語られる言葉の河へ

2010年1月29日開設
大岡昇平、佐藤優、読書

【経済】デフレを深刻化させるグローバル化と構造改革

2012年04月13日 | 社会
(1)デフレを深刻化させるグローバル化と構造改革
 日本は、10年以上デフレであるにも拘わらず、インフレ退治のための新自由主義的な政策をやり、しかも米国の異常な金融資本主義をモデルにして構造改革を進めてきた。だから、日本ではデフレが10年以上放置された。
 市場原理主義者には、デフレの観念がない。日本の市場原理主義者たちがデフレを全然意識していないでインフレ対策のことばかり言っているのは、そのせいでもある。
 デフレは資本主義が動かない状態、市場経済が動かない状態だ。新自由主義ではデフレを説明できない。新自由主義は利益追求のためのものだが、そもそもデフレでは儲からない。
 TPPにまつわる議論も、参加直前まで真剣になされなかった。詳しいことがわからないにも拘わらず、政府も経団連などの産業界もマスコミも、こぞってTPP参加に賛成していた。本当にひどい状況だ。
 グローバル化も構造改革も、国民経済の供給能力を高めるから、デフレを加速させる政策だ。
 今の日本は、需要を供給能力が上回っている。その差(デフレ・ギャップ)は20兆円とも40兆円とも言われている。にも拘わらず、グローバル化や構造改革を推進すればデフレを悪化させるのは当然だ【注1】。
 ところが、日本は、バブル崩壊後、橋本龍太郎内閣が構造改革路線に舵を切った(1987年)。さらに、消費税を上げ、公共事業削減を始めた。ここから10年以上、デフレに日本は苦しむことになった。

(2)デフレ解消の政策
 デフレを是正するには、(a)供給能力を削るか、(b)需要を上げるしかない。
 しかし、(a)は失業を拡大させる。
 よって、(b)しかない。そこで、国が公共事業を起こし、政府が有効需要を作り出す必要が出てくる。大恐慌時におけるニューディール政策しかり、積極財政により世界最速で日本を不況から脱出させた高橋是清的な政策しかり。政府が国債を大量に発行し、日銀が買い取り、そのカネで公共投資を行い、カネを市中に流すのだ。
 公共事業は、単体では赤字になり、採算がとれないかもしれないが、国民経済に貢献する事業であれば、政府は公費を使ってでもやるべきだ。黒字になるような事業は、民間に任せればよい。
 <例>今の日本は、50年前の高度成長期に整備された日本中の橋や道路などインフラのメインテナンス期にある。今の日本の公共投資は1996年比で半分。額が30年前を下回っている国は、戦争や内乱をやっていた国を除けば日本だけだ。こうした事業は民間はやらないから、政府がやるしかない。財政出動と併せて金融緩和も必要だ。とにかく日本のマネタリーベースは2007年以降、恐ろしいほど増えていない。
 今の日本には閉塞感があるが、みんなの給料が上がれば解消する。名目GDPが拡大し、税収も増えれば、社会保障費の問題も解決する。日本のインフレ率が健全な水準に高まると、実質金利が下がり、企業の投資が増えて【注2】円安になり、輸出製造業が恩恵を受ける。
 日本は、他国と比べて公務員の数は少ない【注3】。公務員の雇用は、景気対抗的(カンターサイクリカル)な効果を持つ。ビルト・イン・スタビライザーとも言う。不況期には景気回復を後押しし、好況時には景気を抑制する。だから、デフレ期の今の日本には公務員の雇用を増やすことが必要だ。ちなみに、所得税も法人税もカンターサイクリカルだが、消費税は違う。公務員を増やすのが嫌なら、公共事業を増やせばいい。インフレ時に公務員のクビを切るのはなかなか厳しいが、公共事業を減らす(建設業に仕事を出さない)のはいくらでもできる(現時点でもやっている)。

 【注1】TPPで「物価が下落」するのは確かだ。デフレの深刻化だ。
 【注2】日本の名目金利(10年ものの国債の長期金利)は0.9%だが、10年間のインフレ率がマイナス1%とすれば、実質金利は1.9%だ。実質金利が高く、さらにデフレで売上げを上げにくいのでは、企業の投資意欲は湧かない。ちなみに、米国債の名目金利は1.85%程度、インフレ率は2%プラスなので実質金利はマイナスだ。日本のほうが実質金利が高い。しかも、部一句はQE2で6,000億ドルを市場に流した。ドル安・円高になるのは当然だ。
 【注3】「【社会】異常な日本の賃金減少 ~公共サービスの雇用の非正規化~

 以上、中野剛志/三橋貴明『いま日本に迫る危機の正体 売国奴に告ぐ!』(徳間書店、2012)の「第1章 「改革」の名で日本を滅亡に導く人たち」に拠る。

 【参考】「【経済】世界経済混乱の元凶 ~新自由主義と構造改革~
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