語られる言葉の河へ

2010年1月29日開設
大岡昇平、佐藤優、読書

【詩歌】良寛「手毬をよめる」

2016年01月01日 | 詩歌
【詩歌】良寛「手毬をよめる」

 冬籠り 春さり来れば
 飯(いい)乞(こ)ふと 草の庵を
 立ち出でて 里にい行けば
 たまほこの 道のちまたに
 子どもらが 今を春べと
 手毬(てまり)つく ひふみよいむな
 汝(な)がつけば 吾(あ)はうたひ
 吾(あ)がつけば 汝はうたひ
 つきて唄ひて 霞(かすみ)立つ
 永き春日を 暮らしつるかも

 かへしうた

  霞立つ長き春日を子供らと手まりつきつつ今日もくらしつ

 *

●「通釈等

【通釈】
 [長歌] 春になり暖くなったので、食物の施しを乞うとて、草庵を出て、里に行くと、道の辻で、子供たちが、今は春だというばかりに、手鞠をついて遊んでいる。「一二三四五六七(ひふみよいむな)」と、おまえたちが鞠をつけば、私は歌を歌い、私がつけば、おまえたちは歌い、ついては歌って、霞の立つ春の長い一日を、日が暮れるまで過ごしてしまった。
 [反歌] 霞の立つ春の長い一日を、子供たちと手鞠をつきながら今日も過ごしてしまった。

【補記】
 反歌は『布留散東』にも所載。良寛に類想の歌は少なくなく、「霞立つ永き春日に子供らと手毬つきつつこの日暮らしつ」など。

【参考歌】
 王仁「古今仮名序」ほか(第四句を「今をはるべと」とする本もある)。
  難波津にさくやこの花冬ごもり今は春べとさくやこの花

【主な派生歌】
  子供等と鞠つき遊びたはむれし良寛思(も)へばわれは寂しゑ (吉井勇)

□良寛「手毬をよめる」
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 茂木弘次「良寛さんと毬」(国上山朝日山公園)
  

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