生きている僕に対しての大きなメッセージとなった。
脳の研究で第一人者と言われる、養老孟司氏の分析だが、変化こそ脳を鍛える道と教えている。今の世の中で気になることは、多くの人が「自分は変わらない」「変わってはいけない」と思っている。同じ脳でいることは、楽なような気がするが、実はそうではない。自分を変えまいとする人は、肩に力が入って、機嫌が悪くなっている。年配の男性に多い。年配の男性はもちろんだが、特に男性に自分を変えることを勧めたい。それが脳を鍛えることになる。自分が変わると、世の中が違って見える。違った世の中から脳に入ってくるものは、以前入ってきたものとは違う。だから脳が刺激を受ける。脳が刺激を受けると、身も心も豊かになる。新しい発想が泉のように湧き出てくる。だから僕は、IBS外語学院を創立した。狭い世界に閉じこもって、脳を萎縮させるより、活性化させる道を開拓するために。世間がなかなか理解しようとしないのは、規制の教育の概念から抜け出したくない頑固さというより、冒険ができない、勇気が持てない愚かさなのかもしれない。脳を元気にしないと、明るい日本の未来は見えてこない。