語られる言葉の河へ

2010年1月29日開設
大岡昇平、佐藤優、読書

【経済】自然エネルギーの現在 ~太陽光破綻~

2013年01月21日 | 社会
 「週刊ダイヤモンド」今週号の特集は「倒産 危険度ランキング」だ。

 太陽電池は、数年前は夢があったが、中国メーカーによる過剰生産や、欧州の不景気による価格暴落で、昨年独Qセルズが倒産したり、オバマ大統領のグリーンディール政策で生まれた米新興メーカーも相次いで倒産している。
 その荒波が、わが国にも押し寄せてきた。

 国内は、一見、“太陽光バブル”に沸いている。政府が昨年7月、自然エネルギーを高値で全量買い取る制度を始めたため、商社、金融、住宅メーカーから多額の投資マネーが太陽光発電に注がれているからだ。
 しかし、潤っているのは主に投資側で、太陽電池の製造に関わるメーカーは取り残されている。
 国内で太陽電池は、次の(1)以下の流れで生産される。

 (1)原料
 (2)インゴット ・・・・ フェローテック、SUMCO、JFEスチール
 (3)スライス加工 ・・・・ TKX、石井表記、北川精機
 (4)セル ・・・・ アルバック、エヌ・ビー・シー
 (5)モジュール ・・・・ YOCASOL、シャープ、パナソニック、京セラ

 (2)のインゴットやウエハーと呼ばれる材料を製造していたSUMCO、JFEスチールなどの大手メーカーは事業に見切りをつけた。原料価格が暴落したため、自社生産の撤退を決めた。
 (3)の材料をスライスする切断装置や加工業務が主力だった石井表記は需要減とコスト競争に耐えられず、ソーラー関連の子会社を解散。しかし、昨年1月、巨額赤字で債務超過に陥り、金融機関の支援で首の皮一枚でつながっている状態だ。同業の北川精機も、「継続疑義の注記」がついた。太陽電池の製造須知メーカーのフェローテックも昨年上半期決算で「重要事象の記載」に追い込まれた。
 (5)の太陽電池モジュールメーカーYOCASOL(福岡県)は、昨年11月、24億円の負債を抱えて民事再生法申請に追い込まれた。
 そもそも、国内トップの太陽電池メーカーのシャープですら2期連続赤字。あまりにも中国、台湾製のセル(基幹部品)が安すぎるため、自社のセル工場を止めて、中台から輸入したセルを組み立てている。

 高値の買い取り制度とバブルが終わる2015年こそ、需要の反動を招き、本当の修羅場になる。【太陽電池メーカー幹部】

□記事「PART3 太陽光破綻」(「週刊ダイヤモンド」2013年1月26日号)
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