語られる言葉の河へ

2010年1月29日開設
大岡昇平、佐藤優、読書

【食】市販の「塩こんぶ」のうまみは昆布のうまみとは別もの

2016年04月09日 | 医療・保健・福祉・介護
 ①フジッコ「美味しい塩こんぶ 減塩ふじっ子」・・・・調味料(アミノ酸等)
 ②くらこん「くらこん塩こんぶ」・・・・甘味料(ソルビトール、甘草)、調味料(アミノ酸等)、カラメル色素、増粘多糖類

 (1)塩こんぶは、昆布の加工食品だ。
 「細切りや角切りの昆布を、水・醤油・みりん・砂糖などをあわせ長時間かけて煮て、最後に塩などをまぶ」すという工程で作られている【くらこんのサイト】。
 原材料の昆布は、「だし」として利用されるうまみ成分のグルタミン酸を含有していて、塩こんぶも当然うまみ成分たっぷり、かつ、簡単便利だとして愛用者は多いのではないか。
 実際、賞品のパッケージにも、①は「混ぜるだけでおいしい 簡単野菜炒め」、②は「塩こんぶで簡単!肉豆腐」と売りにしているし、浅漬け、炊き込みご飯、お茶漬けなどへお利用法も紹介されていて、忙しい主婦の強い味方などとも言われている。
 しかし、塩こんぶのうまみは、天然のうまみではないし、体に悪い。

 (2)塩こんぶの原材料を工程から考えると、必要な材料は、「昆布、醤油、みりん、砂糖、塩」だが、蛋白加水分解物、調味料(アミノ酸等)、甘味料、カラメル色素、増粘多糖類などが原材料名に記されている。
 加工食品を作る際に欠かせないスター的存在が、次の二つ。
  (a)蛋白加水分解物
  (b)調味料(アミノ酸等)

 (3)(2)-(a)は、比較的単純な加工で製造されるため、「食品」に分類され、危険認識が低い成分だ。独特のコクやうまみが添加されている調味料の味を引き立たせる働きを持っている。味が単一になりやすい化学調味料に比べて、精製されていない(a)は、独特の味を出しやすく、さらに安価なため多くの加工食品に利用されている。
 蛋白質を分解して作られ、多くの場合、コストの安い脱脂加工大豆(大豆油などの油を搾った後のカス)が使われている。
 脱脂加工大豆を酵素or塩酸で加水分解→中和→脱色→脱臭→精製→濃縮して使いやすい形状にするという工程で製造される。
 問題点は、加水分解時に使用される塩酸だ。
 塩酸分解は、酵素分解より早く分解でき、安価なため主流となっているが、処理の段階で蛋白質に含まれるグリセリンと塩酸が反応して、発癌性の高いクロロプロパノールが生成されてしまう。
 むろん、製造過程で検査されていて、残留の可能性は低いが、ゼロではない。事実、農林水産省の検査で、(a)が多く使用されている一部の醤油から高濃度のクロロプロパノールが検出されている(平成16~18年度の実態調査)。
 また、大豆のほとんどを輸入に頼る現状では、遺伝子組み換えの問題も無視できない。

 (4)(2)-(b)は、一括名表示が認められている合成食品添加物だ。グルタミン酸ナトリウム(MSG)を主体にイノシン酸などと混ぜて使用され、過剰摂取の問題点として次のような諸点が指摘されている。
   ・胎児に影響を与える・・・・分子が小さいため簡単に胎盤を通過し、脳の発育遅延や脳血液中関門を傷つける。
   ・味覚障害や痛風の原因につながる・・・・MSGと一緒に核酸系調味料を加えることによりうまみが増大する半面、体質によっては痛風を引き起こす。
   ・高温の調理で発癌物質が生成される。
   ・MSG3gは食塩1gに相当するため塩分過多につながる。

□沢木みずほ「市販の「塩こんぶ」のうまみは昆布のうまみとは別ものでした」(「週刊金曜日」2016年3月25日号)
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